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いしき
起きているとはっきり自覚していても
目に何かビニールでもかぶさっているように
ふやふやとなる意識がある
まばたきの速度も落ちて
時計だけが恨めしいのだ
音の無いうつろな場所を僕は知っている
幾重にも閉ざされた深海のような意識
外から聴こえるラジオがかろうじて
目を開けさせている
僕はもしかして眠っているのだろうか
自覚ってなんだろう
つまりは自分しかわからないこと
字を書く速度もどんどん落ちて
自分でいま書いていた文字すらぼやけてゆく
飛行機の大きな音がして外を見た
さっきまで晴れていたのに
今はまるで僕の意識のようだった