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ロンリー ハーツ エイト キャラメリゼ オン ザ パンケイクス。



ねぇ、僕のことスキ?



今日何度目かの、いつも通りのお決まりの質問。

私の困った愛しい仔猫ちゃん。

そんなに本当の私を知ってどうするつもり?


これ以上、あなたに溺れたら、息なんてもう出来ない。



大好きよ?

食べちゃいたいくらい



馬鹿な私。

そんなこと言って、いつも自分がそうしてほしいくせに。

意地っ張りで、素直じゃなくて


あなたより10も歳上で。


生徒手帳の中でまで笑うあなたにこんなにも嫉妬してる。

その笑顔は、この閉ざされた空間では私だけのものなのに。


浅野鷹臣


名前を見ただけで背筋に走る甘い痺れはあなたを愛しすぎた証拠。


でも教えない。


そうしたら私の優先権はなにひとつなくなってしまう。


教えてなんて、あげないんだから。


私があなたの海で溺れて、理性を保てなくなるまで。


それくらいいいでしょう?

どうせ、そんなに時間は掛りやしないのだから。



いやらしい、サヨコさん

もっと、僕のせいでいやらしくなって?



シルクの下着に舌を這わせるあなた。


私の取り柄は一体なんだろう。

あなたはどうして私と一緒にいてくれるの?

あなたが私を少しずつ味わい始めると、必ず浮上してくる気持ち。

甘美な舌遣いは、女性の感度を知る為の『実習』なのかしら?

練習代の私はもう、狂うほどあなたを欲しているというのに。


こんなに綺麗で、真っ直ぐで、壊れちゃいそうなほど私に情欲を注ぐあなたにこそ、私はいつも訊きたいと思ってる。


その言葉は空気に触れることなく、いつまでも私の中に残って、やがてふやけてもとに戻れないほど膨らんでゆくの。


それでも私は口に出来ない。


こんなひとことであなたを失うかもしれないと思う私は、あなたの前では大人の女でいなくちゃならない。


あなたとのセックスがどんなによくても

あなたの愛撫がどれだけ私をおかしくさせても

あなたから香るヴァニラのニオイが私を誘惑しようとも



これだけは口に出来ないのよ?



ねぇ、私のこと愛してる?



毅然とした大人はそんなことを口走っては決していけない。

だから私はあなたの背中を夜8時きっかりに押す。

そうしないと、私は陸に上がれなくなる。

満ち潮の時刻は、刻一刻と迫っているのだから。


あなたがいなくなった私の部屋は、甘ったるいニオイだけを残して、私を掻き立てる。


口にしてもし足りないあなたの代わりに、私はうんと甘いパンケーキを食べる。


あなたの温もりが残っているような溶けかけのヴァニラアイスクリームと、ほんのり苦味のあるカラメルソースをたっぷり垂らして。


ヴァニラアイスはあなた

カラメルソースは私。



まるで私達みたいなそれらをパンケーキにうんと絡ませて、ひとくち口に運ぶ。




口の中に広がる味は、想像通り甘ったるくて、でもあなたの甘さには敵わないと思った。





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