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地雷掃除人  作者: 東京輔
第3話 Rookie ~新人~
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3-1 ハロー

 腹ごなしのロードワークを終えて、昼飯はこってりしたものが食いたいなぁ、などと思いながらロビーを通っていると、見慣れないやつがこちらに気づき、俺に話しかけてきた。


「あの、ハロー。ちょっといい?」

「なんだぁ?」

「ここに初めて来た人は、受付でサインしなきゃいけないって聞いたんだけど、全然見つかんなくってさ……。悪いけど、道教えてくんない?」


 俺の肩にも届かない身長の割に、態度はフランクというか、馴れ馴れしい感じで聞いてきたそいつは、どうやらここの新人(ルーキー)らしい。……にしても小さい。ジョギングをしてきたばかりの俺は、もたれかかるにはジャストな高さだよなぁと、そんなどうでもいい事を考えながら答えた。


「受付? それなら二階に行けばすぐ見つかるだろ」

「二階!? なんで受付が二階にあるわけ!? 信じらんない……」


 S・S (スイーパーズ・ステーション)は、組換え式建造物といって、移動先の面積によって、五階建てにしたり二階建てにしたり、三階建てのツインタワーにできたりもする。

ちなみに今は、ピラミッドの土台の部分のような、かなり広めの二階建ての造りになっている。

 要は、S・Sという施設はでっかいレゴブロックだと思ってくれて構わない。だから、新人のこいつがやる気のない受付の場所を見つけられないのは納得がいくし、同情もする。レイアウトに時間をかけられないとはいえ、わざわざ二階の隅っこに受付を配置しなくてもいいだろうに……。


「まったくだな。階段は向こうにある。じゃあな」

「ち、ちょっと、最後まで付き添ってくれないわけ!?」


 額に汗を浮かばせながら新人は、さも俺が付き添うのが当然かのように言ってきた。背がちっこくて耳に響いてくる甲高い声……。今部屋で充電中(というかうるさいから置いてきた)のピンクのふよんふよんしたやつと、目の前にいる紺色の髪の新人と姿がかぶり、俺はなんとなく素っ気ない対応をした。


「おいおい、ガキの使いじゃあるまいし。それとも何だ? お前ほんとにガキなのか?」

「……この、子ども扱いするな! 一人で行けるに決まってる!」


 ……まずい。どうやら気に障る事を俺は言ってしまったらしい。悪いと思って謝ろうとは思ったものの、新人は俺が指した方へすごい剣幕で大股で歩いていった。わざわざ呼び止めるのと、放っておいて喉の渇きを潤しに行くのとを秤にかけたら、そりゃあ面倒くささがのしかかって後者に行きつくのは、俺の怠惰な性格故だ。

 ただ、その受付が喫煙所の陰に隠れてて、すんげぇ見つけにくい扉の先の、男子トイレと女子トイレの間の、しかも表札もない閉まった扉の先にあるとは、あの新人も思わんだろうなぁ……。

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