彼の名は
信じられねぇ! 信じらねぇよ!
生きて帰った! 俺は生きて帰って来れたんだ!
え、何で死ななかったって?
神様だよ、今までクソも信じてなかった神様が、助けてくれたんだよ!
あぁ、今でも信じられねぇ。夢でも見てるんじゃねぇのか、俺?
もしもこれが夢だとしたら、俺は今頃地獄の一丁目か! ハハ、ちげぇねぇ!
え、本当のことを話せって? オーケィ、オーケィ!
だが、信じるか信じないかはお前らの勝手だ。
俺が嘘ついてると思ったら、それはそれで構わねぇ。信じるのは自由だ。
けどな、今から俺が言うことは紛れもない事実だ。その証拠に俺がいる。
お前らも、俺があの『必死地帯』から生きて帰ってきたのをまだ信じきれてないんだろ?
俺はな、助けてもらったんだよ。
砂埃で顔はろくに見えなかったし、ましてや名乗りもしてくれなかった。
そいつが俺の目の前まで来たかと思えば、一瞬で足元の地雷をフッ飛ばしてくれたのさ!
フッ飛ばしたってのは、踏み抜いたわけじゃあねぇぜ?
地面にカタナをブッ刺して、見えない地雷を片づけちまったのさ!
これでわかっただろ? な? わかっただろ? 俺を助けたイカしたやつ。
そいつは……。