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異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
反撃の英雄たち
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復活劇の序章

カラカラカラ~カラカラカラ…


あーしんど


















グラムを握るのも疲れてきた。


見れば血、血、血、流血。川になっている。早く一雨来て洗い流してくれ。


真っ昼間、のはすが曇天の空。俺の願いが聞き取られるのもそう遠い未来の話ではないだろう。決戦となった広場では神殺しの骨矢を受け倒れた兵士、食い殺されて肉塊となったもの巨体で押し潰されたのか原型を留めていない。人間通しの争いでないことは明白だ。生存者1名敵味方は壊滅した。





















泥濘にはまり泥だらけ…他の戦場はどうなった?今思い返せばこんなことを情景から思う、でもそのときの俺はそうではなかった。


木にもたれ無気力な俺、目は死人のように生気がない。ここは俺の戦場だ、帰る場所、戦場。この狂気に身を委ねるのも悪くない。敵が女だろうと容赦なく叩き潰す、命乞いなんて知ったことかお前、そう言ってきた人の子何人その手にかけた?面白いよなー今度は自分がその立場なんだぜ?


一思いに死ねると思った?ダメだよ、信頼のカタキだ。許してやらねー泣いたってだーめ。あれ?どうして逃げるの?部下も死んじゃったよ?ねーねーどこ逃げるの?逃げ場なんてないよ。自分だけ助かろうってそんなの許すわけねーだろ。



















「あー殺っちまった。まただ、まだ渇く。情け?怨み?そんなものないね、そんなクダラネーすぽんさー背負って戦争やってんじゃねーんだ。当て付けだ馬鹿野郎この野郎、よくも人間様減らしやがったなこの野郎もうしーらね、もう助けてやんね!二度と動くな首だけ置いてとっとと逝ね!」


グラムの剣光は鈍い…切れ味鋭いグラムももはや鈍器のように振り回す俺、振るたび輪切りになる女悪魔も最早叫ぶ間もなく粉微塵♪これまで連勝としてこの部隊を率い、1を100で覆うような虐殺を繰り広げてた魔王軍の進軍もここで一人の男の介入でこうもあっさりひっくり返る。


「噂拾って駆けつけるのが遅かったのが原因だ。俺のミスだ」


こう言うべきところを俺は、俺と言うやつは。


「脆い、きっと君らの身体は砂で出来てるんだ。血液で固めた脆い砂の城。立派に見えても雨風吹けばこうも脆い!!崩れて無に帰るのも呆気なく砂とは違い後を濁す汚染物。ああ森羅万象を操る力があるならお前らの存在なんて消してやる。実も花もつけない汚い死体、儚い以外になにが似ている?草木になって呆気なく散れ!!」


グシャグシャと死体を潰す損壊行為も今考えればどう言うことなのかさっぱりわからん。あの場の俺ですら全部は語れんだろう。


「塵も積もれば山となる。言葉通りだ、足を埋め尽くす塵め!思い通りに動かんゴミ屑め!」


目に写るのは赤赤赤赤赤赤!!吐き気も起きん鉄の匂いもう俺の身体はどうしてしまったのか。死体の海、血の海を割って入る。まとわりつく鮮血の匂いもやがて腐敗する肉の匂いに変わるのだろう。あてもなくさ迷う。まだ動くものを探している。それが人であれ獣であれ自分が食い殺すのは目に見えている。


「さぁこいかかってこい。殺れ、その単純な本能に従ってここにいるんだろ。誰でもいい。動けるやつは戦え、戦え!ここにまだ俺が立ってるぞ!!」


狂人の慟哭も聞いてくれるやつはいない。白ける舞台上だ。共演者のいない舞台。生殺しの俺、やりたいこともできないないんですよ。狂う。





















先程の女悪魔、指揮官のあの女、あれはよかった。

興奮した。そのまま強姦してやろうかと舌舐めずりしたほどに、殺すことと性交は似てるんだと。どちらかの研究をすればどちらかに行き着く。あの反応はイイ。最高だ、ベルセルクになるのも悪くはないかもしれない。欲望のまま、敵を蹂躙する?イイかもしれない。敵が何だろうと関係ない。お前ら全員泣かしてやる。お前ら全員切り倒して魔王の心臓抉ってやる。俺のように、焼かれる胸の痛みに苦しみながら殺してやる。


「信頼…」


もう戻せないんだ、全部。時間も後悔も、無かったことにはできない。


「イヒヒヒヒヒヒヒー!!」


俺は壊れてしまったんだろうか?大事なものを全て失って

「なあ皆ー!」

きっと俺の選択は間違っていたんだろうか?

「まだ間に合うまだ間に合う!!聖都にはまだ仲間がいるんだ!妹もニィーナも!ミカサも!」

殺せる時に殺しておくべきだったのか?

リッチとリリスの制止を振りきり駆けた。まだ間に合うかもしれない。もしかしたら巧く逃げ切れたかもしれない。

開く傷を押してまだ走る、到着するまで体が持てばそれでいい。

「やだよ…嫌だよー!!」

街が燃えてるのがわかった。でも諦めがつかない。


あの日を境に何もかもが変わった。生活も


「ユウナ!!ミカサー!!」


橋を渡り魔王軍が押し寄せる。じりじりと炎が広がるように。頭領であるメイビスを乗せたジャバウォックを先頭にこっちに向かってくる。影で表情は見えないが見たくない。


「嘘だ…嘘だー!!」


メイビスが人指し指を俺に向けた。その時初めて魔王の顔をみた。炎のように紅い髪に冷酷な魔眼…

俺の知らないメイビスがそこにはいた。


「殺れ、ミカサ」


「ユウ逃げてー!!」


ユウナの声に我に帰った。気づいたときには切られた後だった。変わってしまった。メイビスも俺も。
























殺しの後の呆けた時はストレスで忘れた過去が戻ってくる時がある。自分がどうしてこうなったか思い出すときがある。厄介なこの頭痛、戦場に身を置いてもう長いこと経つ。あれから生きた人間にも出会うことがない。いつみても死体、安心できるものだこうだと。何日も不眠不休でも身体はこうして動いている。鬱陶しいネリアはもういない。グロリアと一緒に剣を突きつけて逃げ出した。怖いんだとても誰かといることが。


木にもたれ思い返す。実に人間らしいじゃないか、でも獣になるときがきた。気配がする、殺気だ。間違いなく強い…楽しめる。女がこい、強気で鼻っ柱が強い…美人がいいな、泣き叫ぶ様を見せてくれ…


確実に迫ってくる。グラムはいつでも抜ける。さぁこい!先制は譲ってやってもいい…逃げるなよ。

白い体表…毛だ、獣化した獣人…模様からホワイトタイガーか…新手にぞくぞくした。おまけに獣人が数人おまけでついてきた。なんてこった、こりゃ長いこと遊べそうだ。顔色ひとつ変えず相手を観察する。襲ってくる気配がない…殺気も消えた…萎えるな、操られてないのか?なら用はない…こっちはじっと見つめるだけでなにもせず何事もなかったようにそっぽを向いた。


「半死人、敗残兵か?ここまでよくたどり着けたなだれか傷を見てやれ」


「見ればわかりますよ師匠。とてもこれでは助かりませんよ。血の量を見てくださいよ」


切られてるがこれは返り血だ…返り血、返り血のはずだ?こんなにも怪我してるはずが…気にしてなかっただけで大量の出血なのは確かだった。それが気づかないほど自分に酔っていたってことか。


「 ルフナ、見てやれ。二度も言わすな。助かるかどうかはこっちの問題じゃない」


するとぶつぶつ言いながらこっちにきた。オイ、ほっといてくれないか?頭の先から爪先まで確認する獣人、どうやら犬…のようだがそこまで小柄じゃないどちらかと言えば…オオカミか?

たいして確かめずざっと見で様子を見て俺の傷…の少し上に手を置いた…太い血管、傷口広げて更に出血させる気だ。こいつ、助けるのが面倒でバレないように殺しに来やがった。おいおいたまんねーな待ってたよ~オイ♪


「どうだ?」


「どうでしょうかね?え?」


オオカミ少女の肩に手を置く。片手はグラム、にやりと笑うと気取られないように…


「殺らせろ」


「いきなりヤらせろとかなに口走って!この変態…いぃ?」


後ろで控えてた獣人の…体格が大きいやつが飛び出した。デカイ図体で…おいおいライオンか!?

ライオンのパンチを宙返りで避け柄に手を置く…殺気を押し殺したつもりが…ちっ


「抜け目ないやつ…ルフナ、お前のせいで事態がややこしくなった。面倒な男を敵にしているぞ」


後ろで腕を抱えたホワイトタイガーの獣人が注意を促す。後ろに控えた大きな荷物係…規格外ボディーの牛さん、ホルスタインかなあの胸は…ホルスタウロスかな?ミノタウロスと人間のハーフとか言われてるけど全くの別種、獣人の牛バージョンだ。さして警戒してはいない。


「いきなりヤらせろとかいってお…」


「黙っていろルフナ…油断するなと言われた通りだ手負いの獣は何をするかわからんぞ…」


「レイプでしょこの変態!!」


2対1か悪くない…居合いでオオカミを蹴散らすか…でも楽しむならオオカミだろ、泣き叫ぶところを想像してまた逃すわけにはいかない。


「大将首だ…なぁ!お前が大将首だろ!」


ホワイトタイガーに向かって叫ぶ。ほら大丈夫、叫ぶ元気がまだまだある。お前ら全員相手にしてもまだ有り余るほどあるぞ…先に頭落としとくか…


「だと言ったら?」


「殺す」


端的に済ませて二人の間を抜けるとき…


「バカめ!二人の同時の魂威で死ね!」


獣ハンドが二つ迫るも顔を掠める前に瞬間移動してホワイトタイガーの前に出る。ホルスタウロスも出てくるがホワイトタイガーはホルスタウロスを突き飛ばした。


「こうでもせんと止まりそうにないからな、お前に目の前でこいつを潰されたらかなわん…」


飛び出す衝底、吹っ飛ぶ体。だがこれくらいの衝撃で気絶もしなければ死にもしない。精々悪足掻きでもしてくれ。また接近していくも今度は勝手が違った。


「これで落ちなかったとなるとなかなか骨がある。魔王軍から生き残っただけはある。手加減無用「全員で」組伏せろ」


「そこまでですか?」


「そこまでだ」


何をごちゃごちゃ勝った気でほざいてんのか知らないが寝言は寝てから言えってんだ毛玉野郎!!獣人が

誰かと被りフラッシュバックする。


「さっさと死んでください」


「えっ?」


泣いているのか?俺が?攻撃を避けもせず反撃もしない、その身に全てを受けて膝から崩れた。


「やったー終わってないけど…終わってないけど。久しぶりに眠たいんだ。疲れてきた?お腹が空いて力もでない…生きてる…やったー実感できる。肌の温もりも…痛いし…これって血で濡れてるんだよなわかるよ、わかる。あれっ?腕が上がらない。立ち上がれない。感覚がない」


「これだけ衝撃を体内に打ち込んだから、生きてる方が不思議だ」


ホワイトタイガーが何か言ってる。言ってるんだろうけど聞き取れない。なんて?何て言ってるんだ。


「ずっと戦ってたんだな。遅くなってすまない。もう眠っていいぞ。我々がきた」


「殺してやる…殺してやる殺す殺しに殺し殺しておく殺せる殺されて殺しの殺…なんだっけ?大事なことだったんだろうけど。とりあえずもう大丈夫だ」


そこから先記憶がない。狂気の俺はこの時何を口走ってたか師匠と兄弟子しかしらない。

















また、まただ。知らない天井…なんだっけ?前にもあったことあるな!


「また、死に損ねたのか…」

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