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第8話 地獄のようなLINEグループ

【宣伝です】新登場の”人の心ナッシングお姉さん”ジュディ如月のファンソングと画像を、sabamisony様が作ってくださいましたヾ(*´∀`)ノ

外部リンクへ飛びます。AIによる楽曲サイトsunoは、登録しなくても曲が聴けます。

https://suno.com/song/a271b56d-1ae0-433c-ad40-fb539e92ddd1


かわいくてとても楽しい曲ですのでよかったら聴いてみてね♡

『人の心ナッシングお姉さん』


 俺も、明さんも瑠香も母も茫然と見つめる中、ジュディさんは手鏡を見て爆笑しやがった。


「オー、アメイジーング! ソー、ファニィ(めっちゃうける)!!」

 嫌だよ、こんな称号付いた人に調査されるの。拷問されそう。


「まさかこう来るとは思いませんでーした! Hahahahaha!」

「笑っている場合ですか。当局としては早くこれを消していただきたいのですが」


 明さんが真剣に言ってるのに、ジュディさんはソファーにどさっと座り込んで足をバタバタさせながらまだ笑ってた。子供みたいな人だな。これでも25歳らしい。


「あー、笑った笑った。この称号、いいセン行ってまーす。でもこれでおおよその見当は付きましタ」


「えっ、もう? すごいです! 教えて教えてー!」

 瑠香がびっくりしてジュディさんの傍に座った。期待で目がキラキラしてる。


「ハイ。ルカチャンかわいい。イイコイイコ」

 と瑠香の頭をなでた。こういうところは普通の優しいお姉さんに見える。


「ここに来るまでにだいたい予想してましたが、ワタシに付いた称号で確信しましーた。これは生体(biological)デバイス(device)による感染性(infectious)X(Cross)R( Reality) だと思いまス。おそらく 地球(Extrater)(restrial )技術(technology)が用いられてまス」

 と、真面目な顔で言った。


「……は?」

 ごめん、一言も理解できなかった。


「お姉さん、すいません、全然わかりません!」

 瑠香は手を上げて素直に言った。


「右に同じく!」

 母も手を上げて言った。自信満々だ。


「要するに、()()()()()がデバイスとして使われた結果のXR(※1)だとはわかったが、地球外の技術とは……?」

 さすが明さん、めっちゃ理解してるっぽい。


「ハイ。地球外、と言ったのは、他に思いつく言葉がないので暫定でース。現在の技術では不可能な部分があるのでス。見当が付いたとはいえ、まだ予想なので、これから調査開始して結論を出したいとオモイマス。まずはみなさんの脳波をこれから丸一日測定しまス。詳しい説明はそれを見てからやりまス」


「暫定……」

「細かいことは気にしなーい。では機器類を荷ほどきしますのでみなさんは邪魔にならないようどっか行っててくださイ」


「はーい!」

 瑠香はデッサンを描いたスケッチブックを持って二階へ行った。


「私はお風呂の準備してきますね」

 母は浴室へ。


「……手伝います」

「アキラ、センキュウ! 重いものお願いしまス」


 ということで、ジュディさんと明さんは段ボールから高そうな機械を取り出して、リビングにどんどんセットしていく。ほとんどがお中元のビールが入っているような長方形の箱型で、操作パネルが付いてる機械だった。サーバーっぽいかな? 値段すごい高いやつ。


 俺は邪魔にならないようにお茶でも出そうと思って台所に立ったら、ダイニングテーブルの上に置いていたスマホがピポン、と鳴った。LINEだ。この音は心美ここみ。見てみると、グループの招待が届いてた。そういや2人のグループって作ってなかったなあ、と深く考えずに受けたら――


 心美のほかに陽葵ひまりがいた。


 いやああああああああ!


 ナンデ? ヒマリナンデ? 


『やっほー、熱はだいじょうぶ? せっかくの始業式だったのに残念だったね』

『ほらー、”ここっち”、ちゃんと説明しないと、あっくん(彰人の愛称)、きっとびっくりしてるよ(クスクス)』


『あっ、そうだね! あーくん(彰人の愛称)、私と”ひまっち”ね、帰る方向いっしょだったから途中までお話しながら帰ってたんだ。そしたら、めっちゃ話しやすい良い人だったの!』


『ここっち、最初は不愛想だったのに、あっくんの話しだしたらすごいノっちゃってさー、かわいいのなんの』

『やだあ、ひまっちたらあ、もう! わたし、人見知りする性質だからあ』

『でもさ、あっくんの子供の頃の話とか、写真とか見せたら、ここっちの食いつきがすごかった!』

『なによぉ、ひまっちだって、あーくんの授業中のうとうとしてる様子とか教えたら、もっとちょうだい! とか言ってさあ』


 延々と鳴るピポンピポン。


『というわけでぇ、わたしら、ずっ友~』

『ねー!』

 LINEには2人のキャピキャピしたスタンプや絵文字だらけでかわいい雰囲気になっている。俺、これに返信しないとダメ?


 どうしよう……、スマホ壊そうかな、いや、もう既読付けちゃったよ!

 待てよ、まだ二股がバレたわけじゃ――、でもこれ、彼女たち、勘づいたんじゃないか? わかってて俺を試してる? 


 俺は何も返せずに、ただスマホを持って茫然と立っていた。


 ――なんでずっと気づかれないと思ってたんだろう。

 ――なんでこのままの関係でいけるって思ってたんだろう。

 ――2人とも失うことになるかもしれないってことに、なんで気が付かなかったんだろう。

 ※1 XR:(Cross Reality: クロスリアリティ)、もしくは (Extended Reality: エクステンデッドリアリティ)とも言う。AR・VR・MRなどの総称。

 現実世界と仮想世界の組み合わせにより新たな体験を生み出す技術全般のこと。


 例)KDDIによる Google Cloud のリアルタイムクラウドレンダリング製品「Immersive Stream for XR」を用いたアパレル業界向けソリューション、「高精細XRマネキン」がある。消費者は仮想空間上で衣服やファッションアイテムを確認でき、マネキンを360度の方向から見ることができる。

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