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世界の歪みとアラスカ第零災害

2045年。地球温暖化の抑制を目的として、新たなエネルギー開発計画が始動した。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、韓国の6か国による共同開発体制が、この年に確立される。


2048年4月1日。アラスカ州アンカレジにおいて、世界初となる発電施設が稼働した。

それは、石油や天然ガスのように環境へ負荷を与えず、燃料を必要としない新エネルギーであった。

一リットルで約5000万人分の電力を供給可能とされ、その実用化は環境問題の解決を意味するものと広く認識された。


しかし、この技術は完全ではなかった。

無依存性燃料――IF(Independent Fuel)と呼称されたそれには、複数の制約が存在した。運用には専用の変換炉コンバーターを必要とし、起動には暗号化された初期鍵が不可欠である。

さらに、過負荷時には都市規模の臨界災害を引き起こす危険性があり、長期運用による性能劣化も確認された。


この時点で、反発はすでに始まっていた。従来のエネルギー資源に依存していた国家群――中国、ロシア、イランなどが、その中心である。


2049年2月。国連総会において、これらの国家はIFの危険性と、開発国による事実上の技術独占に対する抗議声明を提出した。

しかし、開発国およびその支持圏の反対により、提案は採択されなかった。

総会は激しい非難の応酬に終始し、実質的な機能を喪失した状態で閉会する。


同年4月19日。開発6か国の主要都市において、IFの段階的運用が開始された。


同年4月下旬。再度招集された国連総会は、完全に機能不全に陥る。この時点で、従来の国際秩序は崩壊したと評価されている。


以後、軍縮条約をはじめとする各種国際協定は次々と破棄され、それらは実効性を持たない文書へと変質した。


同年7月12日。開発国6か国は、IF発電施設の増設計画を発表し、これを強行した。

その配置は、日本・網走、イギリス・エディンバラ、フランス・リヨン、ドイツ・ベルリン、韓国・釜山に及ぶ。

この措置は、防衛および抑止を名目としていた。

しかし、IFが兵器転用可能なエネルギーであることは、この時点で広く認識されていた。

旧来の資源国および対立圏は、これに対し強い反発を示す。

だが、直接的な衝突には至らず、情勢は一時的な膠着状態へと移行した。

――そして、同年末。


アラスカ州アンカレジの発電施設において、爆発事故が発生する。ほぼ同時刻、アラスカ全域に対し無人機による攻撃が確認された。

残骸の分析により、使用された機体の一部はロシアおよび北朝鮮製であることが判明する。

加えて、通信記録の一部から、中国およびイランの関与を示唆する痕跡が検出された。

これらの情報の完全な整合性は、現在も確認されていない。


しかし、この一連の事象は、後に「第零災害」と総称される。

第三次世界大戦は、この時点をもって開始されたと定義される。

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