16/32
京へ
夏の午後届いた電報 最終警告
偽善者の皮は もう はがせない
周りを取り囲まれようと逃げるつもりはない
熱気の中 一人のぼった伏見稲荷
耳をふさいでも蟲達は囁いてくる
帰れなくなってもむしろそれこそ 本望
つるてんたーら
ねーべんにーえ
かるまもにつが
へいだるうおりが
夢にまでみたうつくしい静けさ
恋焦がれて古い寺社
照り返すアスファルト 白昼夢
結界を越える術があるかい
続く静かな赤に酔う
共鳴するせみのこえを全身で吸い込んだ
引き下がるつもりはないはずだった