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異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
反撃の英雄たち
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突撃、隣のご飯。それゆけ柔らか猫戦車

さて、夜です。暗いです、寒いです…なんかお尻とか痛いです。頭上からカイドロのいびきが…キグミントの中にいるからだけど…俺は?キグミントのお膝の上に座ってます。ちょこんと…タバコ屋のおばあちゃんの膝の上に乗る猫のように静かにちょこんと座っていた。


優しい俺は無限ポーチから出した毛布をシュラに渡してシュラは今毛布です巻きになっている。猫耳だけ飛び出していることからシュラがいることはわかる。キグミントの中は寝心地は恐らく悪い…悪いが温度調節はされており寒くもなく快適だ。なんの身寄りもない可哀想で可愛い俺は燃料がなくなって消えた火を見ながらキグミントのお膝でカタカタ震えていた。ちっとも暖まらんのです、それどころかお尻から凍ってないでしょうか?


「翌朝まで持つのかな…」


冷凍保存されそうな勢いだ。


朝の…何時だろ、薄暗い中やっと一日が始まると歓喜する私、結局ここ数日寝ずに過ごしましたからね俺は…寒さは大サソリの殻で防ぎましただから生きてるのだよ。今日までな!


「よく眠れた…ようじゃなさそうだな、不寝番はキグミントがいれば十分だと言ったろう?しょうがないやつめ、食料調達は私がしてくる。それまでだがゆっくり休め…」


風と共にさるシュラ…すぐさま落ちてる毛布をかき集めキグミントのお膝に戻る。丸くなっていても…そう今気づいたよ俺、尻が痛いのは冷たい金属製のキグミントのお膝が原因では?誰か!うまいこと言うから俺に座布団をよこせ、尻が~!


シュラの獲物捕獲は失敗しお耳ペッタンコにして帰ってきた。夜行性の動物を狙って走ったようだがどうやら今回はダメだったらしい。顔は普通だがしょげた猫耳を見ているだけで心苦しくなる。もういいもういいんだシュラ!!誰もお前を責めない!!だからお耳立てて!!ほらもっとお耳立てて!!


太陽が顔を出す前に今後の日程を決める。まずキグミントと俺で身の危険迫るファラオを救出する女王様お出迎え組とスフィンクスと在存兵力合流組と別れる手はずだったがどうしてもシュラは俺といたいらしい。可愛らしいやつめ、けどカイドロはキグミントと仲が悪かったよね?恐る恐る聞くとカイドロはあっさりと交代を認めた。なんだ、仲良しじゃないかこれなら俺とシュラでオアシスに向かおう。


「いいか?アヌビスに手を出すな…裏切りは寄生虫を介して魔王が操ってることもあるからな。出会ったらその虫とやらを探してみてほしい魔王が出たらまず逃げなさい。勝てないかも、てか操られたら厄介だから…あっ、でもカイドロなら毒出せば済むしキグミントは問題なしだからシュラと…俺だけか」


「そんなもの、取りつかれた瞬間吸収できる。気を付けるのはお前だけだぞ。どうやら過去に経験があるらしいな」


「そうでしたそうでした…では集合場所だが魔王軍が支配してる王家の谷に集合な、これだけ手練れがいたら魔王相手だって勝てないにしても隙ついて帰れるだろうから」


「魔王だけならいい、幹部までいればこの人数ではどうすることもできん、災厄カイドロだけ置いて逃げるのも手だが…」


簡単に仲間切り捨てるシュラの慈愛の無さ、元が極悪人なのでそんなことされても文句言えない立場だがもうすぐで子持ちの親になるんだ、生きて返してやりたい。もちろん残るなら俺だ、たくさん時間稼げる自信はあるしなによりテレポートやゲートを使えば難なくお家に帰ることができる(魔力持つかなそれだけ心配)から問題ない。


「その時に考えたらいいだろ?それじゃあ皆さん頑張ってください、俺ももうちょい頑張る」


寝不足で過労死しそうな勇者の言葉…キグミントですら呆れてるようだ…なんだそのため息は!!若いくせにため息なんかするんじゃない!


「そんじゃまー死なねーようにな、この砂漠じゃあ敵に殺されるより暑さで殺られることのねーようにな、そんだけ」


カイドロとキグミントが山になっている砂漠を登ったり…降りたりするのを眺めて地平線に消えた後、ようやく俺は動き出した…かに思われたが…


「立ってるだけで精一杯だったんだな?」


シュラに指でつつかれるとそのまま顔面から砂に突っ込む。あ~お口ジャリジャリなんじゃ~


「ふむ、これは一食抜いた私と同じくらい弱々しい姿だな、それではこれから狩りするがお前をここに置いといたら干からびそうだな、眠ってればサンドワームに食われるかもしれんから…」


ダッシュで去るシュラ…う~動けないぃ~確かにこのままでは砂漠の魔物にパックリ丸のみされそうだぜ…ものの数分でシュラは帰ってきた。背中には葦で編んだような蓋つきの背負い篭が、篭から大サソリの甲殻を取り出すとペタペタと篭の周りに張り付けていく。なんだろうこれ?


「獲物を探す間ユウはこれに乗っていろ。暑いかもしれんから断熱材代わりに甲殻を張ってみた」


大サソリの甲殻は通気性に優れている。意外かもしれないが甲殻は硬いが小さな穴が表面にはあってそこから熱を逃がしているらしい。シュラ&ミカサでは俺より身長が高い。頭がちょうどシュラ&ミカサの肩の位置…俺は決しておチビじゃないぞ…


蓋をカポッと開けて俺の身体を入れる。スッポリ収まるんだなこれが。怪力シュラは難なく背負う。恥ずかしいしなにより悔しいな、シュラに背負われてるならまだ少し納得できるけど…


「軽いな、痩せたな?」


うっせーこんな砂漠でサバイバルしたら嫌でもこうなるんだよ、サウナで日常生活なんてできるか!

それから貨物列車シュラは俺を乗せて走り出した。俺が何度も何度もファラオ探そうって言ってるのに餌探しを優先すんの、燃料切れが早い。燃費が悪いのもシュラの弱点か。高速スピードだから速いのね~足場が悪い砂漠でもこれほどまで能力を発揮できるとは…しかし闇雲に探してたんではいつまでたってもシュラは満足しない。食料にありついてもまた動いてたら腹が空くので極力食べたら無駄な動きは慎むべきだ。水もさー少ないしさー?シュラに止まるように指示し篭の縁からヒョッコリ頭だけ出す。

前に深海でみせた反響定位を使うことにした。


「チッチッチッ…あ~デルクスしかいないな近くには…」


「近くにはデルクスがいるのだろ?食べられない魔物なのか?」


「すんげー旨い、旨いけど警戒心強くてさ…俺も狙ってみたけどすぐ砂の中に潜んの、瞬間移動なら一匹は捕まえられるけど…魔力がもったいないし、諦めよう?シュラ、お前のことなら何匹も食べたいだろうが近づいたら逃げられるからな…別の大きな獲物を狙おう…」


疲れてたからか、さっきまで安心してスヤスヤ寝てた俺、起きてもまだ走り続けていたシュラに俺は少し危機を感じた。シュラが一食抜いたらシュラは実際は弱々しくなったりしない。凶暴さが増す。もう正午になるのに睡眠から目覚めてシュラは何も口にしてない=超機嫌が悪いからだ。


「下ろすぞ?少しここで待っていろ。お前が美味しいと言うのなら美味しいのだろう。何も諦めることはない」


シュラが感じ取ったのは背中の俺が漏らした残念そうな声だ。何が残念なのか、俺はデルクスの捕獲のことだったが俺はシュラが食べられないから残念そうな声になったのだがシュラからしては俺が何度も挑戦して食べられなかったものをまた諦めるのが残念だと感じた、ようするに相手を気遣ったのだ。

俺は篭から手だけ出して猫耳と戯れる。猫耳をふにふに触って堪能する。


「そうだな、警戒心強くてすぐに砂に潜るのだろ?ならば大丈夫だ」


篭を置いてシュラは犬のようにここ掘れワンワンしている。砂を掻き分けすっぽり入ると砂中をどんどん進んでいく…猫耳だけを外に出しているからか黒い三角の物体がするすると群れに向かって進んでいく。ほう、見ててなんだがこうしてみるとおもしろいな。


デルクスは砂漠を泳ぐ魚に似た魔物で顔はイルカみたいな顔で背鰭を出してスイスイと砂漠を泳ぐ。肉はとても美味しいが捕まえるのは困難、なんせ警戒心が強く近づけば砂中に潜るからだ。音爆弾など騒音には弱いので驚いて砂中から飛び出すがあいにくそういったものは持ち合わせていない。今はシュラの狩りを見てみるか…

群れで行動するデルクスだがシュラが近づくことにまだ気づいていない…


「てい!」


篭から手を出して小石を掴むと三角の物体の前に投げる。砂上の小石は蟻地獄に捕まったように一瞬で砂中に消えた…やがて吐き出したのか小石が勢いよく飛び出す。シュラはあーやって吸い込むつもりらしい。どうなることやら…


目線の先、デルクスに襲いかかるシュラ、何匹か吸い込まれるように砂中に消え、残りはパニックになり潜ろうとするとすでに砂中には凶悪な飢えたシュラが待ち構えておりあれよあれよとシュラに食べられていく。生き延びたのは数匹だろう。あんなにいたのに、ほぼ絶滅。小脇に二匹抱えてシュラが悦び勇んで帰ってくる。あれがシュラの漁なのか…


「お帰リンゴー」


「ただいマンゴー?ほら、お土産だ。美味しいのだぞ?元気出すんだ。食べろ」


うん、うん(涙)ミカサのくそ猫野郎には絶対真似できない可愛さだ。狩りができない俺のためにわざわざ(涙)猫らしいところあるじゃないか。俺が気絶したデルクスを受けとる瞬間、謎の弾丸がシュラの肩を貫いた。


ターン…


遅れた銃声…遠くからだ。デルクスを離すと肩を押さえて後ずさる。お次は俺の番のようで篭の甲殻に弾丸は弾かれたが衝撃で篭は倒れ山を転がる~酔うぞ~これはぁ~うっぷ!?

篭からはみ出て砂の上を気分が悪い…まだ回っているようだ。目が回る~砂の上を転がり続ける。するとどこからともなく網が降ってくる。ギャー!!捕まったー!?魔王軍なのか!!


すると現れたのは人間、大きな武器を下げている。おおかた予想はついた、ハンターだな?ハンターギルドの人間に間違いない思う…このご時世、機能しているギルドがあったとは…大型の魔物討伐を生業としているモンスターハンターとみて間違いない、腕輪もしてるし…でなんで俺を捕まえる!!


「密猟者だな、それにしては軽装…トレジャーハンターの真似事をする盗掘者か?腕輪もないしトレジャーハンターギルドの人間ではない。墓荒しめ、こっちにこい!!」


「何をする!!痛い!!髪を掴むな~どこへ連れていく気だ!!今からファラオに会わないといけないんだよ!!」


「ファラオの財宝か?そんな絵空事…もし本当だとしても墓荒しを野放しにはできないな…」


「待て…そいつをどこに連れていく」


肩から弾丸を吐き出すシュラ、やけにさっきだってる。これじゃあお前さん、勝ち目はないぜ?すると今度はシュラの足下が爆発する。爆発する弾丸、スナイパーか?まだ仲間がいたとは…シュラは爆風より速く動けるがそれも地面がしっかりしていたらの話。シュラは爆風を受けて倒れると追撃の爆発する弾丸から逃れるように砂中に潜る。シュラが消えて辺りは静かになった。


「お仲間も見捨てて逃げたようだな。ほら行くぞ」


ずりずりと引きずられる可哀想な俺、禿げるぞ?

こんな網なんてすぐに脱け出せるが例のスナイパーが恐ろしくてスナイパーの存在を確認するまで大人しくしておくことにする…

大人しく引きずられると砂上船が現れた。どうやら遠くの町からこれで狩り場に来ているらしい。かなり大きいようで中にはデルクスが20数匹甲板に並べられている。その他に草食獣の卵、火薬草や氷結晶と言った素材が並べられてる。依頼の品だろうか…

俺はデルクスの山に突き飛ばされる…魚のような生臭さはないが死体と並べられるのは嫌だ。


俺を連れ出したのはどうやら女…ハンターの世界でも男は殺され女がこうやって残る。そう、それもたくましい女性ね(涙)大型の魔物も数が殖えてハンターの数は激減。依頼は多いのに女性ハンターしかいないのが現状のようだ。生活を脅かす大型の魔物、いくつもの村が消え街がなくなり国が滅ぶ。やだねーこれは。次々乗船してくるハンターは全員女…最後にはボウガンを背負った少女が乗船して船が動き出した。後から来た人たちも物珍しげに集まってくる。


「ほら、見せ物じゃないんだ。散った散った」


「どうしたのーこれ?密猟者?許してあげなよ魔物に関してはこっちは殖えすぎて困ってるんだから、

許してあげようよ」


「わからないぞ?狩り場荒しかも、隣の国に質の悪い連中いたじゃない?滅んだって話だったけど。その生き残りかも」


やんややんやと話し合う人達…スナイパー少女だけは興味ないのか船室に入っていった。さて、そろそろ逃げようかな?スナイパーに狙撃もされない今なら何とか…


「とりゃー!!こんな網なんてな!!こーだ!!あれ?これもしかして魔物用?クソ!!でもノープログレムだ!

これぐらいならぁぁぁぁ…」


暴れてもさして動じない女性ハンターの皆さん、冷静そのもの。懐から魔物用の麻酔玉を取り出して投げつけてくる。痛い!!痛いじゃないの!!玉は当たった衝撃で割れ、気化した麻酔薬がモコモコと立ち込める…やーらーれーたー(涙)


「持ってる武器を見ろ、なかなかお目にかかる代物じゃない。盗掘した物だろう。身なりからしてこの剣は不自然だ」


悪かったな(怒)


「よって墓荒しだ。混乱に乗じてこんなやからが増えてくる。まったく…世も末だな!!こいつの身柄はギルドにつき出せばなんとかしてくれるだろ」


こうしてハンターと俺を乗せた砂上船は狩り場から帰投した。いつの間にかファラオの領地…からだいぶと人間界に近づいたようだ。(ファラオが住む新緑魔界から溢れた魔物、大型の魔物が生活圏に侵入してからハンターは討伐の依頼がある。よってハンターたちは新緑魔界に入ってこない)よし、今夜だ今夜迎えに参ります!!

この時シュラは高速で帰投する砂上船と同じ速さで走り続けていた。傷なんて何のその!


「どこから入れるか…ん?」


シュラは砂上船から垂れるロープを見つけた。船の外を警戒するものもいない…ニヤリ


「さぁ!ユウだけでなく横取りしたデルクスも返してもらおうか…待っていろ小娘どもが!!一匹残らず食い殺してやるわ!?」


今のシュラはユウを独り占めされたことへの嫉妬と食べ物の恨みで肩の傷みと全身の火傷をもろともせずロープをよじ登った。


「フシャアァァァァァ!!ニャウウウウウウウ!!」


低く唸りながら船の隙間を見つけるとそこに顔をねじ込む。猫の獣人は頭が入ればどんなところでも侵入できる。内蔵は人間と違い自由に動かせる範囲が大きいからだ。侵入すると弱そうな新人ハンター少女と出会した…シュラのお目々サーチライトがギラリと光った。


「キャアアア!?」


片手剣を抜く前に飛びかかられ盾で防ぐも相手はシュラだ。素人に遅れはとらない。瞬く間に猫パンチフルボッコにしてしまう。すると少女の悲鳴でか甲板が騒がしくなる。


「さぁ!帰るぞ!!その前に少しご馳走になろうかな?

ユウにはちょっと見せられないなー♪」


シュラの顔が狂気に歪む。


テレレレテッテッテー

シュラは隠れるを覚えた。

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