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わたしは眠っているかしら。
歩き出した夜にみんなの顔が浮かぶわ
どんなに呼ばれてももう振り向きはしない
導かれるままに扉の向こう側まで
誰にでもあるはずの明日が恐ろしくても
すれ違う光を手を伸ばしてつかまえる
きっといつかおおきなちからとなって
だれかにふりそそぐでしょう
はなびらのように優しく音も無く
囁くように静かにひたすらに
頂いたすべてを肌で受けた
そのときわたしは眠っているかしら。
今ならば解るわわたしの産まれた意味が
わたしには待っている優しいあの部屋がある
もう疲れたなんて言いたくないの
誰にでもあるはずの昨日よりもっと良いせかいへ
避けられぬ言葉を受け入れて抱き寄せる
きっといつかおおきなちからとなって
あなたにふりそそぐでしょう
内から芯となりつよくあるがままに
まえを向くよう静かに背を押して
よみがえるなにかを脳で呼んだ
そのときわたしは眠っているかしら。
落としたら割れてしまうような
そんな繊細な居場所に隠れて眠っているのかしら。