表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
反撃の英雄たち
109/135

ユウの回想録

衝撃の朝、日本家屋のようだ。むむ…


布団が盛り上がるのだが?しかももぞもぞと動き出したではないか。何かがバサーと起き上がる…獣耳だし裸だし大きいし。てか俺もなぜ裸にされているんだ?


「起きたか?具合はどうだ?ハルナさんの治療に狂いはないと思うが…経過報告しないといかんのでな正確に」


その前に言わせてもらいたい…服を着てくれ!!


「どうして裸だよ…」


「古来より冷えた体を温めるのは女の役目だ。本来ならルフナにやらせるところだが頑なに拒否するのだ。お前も男だ、素直に受け取っておけ。なかなか拝めることはないぞ」


着替えながらなに口走ってるかな…てか一緒の部屋で着替えんな!!羞恥心はないのかね!!ライオンらしき気耐え抜かれた肉体をまじまじと見せられ疑う心も根本からへし折られた。


「助けられたようだな、ここは一つ礼を言っとく。それでは荷物を返してもらおう、すぐここを出立しないといけない。こうしてる間にも進行は進んでいるんだろ」


ライオンの獣人はそれは私は知らない。この家の主が保管していると言ったのでその主とやらを探すことにした。部屋を出ようとすると呼び止められた。


「わざわざ蜂の巣をつつく必要もなかろう。ゆっくりしておけ、腕が立つなら傭兵稼業を手伝ってくれれば道場にも置いといてもらえる。なに、私が話をつけてやろう」


そんな悠長に構えてられるか、俺は部屋を抜け出した。道場?なるほど声が聞こえるあちら側か…


縁側を抜け、道場に入るとどうやら稽古の最中のようだ。俺の存在に気づき組み合ってたホワイトタイガーの獣人がこちらにやってくる。


「昨日今日の事なのにもう動けるとは大した男かな見る限り大丈夫そうだ」


「助けていただいたことには感謝します。ですがお礼をしている暇も惜しいほど敵は迫っている。必ずお礼に参りますので荷物を返して頂きたい」


ホワイトタイガーの獣人…返事はただひとこと


「逃がさんよ♪」


逃げることは出来たのに俺はこの道場に残ることになってしまった。無限ポーチとグラムをとられたままでは戦闘どころの騒ぎではない。ここから奇妙な共同生活が始まった。


「おーいデク、洗濯物置いとくぞー漁りやがったら後でどうなるかわかってるな」


「笑顔で言わないでください」


雑用が主な仕事だった。道場には一番弟子のライオンの獣人、ルネラさん。二番弟子でホルスタウロスのキナさん。それに嫌みたっぷり100%ルフナ野郎とホワイトタイガーの獣人サティ師匠とその娘ミーメイと暮らしていた。虎視眈々流の修行は屈強な獣人しかこなせず流れ者の俺はこの時家事しかさせてはくれなかった。


「働かざる者食うべからず」


それについては俺も共感するが防衛の仕事は師匠は三弟子しか連れていかず俺は荷物持ちとして戦闘には連れ出さず他の牛馬と納屋に放り込まれた。俺は家事スキルをここで磨いていたのだ。


寒い中でも寝床は台所の大鍋の中で飯も仕事が終わるまで食べさせてはくれないとの事なので残り物しかない。俺はそれをそっと集め堆肥にしていた。


洗い物をしているときだった、手伝うと言って袖をめくる女性。師匠の愛娘、ミーメイだった。

元々家事は彼女の仕事であり、俺が彼女の仕事を奪ってしまったのだ。体が病弱で鍛練ができないため家事を手伝っていた…と話には聞いていた。弟子を含め会話禁止を宣告されており喋れば即技かけとなるので俺からは決して喋らない。


「お嬢さんは休んでいてください。これも俺の仕事なので、一人でしないとお嬢さんにさせていたなんて知られれば後で俺が叱られます」


「休んでばかりで退屈なので、そんな邪険に扱わないでくださいね。悪気がないのは知ってますが傷つきます…」


ここまでされて泣きでもされたら俺の身が危ない!

針治療が嫌でアオイ医院に通っていたがこれでは俺は…出禁及び受け身の練習ばっかさせられる!!


「それに二人ですれば半分で済みます!!」


人懐っこいなと最初は思いましたよ、大人しいなーってね。でもなかなか一人娘…溺愛されていてわがままな性格だったのだ。全ての決定権は彼女にあったのだ…


「ユウは私の助手にすること、仕事に関しては先輩である私に一任、勝手はミーメイが許しません!」


激減したのは俺の仕事、力仕事やお使いなどミーメイができない仕事のみ、俺が担当することとなったのだ。裏で何が起こっていたのか。俺は知らなかった。


「何をなさっているのですか?」


「うわっと!!」


薬草に水やりをしていたところ声をかけられた。こっそりと毎日誰にも秘密で行っていた俺の日課。それをまずい人物に見られた。


「朝昼晩、毎日脱け出して薬草栽培なさっていたのですね?」


「まぁ…はい、そうです」


「残りを堆肥に変えて」


「うっ…そうです。その通りです。それよりこんなところに出てきてはまずいですよ!戻りましょう」


ここは道場の裏手の山場、こっそりと育てるのに都合が良かったのに…バレてしまったとは…


「三食、ここに来て1度も食事をされているところを見たことがありません。睡眠もされてませんよねユウさん」


「どうしてそれを!?」


ときどき感じる気配は彼女だったのか…まさか監視されていたなんて…


「いつからですか…そんな生活」


「かれこれ一月になります…」


「一月!?そんなの死んでしまいます!?」


驚かれても俺の体は必要としていない…俺はミーメイに腕を捕まれずるずると道場まで連行された。流石は獣人…弱っても強いな(涙目)


早速台所に連れていかれ握り飯をひょいひょいと作ると俺の前に置いた。正座し腕を組んで俺を睨む…こんなところが母親そっくりだ。


「食べ終わるまで見てますからね」


俺はそれを口に全て放り込むと満足げに笑って見せた。それを見て安心したのか納得ししたように


「よろしい」


去っていった。俺は慌てて厠に走った。盛大に戻した。途中ルネラさんとすれ違い、吐く俺の様子に背中をさすってくれる。


「どうしたって言うんだ!?」


「どうしても死にたがってるんだよ…俺は」


その日から俺は監視があり、食事と睡眠にはチェックが入るようになる。心底俺の心身は疲弊した。


ある夜、風呂焚きで火に薪をくべる。誰かが風呂に入ってくる、次は誰だったか?考えていると声をかけてきたのはキナさん。つまりは壁の向こうにいるのはキナさんってことか。あの乳牛のような爆乳を思い出す…この向こうにそれが…今はこの壁が憎いぞ~オイ!!


「私で最後だよ~」


「そうなんですか、わかりました」


ふーふー竹を吹いて酸欠になりくらくらする。するとおっとりとした口調でキナさんが喋る。


「二人はどこまでしてるのぉー?」


「あの二人とはどの二人のことでしょう?」


言葉の意味が読み取れず聞き返した。返事が返るその間も答えを探すがどうにもわからない。


「やーねーミーメイとの関係、ミーメイはねぇユウちゃんがいないところではずぅーとぉユウのことじゃべってるよ?その様子だと知らなかった~?」


そうなのか?家事より他に彼女と喋ることなんてないし、俺からはどうしてもサティ師匠が気がかりで話しかけたりはしないのだが…新しい発見だが俺と彼女はそういう関係だ。間違いなく他に感情はないが?それがなんだ。


「だとしてそれが俺と関係が?」


向こうで微笑みが湯気と一緒に漏れてくる…洗い終わったのかまた湯槽ザバァーと入る音が…お湯の量がー!明日の洗濯と水やりに残り湯使いたいのに~


「ふっふっふっ~私ね、気づいちゃったよ!これはね恋だとぉー思うんだぁ」


なにやら勘違いをなさっているようなのですが…俺はそんな関係ではないと思います。少なくとも俺はそんなんじゃないし、向こうだって否定するはず。


「恋、ですか?違いますよ。断じてそうじゃない」


「またまた~照れちゃって~」


キナさんとはよく戦闘に連れていっては貰えないとき側にいてくれる。本人も戦いが好きではないし師匠もそれについてはなにも言わない。そんな暇なとき、技を教えてくれたり相談にのってくれたり、ルフナに虐められたりしたときなんか庇ってくれる。

キナさんとは良好な関係たが色恋沙汰になるとこうやってよく俺とミーメイの関係を探ってくる。師匠に頼まれた訳ではなさそうだし、本人がそんな初々しい恋愛話が好きなようだ。だからくっついてくれたらいいなとかなかば妄想を突きつけてるに違いない。


「きっとそうなんだよ~私の勘は鋭いよ~」


とてもそうは思えないがな…超がつくほどの天然なのに…いや?それとこれとは別か。


「からかわないでくださいよ」


「ふっふーん~♪今度は交代だね。お風呂入りなよ~♪お外でフーフーしててあげるかさ」


「そんな、悪いですよ。湯冷めしますよ!」


「兄弟子の言うことは絶対だよ?」


「ですよねーではお言葉に甘えて…」


交代すると外からどんだけ吹いてんだってくらいにフーフー言ってる。やり過ぎやり過ぎ、湯だるよ。


「お久し振りのお湯~♪会いたかったよお湯~♪」


鼻唄混じりで頭を洗ってたらキナさんが入ってきたよ。入ってきた。


「さむーいから二度風呂~!あっ背中流してあげるよぉ~♪」


「ふぎっ!?」


振り返れない…振り返られるものか…

広い湯槽が窮屈だな~いつもは広々ゆったり空間なのに顔面に圧迫感が…秘技のパイ包み製法で谷間で俺の顔はただいま圧迫祭りよ~!!


「良いよね誰かとお風呂!!これがいわゆる裸のお付き合いだよ!これで二人の絆がより深く強くなったんだよ!」


「ははっ…そうですか」


シャンプーハット被ってウキウキしながら俺を抱き締める。勘弁してくれよ~もぅ~!!(牛だけに)


「ぷはー!!お風呂のあとの一杯は格別ですなー!!」


いつもと変わらんだろ、とか言ってみたいが怖いのと機嫌を損なわれると嫌なのでその場のノリで答えておく。


「さぁ、君もぐぐっと一気飲み!!」


「へい、ご一緒させていただきます」


すると台所の向こう側にミーメイの姿が…風呂上がりの俺たちを見ている。監視ならキナさんがいる、

ミーメイはそそくさとその場から離れた。


「ミーメイのお風呂シーン想像してたでしょ~!このスケベ~♪」


それ言うならさっきのあのお風呂タイムはなんだったんだ。俺はそこまで変態ではない。誰の時だって外にいるときはドキドキする。特にルフナの時はお湯が降ってくるからな、火を絶やさないように注意が必要だ。そんなことないと俺はコップを受け取り1飲みで飲み干す。うん、なかなか濃い味だ…濃い味の…銭湯を思い出すよ…いや?さっきキナさんと湯槽にいるときの…


「うむうむ、すばらしい飲みっぷり。搾りがいがありますなぁ~?お味の方は」


「力強いと言うかなんと言うか前まで飲んでたようで初めて飲むうまさと言うか…美味しいですよ?」


なんなんだ、なんか混ぜてあんのか!?特別な何かがあるのか!?ふっふっふっと不気味に笑うキナさんに今回ばかりは嫌な予感しかしない。


「そうであろう、そうであろう。特別に君に今飲んでもらったのは搾りたて、一番搾りの私のミルクだよぉ~♪栄養価満点味もお墨付きホルホルミルクです。成長期にぴったりの栄養食!!」


「………え?」


力強く、何を力説していらっしゃるの?ミーメイが立ち止まった理由はこれじゃないのかい?毎朝皆飲んでたから俺はもしやと思ってもそうじゃないと払拭していたけど…


「味は一緒だけど左右のオッパイをブレンドしてみました~(たぷたぷたぷたぷ)」


そういって揉んでるのだが…マジか、一気飲みしてしまったぞ。後悔しても後の祭り…今回ばかりは俺の体は吐き出さず、栄養分として吸収しやがった。

感覚がないが飢餓状態で飯をかっ込むと嘔吐するらしいな。確かに栄養食としては最適だ。飢餓常態の体の俺は…今日も眠れそうにない。


連日の出張に帰宅したら休日もなしに修行とは化け物め、俺はアオイ医院と戦場を行ったり来たり忙がしい。怪我してない日がないとはどういうことだ。


「今日もやってまね」


「そうですね、そっち干し終わったら終わりですね後は昼まで休憩です。特に仕事なんてないですからあと水やりならキナさんが朝からしてましたよ」


枯らしてないか心配だ。


「鍛練ですよ、元気だな~俺なんてこのざま!!」


「ああ~…」


頭の包帯を指差す。ハルナさんの活人剣の腕は確かだ。世にも珍しい患者を刀でぶった切って治療する人なんだ。ここ獣人しかいないこの村で唯一の診療所で俺がよくお世話になっている。


「戦闘が拡大して…兵隊さんが逃げる間戦っていたんですよね?怖くないんですかその…」


「いえ、全然」


かごを持ってさっさと家に入ってしまった。もしかして怒らせてしまっただろうか?今日も投げ飛ばされる恐怖に怯えないといけないわけか。ガックリしていると師匠がやってきた。俺は箒に持ち変えて仕事してることをアピールする。怒らせてませんよー誰も!!


「ご苦労だな、話がある」


「お嬢さんのことでしょうか…」


「知ってるなら話が早いな、お前のこともある。部屋へはいれ」


あーこれは無傷ではすまんやつだ。逃げようかな、アオイ医院ならほとぼりが冷めるまで匿ってもらえるだろうから…


「厄介になってる身…従うより他にないのはわかってんだろ俺…」


俺は渋々師匠の部屋に入った。そこで正座させられて俺はお叱りを覚悟して深く項垂れた。


「知ってるなら短く言うぞ、娘のことだ」


「はい、なんでしょうか…何らかの罰でもあるんでしょうか…」


「罰はないが色々条件がある」


「痛いことでしょうか…」


「何を言っている。お前の性格だ」


俺は訳がわからなくなってしまった。首をかしげて俺のミーメイをぞんざいな返事で返したことへのお叱りかと思えばそうではない。


「お前はよく働いてくれる。でも血を見るとどうもじっとしてられない性分なんだな。何を抱え込んでいるのか私はどうこう言うものではないとは思うが魔物にたいするお前の変わりようが心配でならないのだ。それだと私も怖くて戦場に出せん…」


嘘つけ、娘の言い付けだろうが。剣を振るう毎日からこんな生活に戻れて多少でも正気には戻っているんだ。でも話は終わらない。


「強いのはわかる、虎視眈々流を継ぐに相応しい人間だ。修行次第ではすぐ私やルフナにキナ、ルネラさへ越える男になるだろう…だがまだ道場にお前を上げる訳にはいかん。腰の物を床の間の飾りにするまで修行はせん。虎視眈々流の免許皆伝するまで私は交際を許すつもりもない」


俺は頭で素早く勘違いを修正して答えた。俺は残虐になってもいいようだ。


「虎視眈々流なんて継ぐ気なんてないしこっちはグラムと無限ポーチさえ返してもらえればすぐに出ていくしお嬢さんと交際なんてしてませんしする気も

ありません」


衝撃がやたらと強かったのか師匠の頭では俺の答えを一つ一つ考えているようで返事が返るまでにずいぶんこっちは待たされた。


「おいおい、付き合ってるのでは?少なくとも娘の口調からそのような気がしたのだが?」


震えながら師匠はそう返してきた。


「俺は誰かと添い遂げるとか、そんなことしないと決めてますから。わかるでしょ?傭兵稼業してるなら危険が付きまとうのは、ましてやこの世の中」


「娘にとっても最後の恋愛かもしれんのだ!頼むから大人しく娘の側にいてやってくれ!!」


娘と二人っきりにしとくと危ないとか言って荷物持ちとして連れ出したのはどこのどいつだい…お前だよ!!


「お嬢さんの病気、治すことはこの土地では特効薬の薬草が育ちませんが、今栽培しているこの薬草、道場の裏山にあるのですがこの薬草を煎じて飲めば

程度は軽くてきますよ?だから最近は寝込まずにあーして家事してますよね?この薬草のお陰です。俺がここを出て特効薬の薬草を育てればお嬢さんの病気も治ります」


「本当か!?」


両肩鷲掴みにされ激しく揺さぶられるが辛うじて答えてみせた。頭をポカポカ叩かれた。


「これで安心して娘を預けられる。よろしく頼んだぞ…幸せな…家庭に…」


「しませんよ、出ていくって言ったでしょ」


今度は深く頭を垂れるのは師匠の番だ。わなわなと怒りに震えバシバシ体に衝撃を放つ…くそ…


そのあと師匠は娘に直接事の真相を尋ねた。息をきらしながら台所で昼食の用意をする娘に思っていたことをぶちまけるとミーメイは思い出したくなかったことのようでにっこりとしてるが視線を落としてエプロンで手をふきながらどういうことなのか洗いざらい喋った。


「人生最初の失恋でした」


星降る夜に、こんなドラマチックな星空の下で告白したのはミーメイの方だった。逆プロポーズってやつだ。呼び出したのは俺、本当は不眠、断食していることを悟られたくなくて呼び出したのだ。これをチャンスととらえたのはミーメイでどことなく遠回しで気があるのか確かめたのだ。本人は聞きたくないようで聞きたいらしく決まった答えを聞き出そうとしていた…が。


「俺の好きな人、ですか?」


乙女心を理解せずストレートに解釈する俺、翻訳は間違っていないはずだ。俺は空を見上げて星を指差す。


「俺の大事な人は今はあそこにいるます。会いたくても会えないけどいつかまた会える。とまぁ信じてますがどうでしょうかね?」


まだ忘れられない…まだ見ぬ誰かの間に自分が入り込むのが嫌でそれ以上は追求もなにもせずそっとその話題から身を引いた。


「あんのバカ弟子めー!?」





















「ねぇ痛い~ここが痛い~?もしかしてここも痛いのかな~?」


「楽しそうーまぁーぜて?」


「二人ともそっとしてやれ、傷心なんだ」


ズタボロにされて雑巾みたいに転がる俺に兄弟子が群がる。全てを察したようにルネラさんが肩に手を置いた。あのーそこも痛いのですが…


「飲んで忘れろ…ぱぁーとな!」


なんで俺が失恋したみたいになってんだ?その時怒号と激昂する師匠にシバき回された。今日もアオイ医院を儲けさしてしまった。デビルヒサメとハルナさんは今日も俺の顔を見て色々察してくれた。大した観察眼だ。傷の具合から色々的中させたのだ。


























時は過ぎ数ヶ月…練兵場で新兵に剣術指南する仕事をしたり(ここで教官となる)そいつらとダンジョン攻略に向かい多大なる被害をだし(勇者の過失)それなりに満足した生活を送っていた。そんなある日、とうとうこの近辺まで魔王軍が進行を進めてきた。隣国が数日は持ちこたえると思われたがわずか1日で王都が落城、国を支配した。そして止まることをしらない魔王軍はとうとうこちらに攻めてきたのだ…


「腕のあるものは魔王軍の配下となりすんなり進行を進めてきたと言うことです」


「そりゃー討って出るでしょ。敵が攻め落として浮き足立ってる今がその時、兵を失いたくないのはわかるがこっちも隣国に兵士送ってそんなにいないんだろ?いるとしたら士官学校出たての若造くらいなもんだろ」


「でも数人で出撃とは無謀過ぎる!!」


カイドロ、キグミント含めここに数人の猛者がいるしかし敵は魔王以外にも幹部やミカサを連れている可能性がある。どうしても部が悪い、けどこのまま黙ってやられる訳にはいかない。


「そうだ!もう一人の勇者!彼らのパーティーならどうだろう!戦果もたしかだ、あの黒王を破ったのだからな!!」


黒王ってゆう邪神酔狂の悪魔が人間界を襲っていたがそれを食い止めていたのがもう一人の勇者、聖都から来た援軍ナウシカアちゃんが到着して見事な連携で倒したとのことだった。


「無理じゃないかしら~坊やはさっさと退場してなさい…くすくす♪楽しいところじゃない、もう一人の勇者がまた一つ伝説を作ろうとしてるのに…冷めるじゃないゴミ!!」


「おいアホ狐…今お前が殺気で気絶させたのは一応最高司令官だ」


俺は呆れたようにそう言った。城の作戦会議場は殺伐とした空気が張り詰めた。だってそうだろ、数千万の軍勢がこちらに向かっているのだから誰だって生きた心地はしない。しかも正確な数はわからない増えながらこちらに向かって来ているのだ。


「わかってやったのよー皆様、この方に次いで司令官の席に座ってくれる人~?あら、いないの?私が座っても文句ないかしら?」


くすくす笑いながら全員を見渡せる最高司令官の席に座る。座り心地がどーとか言ってるがこの際無視だ無視。


「メンバーは俺とヴァンパイアエルフのフチだ。文句のあるやつはいるか?」


「あいつか?あんな得たいの知れない化け物連れていく気かよ!?」


カイドロが呆れたように、驚きを隠さずそう言ったのだ。確かに信用に足りるかはわからないが不死身の第4小隊との戦闘でこいつの恐ろしさはよく知ってる、知ってるから戦力になる。あのドMダークエルフがどこまで信用あるかだが…


「死んでも後悔、悔しがるやつはいないだろ?せいぜい利用してやりましょうよ、供養のためにもさ」


「それだけじゃない!お前だけとはどういうことか説明しろ!」


「噛みつくなカイドロ、これ以上案はない。突撃は俺ら、後のことはお前らに任せる…問題ないな女狐め…」


「今度こそ口が聞けないようにしましょうか?」


「お前に全部一任するからな、信用しとく」


「あら~今日は素直ね!?可愛♪」


俺は会議場の扉を開け放つとグラムに目をやる、やっぱりこいつがないと始まらん!!俺は城壁に繋がる階段を上がり下界を見渡す…げげっ!あれ全部魔物かよ…大地を埋め尽くす怪異の群れに正直後退りしたくなった。今の俺は勇気もましてや優しさもない。

だが前のように狂気が支配してる訳でもない。純粋に守りたい、その意思だけだ。自分から1歩踏み出す勇気もない話し合いで解決できるなら許す優しさも持ち合わせてない。今ある大事なものを守るため背中を押してくれる人のため仲間だからじゃなく助けを求める人の為に!!やってやる…


城門の前に檻がある、中には意味不明なことを叫ぶエルフが…戦いたいか?嫌だろうな…消え際のあの「ありがとう」が胸に突き刺さる…悪いな、まだ働いてもらうぜ…


「城門を上げろ!!檻も開けろ!!予定より敵が早いからもう始めるぜ!!」


不死身のヴァンパイアエルフがいるから俺の陽動が務まる。なんせ俺の精霊術は敵味方分けて燃やすなんて出来ないからなヴァンパイアエルフだと気がねなく燃やせる。ひでー男だぜ俺も!!

虎視眈々流の免許皆伝を受けた証…師匠とミーメイの肉きゅうハンコがついた巻物を無限ポーチにしまいこんでグラムを引き抜く。ヴァンパイアエルフが

背丈以上の魔物を放り投げている…そっちばっかり集中されたら困るな!!

左手の紅の手甲を出してヴァンパイアエルフのいる中央以外、左右を炎と風で多い尽くす…


「あらよっと…こっからが反撃の狼煙だ!」


するとしたの方が騒がしくなる…命令無視して突っ込む奴が多数…後に2つ名を残す英雄たちだ。傷…

シュラたんかよ…オイイイイイ…シュラたんを筆頭にカイドロやキグミント、各国の手練れが一丸となって正面の数千万の軍勢に突進している。策も何もない突撃…精霊術使うわけにもいかないよね…


「しょうしょう出鼻を挫かれたが…そんなの慣れっこじゃボケェー!!」


今の俺はびっくりするほど勇者っぽい。間違ってないけど絵に書いたこの活躍劇!!

シルフの風に乗って退路を塞ぐ形で回り込む…どんだけいるんだよおい…最後尾に回り込み着地する。

魔王もミカサの姿もない。化け物に変えられた人や操られてる亜人の方々もいないのでしょうしんしょうめいの魔物だけ…だな?


「ノーム!!横に壁を作れ!これで逃げ場を完全に塞ぐんだ!それからウィンディーネ…使いたくねーけど使いたくないけど召喚んんん!!ウィンディーネのいる土地じゃないけど出ろや!!」


あっお久しぶりです、なかなか出番無かったよねこの尻軽ビッチ!前みたいにここにいる仲間全員に水の鎧頼むわ!!


「やああああん!!召喚んんん!?召喚されちゃったの私が!?サラマンダーじゃなくて!?ちょーうれぴー!!ねーねーどこが愛の巣!?二人の愛の巣はどの水辺ー!?」


「さっさと仕事しろよ能天気!!蒸発させんぞ!!」


「またすぐ怒る~怒るところもス・テ・キきゃっ♪

でもでもね~私は~ユウ専用なの~!ユウ専用の~あっ~鎧になっちゃう~!!」


俺の体を包み込みグルグルとぐろ巻いてる…まぁこれはこれでいいか…ポーチからシナモンを取りだし口に加えると左手で魂威、右手のグラムで敵を蹴散らしていく。


「おらおらー!?幹部よぉー!?出てこいや!!」


歴史的な勝利の瞬間だった。快進撃の停止を余儀なくされた魔王軍、それでもこれは本の一部だろう。これから続く戦いの…




















うっ…いてて!確かにこっちらへんでみたと思ったがな…反響定位で舌打ちしながら戦場を抜け出し森林に迷いこんだ。今ごろ城では英雄たちを称えたいることでしょう…染々思うわ、俺って運がない。


「どこだよ敵~残党はいないはず…新たな敵の増援よ~どこだよ~」


パキ…

後ろで足音が…枝を踏んだ音…誰かいたなら反響定位でわかったはず…瞬間移動…誰が!?振り向いてグラムを構えると…どっかで会ったか幼女?


幼いサキュバスだった…


「またまた誘い出されちゃったのね~駄目よ?そんな悪い子にはお仕置きねっ!たっーぷりと絞ってあげる!淫魔の名に恥じぬ行い~!!」


冷や汗かく俺の前で幼女はグラマラスな女性に変化した…前にもあったよな…コレ


「襲っちゃいたいけど~(じゅるり)今回の相手は私じゃないの(残念だけど)戦場であなたを見かけたから急いで逃げて連れてきてあげたのよ」


「誰を…だいたい察しがつくけど」


「私、そう言う契約」


出たか…魔方陣からメモ帳とペンを持ってやって来た。なんだ!何が始まろうとして…して…後ろにいるのはもしかして…魔界でしか見ることのできないまさか…の!?


「ハァハァ♪ユウ殿~ぉぉぉぉ発情期なのに更に魔法をかけられてぇぇぇ♪この火照った体を鎮めるのはユウ殿だけですぅぅぅ!!」


前と同じ魔法にかけられて発情したセントーレじゃないですか?この下り久しぶりだねー?てかなんで連れてきた!


「友達のよしみで聞いてあげないと…ね?頑張ってね~そのあとお姉さんだから♪ファイト♪」


「いつでも始めていい…バッチコーイ」


「ユウ殿~ぉぉぉぉ!!主従関係から私を女にしてくださいぃぃぃ!!」


「ピギャアアアアアア!?」


泣きっ面に蜂…魔力の全てを出しきり瞬間移動した更に寿命を削ったがこの時だけは悔いはなかった。


























「ふんふんふーんネリアスーパーキューティクルお姉さんは川で洗濯を…っとっと!?」


そのとき上流からネリアに渡していた座標を頼りに多少のズレはあるものの瞬間移動してきたユウがどんぶらこどんぶらこと流れてきました。


「だっ旦那!?しかりしてくだせぇ!!そっそうだグロリアさんなら!!グロリアさーん!!」


そしてネリアと二人暮らしを始め、ネリアがどうしてもと言うのでグロリアを匿って平和に暮らしていましたとさ…話は戻りアオイ医院…





















「バカ息子!身重の妻をほっぽって蒸発するなんてね!死んだとは思っとらんかったが何していた!?」


「息子じゃねぇ!!弟子だ!!離せー!腕治しに来たのになんで師匠がいるんだよ!!」


何とかして逃げようとジタバタと暴れるがヒサメさんは助けてくれる気配がない…ハルナさーん!助けてー!針治療なんて真っ平ごめんだよ!!道場なんて行きたくないよ~!!


駄々こねて医院の柱にへばりつく俺に流石の師匠も手も足も出ないようだ!!そうだ!そのまま諦めやがれ!!道場に帰ってキナさんのおっぱいに泣きつけ!!


「ほら帰るぞ!!」


「いーやーだー(涙)」


ようやくヒサメさんがハルナさんを連れてきてくれた…相変わらず刀をに2.3本腰に下げている…戦場でも行くのか?野戦病院で世話になったこともあるけどさ…細い目にミカサとシュラとは違い茶色い髪…

何から何まであいつらと大違いだぜ!!


刀を抜いてハルナさんが俺の両腕を切り落とし…たように錯覚しているが切れてない…腕が上がる!!やったー!治った~!


「院内ではお静かに…しー」


人差し指を俺の唇に当てる仕草も可愛い!!すると拳骨を俺に見舞う師匠…まだ院内だからいいが…人の頭をポカポカなぐりやかって!!


「離しやがれゴラァ!!」


「いつからそんな生意気な口を母親にきくようになった!?しごきが足りんか!?」


「無限ポーチとグラムを取り返したらときだよバーカが!俺が母親と認めるのはエクシアさんとユニファーさんとシュラたんだけだ!胸がデカイだけなら良いと思うなよ!!」


ギャーギャーと院内の玄関で騒ぐ二人…


「なかなか帰りませんねあの二人…」


「ヒサメ、教えてあげる。親子喧嘩は妹も食べないってね♪」


「それを言うなら痴話喧嘩は野良犬も食べないですよ…シュラさんをなんだと思ってるんですか院長」


「てへ♪」


「はぁ…それにしてもまだ続いてますね…」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ