第12話 回復アイテム
佐藤は傷病休暇と労災をもらい、1週間ぶりに出社した。
異世界課の扉の前で中から不穏な会話が聞こえた。
「黒川さん頼むよ。佐藤くんがいない間だけでも」
「拒否します。」
嫌な予感しかしない…。
仕方なく扉を開ける。
「おはようございます…。」
「あぁ佐藤くんおかえり!大変だったね」
大変だったよ。
「いやー心配してたんだよ!向こうだとそのまま死ぬことあるから」
「えっ…?死…?」
「ははは!冗談冗談!」
まるで冗談に聞こえなかった。
「それよりまた本社から来たのを試そうとしたら、黒川さんが嫌がって困ってたんだよ。」
「拒否します。」
「僕も拒否します。」
「まぁまぁ今回は私も知ってるやつだから大丈夫」
課長が何か文字が書かれた木の棒を取り出した。
「なんですかそれ?」
「回復アイテムだよ。本社に佐藤くんが倒れたこと言ったら送ってきてくれたんだ。」
本社も一応心配してくれたのか。
「じゃあ早速使うね」
課長が了解を得ずに棒を振る。
「えっ?!ちょっと!…ん?」
佐藤の身体に優しい光が飛び交う。
「あれ?身体がどんどん軽くなってきます!」
「そうだろ?私もこれによく助けられてたよ」
「これならこっちでも…。あれ…?」
異変が起こった。
佐藤の全身が熱くなり、ドクドクと脈打つ。
「うおおおおおおお!」
佐藤の筋肉が膨れ上がり上半身の服が弾け飛んだ。
「うおおおおおおお!」
佐藤は上半身裸のまま、部屋から飛び出して行った。
「あれ?これにあんな効果あったかな?」
「課長!今度、倉庫に眠ってるやつも試しましょう!」
黒川さんは珍しくテンション高めにワクワクしている。
「うおおおおおおお!」
佐藤はその後5時間、そのまま社内を走り回っていた。




