第1話 幼馴染と俺
初投稿です。
俺、七瀬優希には幼馴染が居る。
名前は神楽坂絵里。今は俺と同じ高校一年生だ。
絵里とは、幼稚園から高校生になる今までずっと同じクラスで、家が隣同士なこともあって毎日一緒に登校していた。
小学校の頃から毎日一緒だったので、からかわれる事も多かったが、俺としては正直嬉しかった。
何故かと言うと、俺は絵里のことが好きだからだ。
きっかけ、と言われると特には無い。一緒にいるうちにだんだん、と言うやつだ。
絵里は小・中・高と上がっていくにつれ、どんどん可愛くなっていた。
具体的にどの部分とは言わないが少し残念な所もある。それを差し引いてもそこら辺のモデルなんかより全然可愛かった。
絵里はいつも明るく、周りからも好かれていて、その上誰にでも分け隔てなく接していて優しい。
絵里のことが好きなやつは結構、いやかなり居る。
ちなみに絵里は学年一の美少女と呼ばれている。幼馴染として鼻が高いような、そうでも無いような気がする。
☆☆☆
そんなことを考えている間に、もう学校に行く時間になっていた。
俺は急いで制服を着て弁当を包み、絵里の家に向かった。
と言っても隣なのですぐ着いた。そこには既に3人の幼馴染が待っていた。
「優希、遅いよ! 結構ギリギリになっちゃうじゃん!」
そう言っているのは幼馴染の内の一人。俺には幼馴染と呼べる者が三人いた。
一人目は神坂瑠璃。
絵里ほどでは無いが瑠璃も結構、いや大分可愛い。
制服の着方とか髪とか、ちょっとギャルっぽい感じもあるが、全体的にバランスが整っている(どことは言わないが爆弾級のものを付けている)。
学年で三本の指に入るくらい可愛いと有名だ。
瑠璃とは小学一年生の時に知り合った。遠くから引っ越してきたらしく、俺たちの家に近いということで、一緒に登校するとこになった。
それからは毎日一緒に登校している。
「そうだぞ優希、お前はもうちょっと時間を見ろ」
そう言ったのは3人目の幼馴染、鳳海星だ。
海星は今でこそとてつもないイケメンになったが、昔は常に俺の後ろにくっついていて、名前が海に星ということもあって海星、と呼ばれていることもあった。
中学に上がって、どんどんかっこよくなった海星は、女子に告られることが増えた。
そのおかげと言えばそうなのだろうが、前より明るくなって、今では誰とでも普通に話せるようになり、オドオドして俺の背中に隠れることは無くなった。
なんか子供が巣立って行ったような感じがして、少し寂しい。
「悪い悪い。ちょっと考え事してたらと遅くなっちゃって」
「優希はいつもそうなんだから。もうちょっと早く来てね?」
相変わらず絵里は眩しい。油断するとその眩しさで浄化されて消えてしまいそうな気がした。
恋は盲目と言うように、俺は絵里に関することは人と感じ方が違うのかもしれない。
「まぁ、頑張るわ。とりあえず行こうぜ? 遅刻しちゃうぞ?」
「誰のせいでこうなってると思ってるの? ……はぁ、もういいや。行こ」
なんか愛想尽かされた気がする。なんかおかしかったか?
よく分からないまま、俺たちは学校に向かった。
☆☆☆
ちなみに、俺は今日絵里に告白しようと思っている。
電車の中で揺られながら俺はそう考えていた。
今日にしようと思った理由は、特に無い。でも、このままの関係でいても何も変わらないと思ったのだ。
ちなみにこの事を他の2人は知っている。2人とも協力してくれるようでありがたい。
──この時の俺は、まさかあんな事になるなんて考えてもいなかった。
☆☆☆
学校に着くと俺たちはそれぞれの教室に向かった。俺と絵里が1-2。海星と瑠璃が1-4だ。
絵里と一緒に教室に入ると、教室中の男子に睨まれた。
いつもの事なのでもう慣れているが、流石に少し怖くなる。学年一の美少女と一緒に登校なんて普通に考えたらヤバいよな。
気にしても仕方が無いので、自分の席に向かうことにした。
席に着くと隣の女子に話しかけられた。
「優希、いつも絵里と登校してるよね〜」
「まぁ、そうだな」
「おっ、認めたね? もしかして付き合ってたりする?」
「付き合ってないよ」
「ちぇっ、つまんないの~」
こいつはいつも話かけてくる女子で、名前は瀬川悠里という。
なんで構ってくるのかは分からないが、別に嫌でもないのでそのままにしている。
すると後ろの席のやつからも話しかけられた。
「でも優希はいいよなー、あんな可愛い幼馴染がいて」
「でも何かと目立つからな、それは大変だぞ」
「あ〜、確かにそうかもな、俺には無理だな。目立ちたくない」
こいつも、いつも俺に話しかけてくるやつで、石崎翔太と言う。
石崎とは、入学式の時に会い、趣味があったのでよく話すようになった。
こいつはイケメンなんだが人と話すのが苦手らしい。趣味もアニメやゲームと来たものだから、完全に陰キャと呼ばれる部類だ。なんだか勿体ない気がするが、顔が良いなりに苦労もあるのだろう。
そんなことを話している間にチャイムが鳴り、担任が来たので話すのを止めた。
☆☆☆
そのまま授業を受け、放課後になった。
帰りに告白する予定だったので海星達には先に帰ってもらった。
久しぶりに絵里と2人きりで帰る気がし、この後告白することも考えると緊張してそこまで暑くないのに額に汗が滲む。
空はどんよりと暗い曇り空だった。
「絵里、今日は2人、用事があるらしいから一緒に帰ろうぜ」
「そうなの? 分かった、ちょっと待ってて」
良かった。取り敢えず第一段階突破だ。絵里の準備が終わるのを待って、一緒に帰路に着いた。
告白は家の近くの公園でしようと思ってるので、上手いこと誘導しないと行けない。その公園は、小さい頃からよく遊んでいた思い出の公園だった。
☆☆☆
しばらく歩き、公園の近くまでやってきた。
「なんか懐かしいな~、昔はここら辺で遊んでたよな」
「そうだね、あっちの公園でよくあそんだよね。……ねぇ優希。久しぶりに公園行かない?」
まさか絵里から言われるとは思わなかった。
断る理由もないので頷くと、凄いニヤニヤしていた。どうしたのだろうか。
とりあえず公園に入り、2人でベンチに座った。以前来たよりも少し寂れた雰囲気がし、少し悲しいような気分になる。
「懐かしいな、よくあのブランコとか乗ってたよな」
「そうだね〜。そういえば優希、ブランコから飛び降りてケガしたよね。あの時はビックリしたよー」
なんか恥ずかしい思い出が甦ってきた。
確か絵里にかっこいいとこ見せようと思ってやったのだ。しかし思ったより勢いが強くて、そのまま顔面から突っ込んでしまったのだ。
「なんか恥ずかしいから言わないでくれ、それ」
「えー? 面白いからいいじゃん 」
「俺が恥ずかしいの」
「むー、まぁいいや。やめてあげる」
「ありがと、絵里」
その後しばらく無言の時間が続いた。そろそろ告るか、と思っていると、絵里がポツリと呟いた。
「……ねぇ、優希」
「ん? なんだ?」
「私を、優希の彼女にしてくれない?」
……え?
心臓が止まるかと思った。聞き間違えじゃないのか? 絵里が俺の事を好きって言った? ホントなのか?
「え……いいのか?」
「うん、優希がいいんだよ」
絵里の言葉を聞いた俺は嬉しくなり、思わずベンチから立ち上がってしまった。絵里がこうして伝えてくれたのだから、俺からも言うべきだ。
「じゃあ、絵里。改めて俺から言わせてくれ。ずっと好きだった。俺と付き合ってください!」
やっと言えた。しかも絵里も俺のことが好きだなんて思わなかった。嬉しくて内心踊り狂いそうだった。
俺は絵里からもう一度嬉しい言葉が聞こえるのを待つ。
──だが、絵里から返ってきたのはいい返事ではなかった。
「……ぷっ、あはははは!」
「……え?」
「私がアンタみたいななんの取り柄もないやつと付き合うわけないじゃん、今日1日ずっとソワソワしちゃってさ。裏切られてると気付きもせずにさ!」
……どういう事だろうか。裏切られてるというのは、なんの事だ?
俺は何を言われてるのか分からずしばらく動くことが出来なかった。
拝読頂きありがとうございました。次話、どうなるのでしょうか。
誤字脱字、アドバイスなどよろしくお願いします。