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異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
ジリジりまるカジリ!
131/135

吹雪の出会い

毛布から頭を出してくるまることしか今はできない。隙間なく毛布にくるまる…すきま風なんて許せない。顔を真っ赤にさせながら鼻をすする。


「ズビビっ…ああ…」


ふと洞窟の外を見る。白銀と呼ぶにはまだまだ暗く曇天な空。吹雪はまだやむ気配はないようだ。昼間でも薄暗く視界がほぼ雪、目に写るのは雪、耳をすませばつんざく風の音しか入らない。目線を焚き火に戻し暖をとる。ここ何日かずっとこんな日が続いた。


外は吹雪だ。


















「一匹後ろに回ったぞ!」


木陰から急に敵が襲いかかってきて防ぎ反撃してまた新手の対応して…少しずつ実態が掴めた。敵の規模とか危険度とか洒落にならない。部隊の規模が数万単位な気がするし近くにまだそれほどいると思う、しかも厳戒態勢で装備も充実してるときたもんだ。幹部とか湧いてもなんも不思議じゃないしなにより援軍もなく見方は獣人とケンタウルスだけときたもんだ。ぶっちぎりでヤバい、偶然でも頭上に竜の国行きのドラゴンでも通らないかなと祈ったほどだ。切迫している、逃げるのも厳しいものがある。


ここで相手にしている敵をひとまず退けた。まだ辺りは騒がしくてそして間違いなく自分に向かってその喧騒が近く迫ってくる。ありえないほど敵の追撃が早くて休息もない。これ以上引き付けてはいられない。追い込まれる前にここでテレポートでセントーレの背中もといミーメイの背後に瞬間移動する。セントーレは自分の背中の重みで振り返らずとも俺だと瞬時に理解した。


「今の速度なら追い付けはしないですが!」


「進行方向は容易に封鎖できる…んだよな…」


「…はい、どうも敵はこの辺の土地勘があるらしく混乱もせずに兵を動かせてます。いずれどこかで囲まれてしまいます」


迷いなく抜け道を潰して兵を配置して待ち構えて無駄がなくそれでいてミスもなく追い詰めていくどうもこのままだと時間の問題だなー


「二人ともよく聞け今から適当に飛ぶぞ。それは敵のど真ん中かもしれないし安全地帯かもしれない、とりあえず敵を少し混乱させる」


「できるなら早くしていただきたい…こちらに正確に矢が飛んできてます!」


待ち伏せか…突っ込んじまう前にここで!額からぶわっと汗が吹き出る。ミーメイの不安そうにこちらを見る目を苦笑いで返した。


「テレポート!」


矢を撃ち終え死体を確認しようとゴブリンがぞくぞくと集まってきた。しかし馬の蹄の後もなく突如空でも飛んだかのように敵の姿は忽然と姿を消していた。
















座標指定無しでは術者に大きな負担がかかる。空間移動が不完全になり身体がうまく転送されず欠損などが出てくる。今回は気がつけば濁流の中に俺たちはいた。流れで濁った大河の中をかき混ぜられる身体、上も下もわからないが現状川の底も見えない対した深さだ…酸欠気味のボケた頭にすべての情報は無駄に送られるかと言って眺めるだけ、巨体のセントーレがぐるぐると水中を流されてる場面が目の前で起きてもなんとも思わない。あの巨体が回転してるんだよ?


この面白すぎる出来事も薄れ行く景色にもみけされた。バタバタとセントーレが手足をばたつかせるも水面まで程遠い死に物狂いで息継ぎをしたくても浮くより身体が流されるばかりでちっとも浮いていかない。セントーレは動く部分を総動員させるけど無意味だ。それっぽっちの力ではなにも変わらない。


皆が溺れるなかミーメイは自分が大河の中心で流されていることに気がついた。


「(他の皆は!?)」


運よく水面付近で投げだされたミーメイ、転送されたのが川だったことに驚きそしてパニックになったが水面を漂う内にはっと我に返った。自分の他誰もいないことに。


大きく息を吸い込み覚悟してこの濁流の中から二人を探す。果てしない莫大な水、視界も悪くたとえ近くにいてもわからない。それでも何度もチャレンジして二人を探す。泳ぐこともただ水面に浮かび上がることさえままならないのに身の危険を省みず二人を探し続けた。


「(二人はいったいどこに?)」


いつからか空は黒くなって上から白いものがちらちらと降ってきた。その時はまだ気づく人はいなかったが。でも確かに肌に感じる水温が少し冷たく感じた。












鼻先に冷たいものがふわり風にあおられ引っ付いたがやがて体温でそれはじんわり溶けていった。


「うがっ!?寒い!」


寒さに目を覚ます。真っ黒い雲だな…空から雪がちらついていた。砂浜にどうやら打ち上げられたようで…どうもここは海らしい…


「流されすぎだろ河口辺りだっ…二人は!?」


荒波ほどではないが高い波、あの変な臭いの潮風全てが冷たく濡れた身体から容赦なく体温を奪う腕組みしながら砂浜を波に沿って歩いていく。見えるのは流木か海藻と思われるものだけで他に生き物なんか…あの物体はよ。


「見覚えある馬尻が打ち上げられてる」


近づいていくにつれてそれがセントーレであると確信する。急いで駆け寄り呼吸は問題ない、意識がないが気絶しているだけか?念のため乳を揉んでみる。違う、頬を軽く叩く。いやぁ乳でだいぶ反応してたから大丈夫だろうけど…


「セントーレ、おい…おはよう」


「う…ぐむ…とても良い朝とは呼べないのでは?ずいぶん身体が冷えて…」


「だな、風のないとこにいこう。まずミーメイを探すのを手伝ってくれ。魔物の気配はないが安全かもわからない。二人で探そう」


セントーレに手をかし起き上がらせると二人でまた雪がしんしんと降るなか砂浜を歩く。風が少し出てきたしもしかしたらこれから吹雪くかもしれないその前にミーメイを見つけないと…すすきの林が風で揺れていた。


「まさかあの海にまだ…」


セントーレが不吉なこと言い始める。確かにその線もある。考えないようにしてたけどこんなに探していないのだから…恐る恐る海を見る。果てしなく海、俺たちが打ち上げられたのならミーメイもと思ってたのはただの先入観だった。


「くっうおおおおおお!うっ!うおおおお!?」


急に陸から突風が吹くと一緒に雪を運んでくる。吹雪が到来した瞬間だった。視界が失われこれが俗に言うホワイトアウトか…とてもじゃないが身動きがとれない。とれないから


「ユウ殿、私の影に隠れるの止めて…気のせいじゃないですよ。風避けにしないでって体内とか余裕でアウト」


「ミーメイ!」


真っ白な世界に閉じ込められた二人、俺の声もこの吹雪でかき消された。なぜかミーメイが遭難してる気がしない。最後の記憶ではミーメイだけが助かってる気がしてた。うん、誰かに助けられて俺らだけ流されてたような気がする。あれは気のせいだったのだろうか?俺の都合のいいように頭で変換されてただけ?


「何するにしても急がないとヤバいですよ!」


そこからの判断は早かった即答で海に飛び込m


「何してるの!こっち!」


二足歩行アザラシに拉致された。手をおもいっきし握られそのままこのアザラシの巣穴までご案内された。よくもこの吹雪で道がわかるな、なんの目印もないのに…そして着いたのは岩山?断崖絶壁に洞穴があり氷の扉と言うか蓋をガガッとこじ開けた。なんか混乱してきたがとりあえずこいつが俺らを襲おうものなら返り討ちにして巣穴を乗っ取るか。


氷の壁を元に戻すとあまりにも殺風景な巣穴だった。目につくのはこの穴の中心に焚き火があり火にあたるミーメイだった。


「ミーメイ!無事だったか!」


ミーメイの無事を確認しようと焚き火に直行する外傷もとくに見たところなく顔色も悪くない。ただ冬毛かモサッ…としてる。モコモコした毛皮になってらっしゃる。少し分けてよその毛皮!


「その人が助けてくれたんです…他にまだ二人遭難していることを伝えたらここでじっとしていろと言われまして…吹雪が来るとかで…」


あのアザラシが助けに来てくれたのか、ミーメイを保護してくれたのは幻覚じゃなくてあのアザラシ人間だったのか。


「えっとアザラシの人、助けていただいてありがとうございます。厚かましいのだけれど吹雪が止むまでここに置いてもらえないだろうか?」


「ケンタウルスに…人間と獣人がこの北の地に何のようだ?ここが魔界と知って…何を企んでいる?」


ちょっと疑われるのも無理はないが悪いやつじゃないよ?今は少し魔物と敵対もしてるけどアザラシになんの恨みもないよ?


「あの今人間界は貧困で…それで危険は承知で資源を求めて来たって感じかな」


「…ここも貧困は同じだ。この吹雪のせいでな、海にも戻れない。あのように晴れる日は数ヵ月に1度しかも短時間だけ。わからないか、帰れないってことだ。遭難したければそうすればいい、そんな防寒もできてない装備、自殺も同じだ」


つまり吹雪が止むまで缶詰と?急がないとヤバいのに(主にミカサ)ここで余計な道草をしろと?でも確かにこの吹雪だ。生きては帰れない、つまりここで吹雪が完全に止むまで待つと…


「セルキーが陸にいるのも珍しい」


「毛皮を干している最中にこの吹雪に巻き込まれてしまって…それから1年、この吹雪は止む気配がない」


セントーレの会話でセルキー?って言う魔物なのはわかった。あとこの吹雪が止むの未定なのも…吹雪は予報できてない突発的なもの、つまりなにかしら原因があると見た。


「セルキーってセイウチ?」


「これはアザラシの毛皮だ」


アザラシの口がパカッと開いて中に金髪の女性の顔がのぞいていたまだ幼さが残っている。アザラシにの毛皮を着た人っぽい魔物なのか。


「聞けばこの辺の海の出身か、魔界ではこんな吹雪はずっと続くものなのか?」


最初セルキーは目をぱちくりと瞬きさせながら言っていいものかと悩んだあげくこの吹雪の原因について思い当たることがあるのか恐る恐る口を開いた。


「本来は風のない海で積雪量は多く寒くはあるが波の穏やかな土地だった」


「だった?過去形なのね」


「私がそう、陸に上がって毛皮を干している時に急に吹雪きだしたの。すぐさまこの岩かげに隠れて吹雪が止むのを待った。けどこの通り止む気配がない。ここらいったいは氷の女王、魔王幹部グラキエスが支配している。天候を操つり吹雪にできるのも彼女だけ、だとしたら今回のこの異常気象を起こしてるのは」


「幹部のグラキエスってことか」


セルキーはこくりと頷いた。だとしたらグラキエスと話をもしくは戦闘になってしまうとこれからの予想が容易につく。けっ、でもこの吹雪だ、セルキーがグラキエスの居場所を知ってたとしてここから近いのか?


「そのグラキエスの居場所はわかるのか?」


「聞いたことはある…でも遠くて私も海まで魚を取りに行くのでやっとでとてもそこまでは…」


…詳しい場所がわからないんじゃテレポートもできない。


「完璧閉じ込められたな」


「ユウ、これから私たちどうなるの?」


ミーメイの不安を払拭させることは…情けないができなかった。焚き火から外の吹雪に目をやる、確かに止みそうではない…

あれからこの洞窟で厄介になって3日、進展はない。俺の無限ポーチとセルキーが命がけで海に潜って得た魚で飢えを凌ぐ。一番困ったのは火を絶やさないこと、つまり火にくべる木が無いこと。流木なんてとっくに雪の下、探しにいけないからポーチから油分の多い木を何とか出して燃やしているがもうさすがに品切になる。栽培とかもっと無理だからな。

天井の煙を逃がす穴から冷たい風が吹いてる。冷たい空気って上にたまると聞いたがなんで底冷えしてるんだろ!寒いだろ!焼け石を布でくるんで持っててもちっとも暖かくない!


「このままここで凍っちゃうかも」


「今日この大きな身体を呪ったことは初めて」


セントーレが馬の部分まで毛布がいかないことに悪態をついた。末端からよく冷えることだろう、しっかしなんでここまで寒くしちゃうかな…元気有り余ってんのか…な…


グラキエスが外敵を排除したい。俺たち人間が排除の対象なのか?吹雪はきっと敵の侵入を防ぐもの、そんな気がするんだ。だってずっとこの吹雪を起こしているのはそういうことなんじゃないのか?永続して吹雪は起こせないだからセルキーが言った通り短い時間だが吹雪が止むんだ。俺たちは運悪くその時に入っちまったが。


グラキエスは人間を排除したいのならまだ接近もしていない人間に対して早くからこう吹雪の防御に出ているのか?用心深いのやら…逆にグラキエスが


穏健派、もしくは親交派で魔王に襲われるのを恐れてとか?それなら早期の吹雪による防御も理解できる。敵か味方かは会ってみないとわからないがグラキエスは敵ではないと思ってもいいかも知れない。問題は接触できないことにあるが…


その時氷の壁を力一杯開けてセルキーが入ってくる。何やら興奮冷めやらぬ感じで外に出るように言ってくる…やだよ。ここから一歩も出ないぞ凍死する…












「結局だよ、行くことになるやん?」


「激辛唐辛子でも汗がでない!ユウ殿、もっと!もっとです!まだ足りません!」


気休めだって、汗出たら体温下がるぞ。後ろのミーメイを見る…ミーメイとか仏みたいな顔から表情変わらんもんな。なんか悟ったか?ここで唯一テンションバカ高いセルキーの後へ続く、もう少しゆっくり行ってくれないか?遭難するって!いやしてるか。


セルキーが足を止めると何やら斜め下に向かって綺麗なトンネルができていた。自然にできたものじゃないのはわかる。なんか溶けてるし、氷が何やら熱いもので溶かされて道が出来てると言った感じかな。


「地下に遺跡があったの」


「入ったのかこの穴!?」


「うん、魚捕った帰りに通ってみたけど前に見たときにはこんな穴。無かったのつい最近できたみたい」


急に?これが?この硬い氷をここまで掘り進めるのに魔法か…なにか使ったのかな?何にせよ野生の魔物でははさそうだがそんな無意味にでかい穴を一直線に掘るとか、人為的なもんだなこれは。


「急にできたのはわかった。で行く意味あるか」


「グラキエスのいる城の一部みたい、何やら凶暴な魔物がたくさんいて警備してた。なんか柵?とか作ってたよ。この穴から入って行く様子もなかったしもしかしたらあの見た遺跡はグラキエスの城に繋がっているかも」


「確証はないのか?」


「ないけど急に湧くわけないもん」


そうだな、あながち隠してた抜け穴を魔王軍が見つけてこの穴を開けたとか?それで地下遺跡で敵を迎え撃つためグラキエス側は陣地化してるのかな。何にせよあのままあの洞窟で吹雪が止むのを待つよりかはましかもしれないな。


「試してみる価値はある。セントーレ先導しろ、セルキーは次そしてミーメイで後方は俺が行く」


「行くのですかユウ殿…下にいる魔物が攻撃してきますよ間違いなく。こちらの意思とは裏腹に」


「そんときはそんときだでもこちらからは決して手出しはするなよヤバくなったら逃げましょう…それが一番っ敵に怨恨も残さない」


セルキーは結構やる気満々何だけどなんか俺が無茶しそうなのを察してかあとの二人はこの吹雪の寒さと相まって苦虫を噛み潰したような非常に味わい深い顔してらっしゃる。なんだよ二人とも…俺のことよくわかってるじゃねえか。


「嘘だぁて顔に書いてますよ」


「バカにしてんのか?」


「寒いしもう入りましょう、考えるだけ無駄」


「無駄とか言う!そんなこと言う!」


なんか二人が塩対応何だけど…冷たい!冷たいよもう心が冷える…暖めて!私を抱き締めて!銀河の~果てまで~♪


セルキーのアザラシの毛皮を見ていると自分も是非ほしい。作ってくれないかなmy毛皮を。二人羽織させて欲しいものですなぁ(ゲス顔)二人で一つの毛皮に~裸で密着、二人羽織~


「ユウ殿!前だけでなく後ろを見るのもユウ殿の役割でしょう!」


「セルキーさん見てませんでした?確かに美人ですけど…傷つくんですから!女の子はそこのところ敏感で…」


「ああちゃんと見て」ボンッ!ボンッ!ボンッ!


なっなんだ!?爆発音…いや、何かが雪に落ちてきたような…何が、おそらく


「この穴を開けたやつだろう…逃げるのもこれでできなくなったな…」


「魔王軍…ってことになるんですか?どうすれば?このままだと挟み撃ちになってしまいますよ!早くしないとっ!」


ミーメイが右往左往してしまっている。この先いる勢力も不明であり背後から来るであろう勢力もまた不明。セントーレも俺の顔色をうかがっている。セルキーは気は焦っていたが狼狽える俺たちを見てまた呼吸を整えて落ち着きを取り戻し冷静

さを取り戻す。


「まぁあれだ…不測の事態だらけになるのは間違いないからな…どう動くかも変わらない。死力を尽くして生き残る、やりましょうお嬢さん方」


トンネルの中腹で全員決意を新たにし底の見えない道のりをゆっくりと背中の冷たい潮風を受けながら歩き出した。セントーレは慎重に不気味な暗闇に前足を突っ込んだ。















落下したのはペットボトル状の鉄塊、地面に深く突き刺さりクレーターになっている。そして真ん中辺りから空気が吹き出し蓋のようなコクピットが開く。中から眩しい光が漏れだしている。

海岸線に着陸した強襲船から這い出たモノ。外の外気に触れ背中から邪魔にならないように折り畳んだ金属製の翼を器用に展開し広げる。サナギから羽化した蝶のようにガラスのような清んだ銀色。鳥の羽のような羽毛を一つ一つ解すように開いていく。機械化された身体を震い右腕のリストブレイドを伸長させると50㎝ほどの鍵爪状の刃物に雪が引っ付き冷たく凍りつく。髪の毛が風で靡き目のセンサーを隠す。


船から三体のヴァルキリアが降り立った。一番大きな体格の一体がリーダーとして他の二体が左右を警戒する。リーダーがドラゴンの頭骨のモチーフしたバイザーを操作しバイザーが変化、目を覆う形に変形する。

サーモグラフィーの視覚補助に切り替え、体温で溶けた後や踏み込んで押し潰された足跡を見つけ出しセントーレやユウたちの足跡を捉え追跡を始めた。コンピューターガントレットで光学迷彩で透明化、獲物を横取りする集団の後を追った。



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