とある日の夕食より

変わらない約束をしよう、永遠に僕たちを繋ぎとめるように。

「俺は君の太陽だ、だから泣くな」

「…待って、おかしいわ。どうしてこの状況でそのセリフなのよ」

「いや、あえてこの状況だからこその的確な判断だ、といってくれ」

「第一、そのセリフって、君は俺の太陽だ、でしょ。どうして俺は君の太陽だ、なのよ、いい加減にしてよ。あなたのそうゆう自己中心的なところいただけないわ」

「心配しなくても、頂くのは俺だから大丈夫」

「…あなたに頂いていただかなくても、いただいてくれる人に私、困ってないの」

「神よ、俺の彼女はとても照れ屋さんのようです、そんな彼女が…」

「くだらないことはいいから、そろそろテーブルにお皿並べて下さる？」

「わかったよ、ハニー」

「ハニーなんて返事のしかたあったかしら、返事ははい、でしょ？」

「…はい」

…リーン

「あら、もうこんな時間なの？彼が来たみたいだから、あなたが迎えにいってきて」

「えっ…、いやだよ。どうして俺が出迎えなんてしなきゃいけないんだよ、あんなずうずうしい奴を…」

　トントン

「…誰だろうね？ずうずうしい奴って。…あぁ…久し振りだね、このたびは夕食のお招きどうもありがとう、相変わらず君はきれいだね」

「いやだわ、学生時代と全然変わってないのね、お世辞がうまいんだから。来てくれてありがとう、うれしいわ」

「君の招待を僕が断るわけがないじゃないか。しかもお世辞だなんて、僕は嘘はつかないよ」

「まぁ、うれしい」

「…待って、俺たちつい一昨日も一緒に夕食を食べたよね？」

「あら…何か聞こえるけど空耳だったみたい」

「奇遇だね、僕も何か聞いた気がするけど…。あぁ、すまないね。レディーを立たせながら話をするなんて」

「いいのよ。あなたと話しているといつの間にか時間がすぎてしまうみたい。せっかくのお料理が冷めてしまうわ、話の続きは夕食を食べながらしましょう」

「そうだね。ではダイニングまでエスコートさせていただきますよ、レディー」

「フフ…お願いするわ」

「ねぇ…、君たち絶対わざとやって…おぃ、彼女の肩になれなれしくさわるな、

あぁ、待ってハニー、君に怒ってるわけじゃないんだ。そこのずうずうしいやつに…おぃ離れろって言ってるだろ！」

「ふふ…」「はは…」

「なにが、はは…だよ。第一、俺が一人で彼女の食事をいただいちゃおうと思ってたのに…、おぃ、聞いてるか？あぁ…ハニー待って…」

「にしても…君があいつと付き合うとはね」

「いやだ、やきもち？」

「ふふ、そうだね」

「…くえない人。でもかわいらしいでしょ？まるで子犬みたいで」

「まぁ…駄犬に見えなくもないな」

「駄犬じゃないわよ。子犬。」

「…そういえば、君のかわいがっていた犬が死んでしまった時の君の悲しみようといったら…」

「やめて…思い出してしまうじゃない」

「すまいない。その時にあいつが一生懸命にきみのことを慰めていたね。少したって君が元気になったと思ったら新しい犬を飼い始めたと聞いたけど…まさか…」

「…ふふ、かわいいでしょ？」

「…」

「何の話をしてるんだよ？」

「あら、おいついたの？じゃあ夕食にしましょう」

「ねぇ…もうこんなやつを食事に招待なんてしなくてもいいよ」

「何をわがままいってるのよ。言ったでしょ、頂いてくれる人に困ってないって」

「そうだけど、じゃあ言わせてもらおう。こいつとじゃなくて君と二人だけで食事をしたいんだ。君と二人だけの時間を過ごしたいんだ、だから、こんなやつを呼ぶな」

「…ふふ、私に対してその言葉使い…夕食は抜きね」

「えぇ…ごめん、じゃあ今度からはもう少し丁寧にいうから」

「今日だけよ？」

「許してくれるのか？」

「えぇ」

「愛してるよ、ハニー」

「はぃはぃ。あぁ、食事が冷めてしまうわね、今日はデザートにラズベリーパイを焼いたの…あなた好きだったでしょ？」

「あ…あぁ、ありがとう…」

「ふふ、どういたしまして」

「え…こいつのためにわざわざ？」

「そうよ？」

「俺、ラズベリーパイいらない…」

「あら、わたしのケーキが食べれないとでも言いたいのかしら？」

「そ！そんなことない！でも…なんでこいつなんかのために…」

「焼きもち？」

「うぅ…」

「心配しなくても貴方のためにちゃんとビターのガトーショコラも作ってあるわ」

「ほ…本当に？？」

「えぇ…」

「あぁ…俺って幸せもの…」

「そろそろ食事にしませんか？」

「あら、そうね。ではアーメン」

「わぁ…おいしそうだね、アーメン」

「（餌付けですね…）…アーメン」