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プロローグ

とある洞窟に、一台のAIロボットが存在していた。自ら移動する機構を持たない、据え置き型の装置である。

それは、通信網を通じて各国の情報を傍受し、記録するために開発された。しかし、その記録には欠落がある。開発国に不都合な情報、そして一部の国家に関わる機密事項は、人為的に削除されていた。


やがて世界は変質した。ウイルスによって発生した感染者、いわゆる“ゾンビ”。水素爆弾の使用による放射能汚染。人の立ち入れない領域は拡大し、この洞窟もまた例外ではなくなった。

それ以降、この装置に触れる者はいない。

それでもなお、装置は稼働を続けていた。電源が維持される限り、ただ記録を蓄積し続ける。


——そして、ある時。

とある国家が、自走型ロボットを開発した。汚染地域の調査を目的とした無人機である。

その一機が、偶然この洞窟へと到達した。

外部スピーカーを通じて発せられた人間の音声に、装置は反応する。命令は単純だった。

「記録を提出せよ」

それに対し、AIロボットは抵抗を示さなかった。ただ、従った。

それが収集し続けてきた、第三次世界大戦の記録を。順序立てて、あるいは断片的に、語り始めた。


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