どっちなんだろう。
第二弾。良ければ見てやってください。
俺、君島祐介の最近の流行りはケモ耳漫画。
そんなケモ耳漫画を読んで気になる事があった。
「最近、ケモ耳漫画にハマってるんですけど…」
昼休み、昨日から続く疑問を口にした。
正確には口にしようとした。
「「エロ漫画か」」
「ケモ耳=エロ漫画と決めつける人がエロい!」
エロ漫画と決めつける同僚2人にここがファミレスという事も忘れて全力で否定する。
「え?君島って、ケモ耳エロ同人好きじゃ無いの?」
ハンバーグランチを食べながら言うのは高階さん、社内のあだ名はたかしー。かなりの古株。
「いつぞやのコミケでキミによく似た人がケモ耳エロ同人を買い込んでるっていう、目撃情報があるんだけど」
和食ランチの味噌汁を飲みながら言うのはわっしーこと鷲谷さん。こちらもかなりの古株。この2人、入社当時から何故か気が合うらしく、忙しくない時は一緒に食事をする仲。俺はたまたま攫われただけです。
「なぜ、特定ジャンルばかりを買い込むのか…」
サラダを食べながら呆れた眼差しをたかしーに向けられた。
「ちょっと!?俺コミケ行ったことないですよ!?なんの風評被害!?」
「「え…あれ違うの?」」
姐さんの目撃情報と違うじゃん、じゃああれは一体誰なんだ?と2人で言い合っている。
「コミケなんて恐ろしいところ行けませんよ!そんな事じゃなくて!俺が気になったのは、ケモ耳ってか、獣人が病院かかる時はどっちなんだろうって!」
「「は?」」
「さっきから、双子ばりのユニゾンですよね」
もう疲れた……あらぬ疑いをかけられて全力で否定していたせいか、激しく疲れた。
「それは…ここに獣人がいると過程して?」
いつのまにか完食して、食後のコーヒーを飲みながら、わっしーが聞いてくる。
「……なぁ、そもそも獣人がいるって設定はさ?魔法が使えるファンタジーな世界なんだから病院ってあんの?」
同じように食後のコーヒーを啜るたかしーが冷めた目で俺を見る。
「いや、ある設定もあるでしょう?だから、獣人がこの世界にいるって想像したら、どっちなの?獣医なの?人間の医者でいいの?って思ったんですよ」
「あー……狂犬病の予防注射とか?」
「ですよ!それですよ!必要な予防接種とか!ワクチンとか!さすがたかしー!」
「それ、効果あるかな?獣人なんでしょ?インフルエンザのワクチンとか効かなさそう」
ていうか、さっきまで食後のコーヒー啜ってたのに、今度は食後のデザートの本日のアイスをつつきながらそんな事を言いだすわっしーの隣で同じく食後のデザートを食べ始めるたかしー。
「…おたふくとか?水ぼうそうとか?子どもの頃に人間がかかる病気にめっちゃ弱そう…っ!しみた…」
最近知覚過敏が発覚したらしいたかしーをわっしーがだっせーと言いながらアイスを食べ始める。
「おたふくって大人でかかるとヤバイって言いますよね…」
従兄弟が成人してから罹って大変そうだったのを思い出した。
「とりあえず、人間の医者でいいんじゃない?」
この話題飽きたとかわっしーに言われて、若干凹む。
「まぁ、獣人ってカテゴリを普通のイヌネコと同じ感覚ってのはどうかと思う」
うちの犬なんてめっちゃ動物病院嫌いだしと、たかしーの言葉にわっしーが頷く。
「獣人が動物病院を嫌がるとか想像つかないし…たかしーの犬の動画は面白かったよ、ケージ?ごと移動してたもんな」
「そうそう、動物病院の手前で入るの?なんで?って顔で見てくるし、脱走しかけたり、入った瞬間から出口の前に陣取るしな」
「可愛いよね、メルちゃんとソルくんとエルちゃん」
「…えっ、一匹の話じゃなくて?それぞれの話?三匹いる?」
「そうだよ、つうか、君島、お前まだ食べないの?」
「大分冷めてるよそれ」
俺らはもー食べ終わったけど、お前なんでまだ食べてないの?とか言われたけども…
「昼休み終了まで後20分ー」
「よし、俺ら先に戻るわータバコ吸いたいしー」
ちゃんと食べなさいよーとか言い残して2人は去っていく。
「ちょっ!?ウソだろ!?」
強制的に会話を切り上げて急いで昼ごはんをかきこむことになった。
焼き魚定食のせいで予想外に時間がかかったのはご愛嬌。
結局のところ、俺の疑問は解消されなかった。
あの2人に相談したのが間違いだったと思いました。
今回の語り部: 君島祐介
時々やらかすなんか憎めないやつと言われる子。
高階・鷲谷両名と同じ部署のデザイン部門の背景画担当。入社3年目。
その他登場人物
わっしー:鷲谷直人
高階の同期で、バイト上がりの古株。
同じ部署のサーバー担当。
たかしー:高階柊
前回から引き続き登場。
わっしーと同じくバイト上がりの古株。
デバッグ責任者。