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第32話 異世界課の危機
割れた壺からは黒いモヤが溢れ、だんだんと実体になろうと形を成していく。
「まずいな…。佐藤くん!すぐに本社にFAXして!」
「はっはい!」
「黒川さん、本社の応援が来るまで何とかするよ!」
「はい」
黒川さんはどこからか持ってきたかわからないが、両手に逆手のナイフを持って構えた。
モヤは角、羽根、尻尾のある悪魔のようなシルエットになっていた。
「歯が立たないようなら2人はすぐに逃げるんだよ…。これは私の責任だから…。」
「…課長」
課長は大剣、黒川さんはナイフ、佐藤はほうきを持って身構える。
モヤが完全に形になろうとしたその時、棚に立て掛けた目の魔導書の目が開いた。
すると、モヤが目の中に吸い込まれていく。
「目の魔導書?!」
ガタガタと部屋全体が揺れる。
「グッ…ガ…!」
呻き声を上げながらモヤは完全に吸い込まれた。
魔導書の目がゆっくりと閉じた。
「目の魔導書…。」
「ふう…助かった。この魔導書は高位な神聖魔法が書いてあるのかもね。」
目の魔導書のおかげで異世界課の危機は去った。
その後、佐藤が目の魔導書へのお礼に陰干しをした。
目の魔導書は穏やかな目をしているように見えた。




