プロローグ
ここは栗原学園。
都内でもわりかし有名な全寮制の進学校である。
ここは初等部から高等部までのエスカレーター式で、大抵の人は初等部からここで育っている。
そのせいか、大体の人は家族のように仲がいい。
――――――ただ1人、赤坂 飛鳥を除いて。
赤坂飛鳥も初等部からこの学園にいる1人だが、まともな人間は誰1人として彼女に近づかない。
誰も話しかけないし、誰も一緒にいない。
別に、学園のみんなが彼女をシカトしていじめている、というわけではない。
みんなが彼女に近づかない理由として、彼女が極度の嘘つきだ、ということが挙げられる。
言葉の通り、彼女はいくらでも嘘をつく。
宿題の量や、次のテスト範囲、校長の桂疑惑…。
彼女の嘘は時に笑えるものや笑えないもの、泣きたくなるようなものまで様々だった。
しかし、彼女の悪いところはそれだけじゃあない。
喋ることのすべてが嘘なら、みんなも混乱しないだろう。
それを信じなけれないいのだから。
だが、彼女は時に嘘をつき、時に真実を話す。
だからこそ、みんな混乱するのだ。
そんな彼女は、大変な有名人である。
嘘つきだから有名人、ということではない。
彼女は有名な名探偵……否、謎探偵である。