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異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
来ました!異世界!!
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出会いと速効の別れ

とうとう来たぜ異世界に!

「お~痛てて、あいつ短気は損気って知らないのかな?あそこは涙で見送るのが普通でしょ!?そこらへん空気読んで!」


神に何を言ったって無駄だろう。だって神だもん。

自分の作った人間に指図なんてされないだろう。


「無事着いたからいいか、異世界には見えないけどな?ここであってんのかな?」


俺は森の中に立っているそこはまるで俺の暮らしていた世界にそっくりだ。生えてる木も自分のいた世界と同じような木だ。


「無事元の世界に帰ってきた訳ではないみたいだな、まさかあのオーディンがそんなに優しいわけがないからな!先に異世界にいる坊っちゃん勇者と合流するんだったな…そのあとで魔王と対決か…逃げたい」


正直この世界がどうなろうが知らない。俺はただ元の世界に帰りたいんだ!そして魔法とか使って一生楽して金儲けして暮らしたいんだ!元の世界で魔法なんか使えるのは俺だけだからな!


「坊っちゃん勇者を探す前にこの世界も色々詮索してみたいしな!魔王討伐は後回しだ!!」


まずは街か村を探そう。人のいるところなら何かしらいろんなものがあるだろう。どんな世界かよく知らないし、楽しまなきゃ損だ!!

それにしても道まで出なきゃな…このままだと森の中で野垂れ死にしちまう…緊急事態に陥ったらエクシアさんに持たせて貰ったこの巾着袋で!

けど何入ってるんだろう?魔法の道具かな?それとも天使に伝わる幻の道具とか!?気になるから開けてみよ~と!


チャリ~ン


コインだ…金貨5枚…これで生活していけって?見たことない通貨だけどたりるのこれ?もし足りなかったらどうすんの?仕事すんの?俺、勇者なのに?なんかイメージと違う……勇者ってさ…ほらなんか有名人みたいでチヤホラされたりしてさ…そんなんだよね?期待しちゃ駄目なの?


「今更後には退けない。とりあえず人を探しに街か村に行かないとな!魔物どもの情報も貰えるかもしれないしな!」


とぼとぼ歩くこと3時間位かな?太陽も沈んできたぞ、今は3時か4時位かな~?早く探さないと暗闇で動くのは危険だ。野宿のしかたもわからないのにこんなところで明日までいるのは嫌だ。もう帰りたい(涙)ユリネル…助けて…


「来るわけないのはわかってる…でも誰かいないのか~?か弱い勇者がここにいますよ~」


「ブギ~!!」


「ひぇーーーー!」


なに!なに!いったいなんなの!心臓止まっちゃうよ!ビックリしたな!

そして謎の金属がぶつかる音、そして豚みたいな鳴き声が森の奥から聞こえてくる。


「もう!何かしらないけど脅かすなよ!さっきから急にカキーンカキーンうるさいんだよ!誰だ!責任者は!文句言ってやる!」


草をかき分けて進んで行く。やった!とりあえず人がいるな、あと多分豚もいるのかな?鳴き声聞こえるし。養豚場でもあ、る、の、か、な!


急に視界が開けた。道に出たのか、助かった~

けどそこには異様な光景が広がっていた。

まず荷馬車、いったいなに時代なのここ?これはただたんに田舎だからかな?外国ではまだ荷馬車使ってるとこもあるかもしれないし。次に剣を持って戦ってる男女達、剣を持って戦ってる女の子が着てる服装が革でできた鎧みたいな…俺が雰囲気出るかな~と思って着ていたレザーアーマーという革の鎧にそっくりだ。彼女が坊っちゃん勇者?でも、この世界では普通の格好なのかな?じゃあもっといい服着てきたら良かった。最後にこれだけが気になる。いや、最初からこれだけが気になっていたと言っても過言ではない。何故か人間が豚と戦っいる。凶暴な豚でも二足歩行していてズタボロの鎧らしきものを着て手に槍を持った豚なんているのか?

ありえないだろ、普通想像出来ないよ。けど、想像出来ないくても実際目の前で起きている。


「幻覚かな?ずっと森の中歩いてて歩く豚見つけるとか…世紀の大発見じゃねぇか」


今目の前で二足歩行で歩く豚と鎧を着て戦ってる女の子と商人らしき人四人が戦ってる。どういう状況?わけわからん、説明して?

その時商人らしき人が倒れて豚どもが形勢逆転みたいに人間のほうを押していっている。人間と豚どっちがいいやつ?悩んでる暇はないか!


「止めて!来ないで!この汚らわしいオークども!近づかないでって言ってるでしょ!」


ヤバイな、あのままじゃ殺られる。女の子が目の前で殺されるとか我慢出来るわけないだろ!


「おら!豚肉ども!俺様が相手だぜ!」


後ろから一匹仕留めたぜ。あと残り12匹、突然現れた敵に豚どもが「ブヒー!ブギー!」と叫んでいる。なんていってんのかわからん。わからんけど殺す。けどあの豚食えんのかな?豚肉みたいな味かな?だったらいいな~


「驚いてるところ悪いが助太刀するぜ?」


「ありがとう!感謝する!」


とまーどうするかな?この世界で俺がどれ程力が出せるかわからんからなー。死なない程度に頑張るか

魔法とか効くかわからんけど。オーディンに貰ったグラムの威力を試すにはちょうどいいな。


「ぶったぎってやる!覚悟しろ!」


「ブゴッ!」


目の前の豚を真っ二つに斬る。よー切れるな流石神が作っただけはある。豚が溶けたバターみたいにスパッと切れる。


「お次はお前!次はお前!その次はお前だーー!」


そして豚を次々にミンチにしていく。うげー!もう吐きそう!ならば。


「マジック・アタック!」


前にいた豚がぶっ飛んで後ろにいた豚に当たる。


グチャッ!!


今汚い音がしたね~あーやだやだ。

こうしてものの数分で豚を豚肉にしてやった。これが今日の夕飯よ~


「どうも助けて頂いてありがとうございました。私は商人のタルフォンと言います。あちらにいる三人が私の部下の商人達です。そしてこの女性は…」


「この商隊の護衛剣士をしてるミルティーです!さっきは危ないところ助けてもらってありがとう!」


「いやいや、当然のことをしだけさ。何匹か逃がしちゃったけど」


「いえいえ!助けてもらわなかったら今頃皆は殺され、私はさっきのオークどもり陵辱されるところでした」


あんの豚め!殺して正解だ!


「私もオークの子供を産むだけの生殖道具の人生を送るなんて嫌ですからね♪貴方は私達の命の恩人です!ですから何かおんがえしを…」


別に欲しい物はないし…金なら欲しいけど、堂々と金くれって勇者が言うのも何だかな~


「街まで送ってくれないか?実は道に迷って困ってたんだ」


我ながらナイス返事!よし!いいぞ~このまま街まで送ってくれたら無駄な時間を過ごさずに済む。


「そんなことでいいんでしょうか?他に要求するものはないのですか?」


商人さんよー、俺は勇者だぜ?困ってる人を助けてなんぼの商売よ!


「ハハハ!特に何もないですよ。それくらいです」


「そうですか、喜んで街までお送りします」


うまくいった!やったぜ!


「あの~貴方、さっき魔法を使ってませんでしたか?見てたんです!実は」


ヤバイ!この世界は俺の生まれた世界みたいに魔法が存在しないのか?ミスったな!どうしよう?


「違うよ~そんなわけないじゃない!魔法に見えたのか?あれはただ殴っただけだよ~やだな~」


「そうなんですか?てっきり魔法使いのお方なのかなと思ったんです。」


「だってほら、呪文だって唱えてないだろ~って、

この世界魔法使いいるの?」


「いますよ?かなり珍しい職業なのでどこかの凄腕のギルドの団員かなと思いまして」


「違うよ~俺はただの旅の者です」


この世界にも魔法が……珍しいみたいだけど


「そうなんですか?あれほどの数のオークを一瞬で倒すなんて普通の人じゃないですよね?」


ますます怪しまれた。どうしようかな~


「実は生まれてこの方俗世と関わりを持たず、山奥で修行していたんです!見たでしょ?あの剣術!」


「そうですね。まったく見たことのない流派でした。きっと凄い人なんですね」


そう言うとそそくさとオークと呼ばれる豚野郎の荷物をあさりはじめた。


その夜俺の歓迎会が開かれて大騒ぎをしていた。

寝るときも不寝番をしないV.I.P.待遇。よは満足じゃ今日は安心してぐっすり眠れる~


「ん?」


寝ようと地面に耳をつけたときだった。複数の足跡が聞こえる。敵か?

最初に不寝番をしてた商人に皆を起こすように伝える。そして俺は森の中に入っていく。


「月明かりに何か反射してんな?近づいて見てみるか」


そこには昼間のオークどもが仲間をぞろぞろ連れてやってきた。


「あっちこっちにいるな、まったく非反射処理位しろよな。刃に灰でもつけりゃ済むことじゃねぇか」


流石は犯すことしか脳にないキモ豚だな。また駆逐してやるよ。


「おりゃー!いい度胸だ豚野郎が!」


またオークを殺戮していく。容赦なんてしない。皆殺しだ。

調子にのって逃げていくオークを追いかける。そして、とうとう崖っぷちまで追い詰めた。覚悟しろよオークめ!そして切りかかる!が、綺麗に避けられる。だが逆にオークを持ってそいつを突き落として生き残る。ふぅー危なかったー!


「片付いたな、帰るか」


最後に油断しちゃった。オークの長いグレイブと呼ばれる槍が肩に引っ掛かる。


「なにッ!」


そのまま俺も谷底に落ちる。ここで俺の冒険は終わるわけねーだろ!諦めるか!

まず肩のグレイブだ!そしてグレイブを握ると魔法を唱える。


「ライトニング・ショック!」


雷魔法の初級魔法だ。これは相手を気絶させる魔法で殺す魔法じゃない。それに触れてないと効果がない。オークはそのまま気絶して谷底に落ちて行く。そして崖の上にミルティーの顔が見える。体をのりだして手を出している。決して俺には届かないけどね。涙がポタポタ落ちてくる。川に落ちる前に魔法を発動する。


「フェザーフォール!」


物体の落ちるスピードを羽毛並にする魔法だ!そのまま水面までゆっくり落ちる。そして崖に向かって叫ぶ


「俺は奇跡的に無事だー!皆に伝えてくれー!」


「わかりました!助けを読んできます!」


そして助けに行こうとした彼女の顔が凍りつく。

なに?その顔まさかこういう川ではお約束のあれがこの先にあるのか?それも特大の。


「待ってください!行かないで下さい!貴方には色々と聞きたいことがあるです!」


「そりゃ無理だろ?守ってやれなくてすまない。これからは一人で頑張ってくれ。親切にしてくれてどうもありがとう」


「待って待って!まだ名前も聞いてないです!待ってください!」


「名前はユウだまたなミルティー!次会うときはもっと強くなってくれよ。それじゃあなバイバイ♪」


「いやー!待って!待って!待って!」


ひゅーと落ちる俺、水面にぶつかる瞬間、魔法をまた発動させる。


「ブリンク!」


これは短い距離を瞬間移動する魔法。少し離れた水面に俺が出現する。


「うあっ!」


そこで気絶したのかここから先の記憶がない。ああ、ミルティー、ほんとに短い付き合いだったな~

また近いうちに会えたらいいな~とりあえずさよなら~。ここで俺の意識がぷっつり消えた。

ミルティーは出番が少な過ぎるのでまた登場させる予定です。

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