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ダンジョンセトラーズ  作者: 高橋五鹿
ネームレスタワー
85/106

4月 第一階層の試練

 今月4月に行われる試験について。

 教官から次のような説明があった。


「ネームレスタワーの各階層には、次の階層へ進むための試練が存在する。第一階層の試練は、階層最上階の部屋に出現する門番を倒すことだ」


 先月の塔内での訓練から、第一階層試練についてある程度の情報は開示されている。

 しかし分からないことも多い。

 そもそも、その試練を設定しているのはいったい誰なのか。

 それについては機密事項とのことだった。


 この先も登塔団に残留し続ければ新たな情報を得られることもあるだろうが、途中で除名されるような者たちにまで、先々の階層の情報を明かすつもりはないらしい。


 ――しみったれてんな。


 バリスタの想像では、登塔団が秘密主義なのは自分たちの立場を守るためなのである。

 ネームレスタワーには登塔士しか入場を許可されていない。

 一般にも門戸を広く開放したほうが、迷宮踏破の可能性は高まるだろう。

 だが。

 そんなことはきっと、誰も望んでいないのだ。


「90人の見習いを6人1組の15班に分け、一日に一度ずつ門番に挑んでもらう。現在辞退者はいないようだが、先に挑んだ者の意見を聞いてから辞めることも自由だ」


 後から挑むほうがずっと有利な条件だった。

 順番はパーティメンバーの総合成績順。つまり一番手は王子のパーティとなる。

 王子は同期見習いからの事前情報なしで試練に挑むことになるが、実力的にはまず問題ないだろうとの、教官のお墨付きだ。


「また、第一階層の試練は途中で退却することも出来る。しかし重傷の者が出てから退却するのは難しい。駄目だと思った場合は素早く決断する勇気も必要になるだろう」


 パーティメンバーの内訳は単純な成績順というわけでもない。

 成績は常に変動するので、元から組んでいた編成が優先される。

 例えばブッシュワーカーの順位はバリスタのひとつ下だが、パーティは別だし、ブッシュワーカーの班の方が総合成績は高い。

 バリスタのパーティは最下位の15班だ。

 先に挑戦した者の意見を聞けるとはいえ、失敗確率は一番高いだろう。


「かなり昔の話だが、この試練で全滅するパーティが出たこともある。気は抜くなよ」


 教官は話を止めると、質問は無いかと皆を見回す。

 知りたいことはだいたい機密事項だと言われるため、試験直前には質問をする者はすっかり減っていた。

 が、おずおずと手を上げる者が1人。


「ウィッチか。なんだ?」

「あ、あのう……。その全滅したときの門番は、どんな魔物、だったんですか……?」


 門番は一種類ではない。

 階層試練を達成していない者がその部屋に入ると、初めてその姿を現すのだ。

 それまではどの魔物が門番に選ばれるかは分からない。

 また、大勢で突破しようとすると強力な門番が現れるそうで、6人という数は長年の研究成果による最適解なのだとか。


 ちなみに試練達成済の者、つまり正規登塔士が同行した場合、門番は現れない。

 だが未達成の者が混ざっていれば、第二階層への扉が開くこともない。

 試練は未達の者たちだけで突破する必要がある。


「不明だ。試練中は部屋の中が見えない。全滅したのだから、何があったのか聞くことも出来なかった」

「そ、そうか……そうです、よね」


 質問していたウィッチと呼ばれる少女は恥ずかしそうに俯いてしまったが、それを笑う者はいない。

 出現する門番の種類は長年の記録により解明されてはいるが、倒しやすいものとそうでないもの、当たり外れが存在する。相性もあるだろう。

 確実に突破できる保証など、どこにも無い。





 4月上旬、試練の第1日目。

 挑戦するパーティ以外は、訓練所でいつも通りの日課をこなしている。

 その日の午後、王子たちは無事に帰ってきた。


 試練の内容がどうであったか、聞きたいのは皆同じ。

 しかしここは、2日目に挑むヴァルキリーたちに質問を譲り、他の者は遠巻きに話を聞く。

 いずれにせよ、最下位のバリスタたちが王子に話しかけるのはどうにも恐れ多い。

 なので同期とはいえ、これまでも交流はほとんどない。


 日程が半分も進めば、質問できるパーティは増えていく。

 情報収集はそこからでもいいだろう。





 試練初日から2週間が過ぎた。

 13班まで無事に終了した時点で、全員生還、試練も成功を収めている。

 一般探索者ならいざ知らず、エリート集団である見習い登塔士にとって迷宮の第一階層ごとき、たいしたことはない。

 そんな空気になるのも無理からぬ結果といえよう。


 ここまで出現した門番の内訳は骨牙兵が6回、四足獣が5回、アンデッドが2回。

 細かい種類は違えど、いずれも3体1組の相手だったそうだ。

 強敵だと数が少ないこともあるそうだが、10年で数回程度の出現率らしい。


「なあ。今日の奴ら、随分帰り遅くね?」


 誰かがそう漏らす。

 時刻は既に夕方。その日は、ブッシュワーカーを含む14班が試練に挑む日であった。


 しばらくした後――

 14班は訓練所に1人しか戻ってこなかった。

 しかも、異常に青ざめた顔をしている。

 見習いたちの間にざわめきが起こった。近くに居た者が心配して声を掛ける。


「どうしたんだよ、1人で。他の奴は……まさか」

「いや、違うんだ。皆無事だし試練も成功した。ただ――」


 思い出すのも嫌なことであるかのように、彼は口にする。


「――リザードが2匹出た」


 リザードは巨大なトカゲの姿をした魔物で、第一階層には滅多に出現しない。

 1匹でもこれまでの魔物とは比べ物にならないような強敵だと聞いている。

 同時に2匹の出現など、過去の記録と比べても猛烈に運が悪い。

 王子が前に出て健闘を称える。


「そんな相手を倒して、試練を達成するなんて凄いじゃないか」

「あ、いや……俺はほとんど……」


 歯切れが悪いところを見ると、彼はあまり活躍できなかったのかもしれない。

 話によれば。

 6人中4人が重傷を負ったが、怪我自体は正規登塔士の治癒魔法で治療済らしい。

 今はまだ精神的なショックが抜けないため、塔から出たところで休ませているという。

 残る1人はその付き添いだそうだ。


 ブッシュワーカーがショックで寝込んでいるところなど、バリスタには想像が付かない。


 ――あいつは多分、付き添っているほうだな。


 人が近づく気配に顔を上げると、ヴァルキリーが歩いてくるところだった。

 珍しい。というより、会話したことすらない。


「お前たち、明日はどうする? 試練は辞退することも出来るが……」


 バリスタたち15班の面々は顔を見合わせた。


「そっか。棄権できることを忘れてたぜ」

「棄権したら除名確実だけどな」

「ただ、ここまで全員試練突破してるから……」

「俺たちが続いても、最下位なのは同じだなあ」

「でも、2日連続でリザードとかそれこそあり得ないだろ?」

「危なそうな相手なら逃げればいいだけだしな」


 それを聞いたヴァルキリーは軽く頷く。


「そうか。危険性を理解してるならいいんだ。気を付けろよ」


 それだけ言って、また自分の班員たちの元へ去って行く。


「近付き難いと思ってたけど、案外いい奴だな」

「美人だしな」

「俺たち今月で除名ほぼ確定なのに、今頃気付いてもなあ……」


 皆でげらげらと笑う。

 話し声が聞こえたのかヴァルキリーは振り向いて、呆れたように肩をすくめた。





 第一階層最上階の奥深く、重く軋む扉がゆっくりと開く。

 この部屋に入れるのは試練に挑むバリスタたち6人のみ。

 先導の正規登塔士たちはその様子を見守っている。


 ――塔内の空気は、狩りのそれとは違う。


 連日戦闘が繰り広げられたはずのその場所には、血の匂いも獣の匂いも残っていない。

 全て迷宮に飲まれてしまったのだ。


 バリスタが仲間たちに続きその部屋に足を踏み入れると、扉は音を立てて閉ざされた。


「閉じ込められたみてえだよな」

「でも開くんだろ? 開けたら試練失敗になるだけで」


 一行は広い部屋の奥へと進む。


「……おい、あれ見ろよ」


 先頭の見習いが部屋の奥を指して言う間もなく、薄暗がりの中から現れたのは巨躯を持つ人型の影。

 ただしその頭部は、明らかに獣――『狼』のそれであった。


「なんだこいつ?」

「こんな魔物、情報にあったか?」


 次の瞬間、距離を詰めた魔物の腕が一閃した。

 先頭の見習いは血に染まりその場に崩れ落ちる。


「……え?」


 咆哮が轟く。毛皮を逆立て、狼男の赤い眼が光る。


「やばい! 取り囲め!」

「聞いてねえぞこんなの!」


 倒れた仲間を救うべく、次の2人が左右から斬り込んだ。

 更に2人が背後へと回り込む。

 敵は一体。

 連携して戦えば、見習い登塔士といえど一瞬で倒されるようなことはない。


 だが素早く動き回る筋肉と毛皮の鎧は、見習いたちの刃物を容易く通しはしない。

 4人掛かりでも仕留めきれず、次に誰かが倒れれば形勢は逆転する。

 誰もがそれを肌で感じ取っていた。


 後方でクロスボウを構えるバリスタは、狼男をじっと観察する。

 動く標的を狙うのは難しい。

 そんなことは当たり前のことだ。しかし――


 ――動きを……読む。


 止まっている的に当てることとは全く違う能力。

 だがこれがなければ狩人は務まらず、ただの弓の名人で終わってしまう。

 バリスタは自身の知る限り、誰よりも遠くの獲物を仕留めることが出来る狙撃手だ。


 着弾まで時間のかかる現行兵器で、それを実現し得るために最も重要な能力。

 それは構えの正確さや、距離を測る空間把握能力だけではない。


 相手の思考を読む能力――

 それは白兵戦でも重要な能力だが、剣の達人が読むのは主として一瞬の先。

 撃手は更に1秒先、バリスタほどの長距離狙撃手ともなれば、数秒以上の先を読まねばならない。


 相手が獣であろうとも。どう考え、どう動くのか。

 誰よりも遠く離れた敵を狙うが故に、誰よりも獲物の心を読むことが求められる。


 ――より遠く……より正確に……。


 集中を続けるバリスタの思考は、獲物である狼男のそれに同調しつつあった。


「ぐあぁっ!」


 ついにもう1人が崩された。血飛沫を上げて床に倒れ伏す。


「くそっ、撤退だ!」誰かが叫ぶが、怪我人を2人も抱えてこの敵から逃げられるのだろうか?

 外に出る扉への距離。怪我人を抱えて逃げるには遠く、しかし狼男が距離を詰めるには一瞬の距離。


 まだ怪我人を置いて逃げようとする者はいない。

 だが、いよいよとなればその決断をせざるを得ない。


 意外なことに、囲みを崩して勢いづくと思われた狼男の追撃は来なかった。

 そして、その異常はすぐに明らかになる。


 狼男の胸板から何かが生えている。

 それは一本の短矢(ボルト)だった。


 仲間の1人が倒された直後、その空いた隙間に放たれたクロスボウの矢。

 近距離から放たれた機械弓による攻撃は、分厚い毛皮と筋肉をも突き破ったのだ。


 強烈な殺気を放つと同時に、狼男はバリスタに向け跳躍する。

 2発目の矢を装塡する暇も無い。クロスボウから手を離し回避を試みる。大型弓の重さを支えるハーネスが肩に食い込む。


 両腕で獲物を捕らえ喰い破ろうとする敵の動きを、バリスタは完全に見切っていた。

 腕から地面に激突した狼男と、滑るように場所を入れ替えたバリスタは、あっという間にその背へと馬乗りになっていた。

 手には接近戦用の短剣が握られている。

 長剣でも大したダメージを与えられなかった身体。しかし今のバリスタから見れば目標は止まっている状態であり、筋肉の描く線もはっきりと目視できる。

 その肉の境目へと、短剣を突き立て怒鳴る。


「怪我人を連れていけ!」


 多くを説明している暇などない。

 短い言葉だったが、それでも仲間たちには伝わった。

 狼男の標的はバリスタへと絞られている。今のうちに怪我人を回収して逃げろというのだ。


 試練はもう失敗でいい。

 怪我人というか、実際は生きているのかも分からないが、希望は捨てられない。

 倒れた2人のうち、体重の軽いほうを1人が担ぐ。

 もう1人は大柄な上に重装備だが、鎧を脱がせている場合ではない。2人がかりで運ぶ。

 バリスタは見捨てられるような形だが、彼はまだ無傷で生きている。怪我人の安全確保が優先だった。


 片手で毛皮を、もう片手で突き刺さった短剣の柄を掴むバリスタは、今も敵の思考をトレースし続けている。

 狼男は背中に取り付いた自分を振り解こうとしている。

 そして、同時に反撃も試みるはずだ。だが。


 ――わ、分からん。


 そう。未知の相手故に、思考をなぞれても具体的な動きまでは分からない。

 四つ足の獣であれば、滅茶苦茶に暴れ回って背中の敵を振り落とそうとするだろう。

 しかしこの相手は二足歩行も出来るのだから、例えば背中から地面に落ちてバリスタを押し潰そうとするかもしれない。


 ――それくらいなら、一度は耐えられるか。


 バリスタの倍近い体重はありそうだが、即死は免れるはずだ。反撃の機会も生じるかもしれない。

 そう考えたところで、狼男は逃げた仲間たちの方へ猛然と走り出した。


「ま、まずい!」


 読み違えたのだろうか?

 背中の敵を無視して他の仲間を襲うとは。

 だがそんな心配を他所に、振り返った仲間が構えるよりも早く、狼男はその横を素通りした。

 そしてバリスタもその意図に気付く。


「壁に叩き付けようってのか!」


 後ろに倒れ込む程度では確実性に欠ける。狼男もそう考えたのだ。

 この場合、バリスタは手を離して跳び降りてしまえばいいのだが、本当にそうするべきだろうか?


 ――いや。


 狼男は反撃と同時に、退路である部屋の入り口を塞ごうとしている。

 仕切り直しになったら、バリスタたちがこの強敵を倒すことは難しい。


 ――こいつは今、オレが倒す。


 狼男の肩越しに石の壁が迫る。

 背中に居る自分を、どうやって正面の壁に叩き付ける?

 まさか縦に回転はすまい。そんな動きが出来るようには見えない。仮に出来たとしても。

 伝説の魔剣士じゃあるまいし、戦闘中に上下逆さまになるなどリスクが大きすぎる。


「……横回転だ」


 左右の方向は分かっている。

 背中の短剣をわざわざ自分で深く突き刺すはずはない。だからその逆。

 狼男は壁への激突寸前、僅かに跳躍し身体ごと半回転した。


 同時に。

 バリスタはそれに逆らうことなく、自分も体重を乗せてその動きを加速させる。

 バランスを崩したまま、回転により狼男が再び前へ出る。

 背中から離した手で、狼男の側頭部を掴む。

 そのまま渾身の力で石壁へと叩き付けた。


 それだけでは勢いを殺せず狼男の全身が石壁に、更にその上にバリスタが叩きつけられる。

 地面へと転がり落ちる。

 ハーネスを手繰り寄せ、再びクロスボウを構える。

 狼男も立ち上がろうとするが、バリスタのほうが早かった。


 至近距離――頭、喉、心臓を正確に撃ち抜くクロスボウの三連射。


 狼男の巨体が倒れ、静寂が戻る。

 見ればその身体は灰のように崩れ、そして消えていこうとしている。

 他の魔物とは明らかに異なる消え方だった。


 突き刺さっていた矢と短剣が、灰と共に地面へと落ち音を立てる。

 同時に部屋の奥で、第二階層へと続く扉の鍵が外れる音がした。

 試練の突破は成った。

 怪我人を抱えた仲間たちが追い付いてくる。


「バリスタお前、それだけやれるのに訓練じゃどうして――」

「……人間相手じゃ調子が出ねえんだ」


 以前も狩りの際、大型の獣と白兵戦になり仕留めたことがある。

 成り行きでそうなってしまったのだが、そのときは死ぬかと思った。

 あの経験がなければ、こうも冷静にこの強敵を倒せはしなかっただろう。

 バリスタは抱えられた怪我人を見て尋ねる。


「そいつらは?」

「まだ息がある」

「なら治癒魔法が間に合う。すぐ部屋を出よう」





 全員の試験が終わった翌日、座学用の講堂にて。

 教官から新たな指示が出る。


「自分以外のパーティメンバーで、最も活躍したと思う者に票を入れてもらう。指名された者は、それが成績に加点される。誰に投票してもいいし、投票する側の成績に影響することもない」


 王子が手を上げ質問する。


「俺たちで、意図的に成績順を操作することも出来るように思えますが?」

「示し合わせて投票することも出来るだろう。だが、それに意味があるのかどうかは、よく考えることだな」


 見習いたちがざわめいた。


「これ、実際の試練の内容とは無関係に、成績の低い者を救済することも出来るのか」

「逆に言えば……試練で活躍しても、嫌われてたら投票されないかもな」


 貴族社会に通用する人材を選出することが、今の登塔団の存在意義になってしまっているのだ。

 なれば人望も実力のうち、というような理も通るということか。


 ――意味があるかどうか。教官はそう言ったよな。


 自分たち15班、もしかすると14班も。

 ほんの少しだけ、迷宮の深淵を垣間見たような気がする。

 大きな試験はあと2回。7月と10月に実施されるという。


 家柄だの人気だの、そんな理由で残った人材が試練に挑む意味は、果たしてあるのだろうか。




 結局、誰にも相談することなく投票を終え宿舎に向かう。


 途中で、仲間の5人に出会った。どうやらバリスタを待っていたらしい。

 88位のブッシュワーカーこそ含まないが、ここに集まったのは84位以下、成績最下位の6人。

 全ての見習いが試練を突破した今、普通に考えれば15班は全員今月末で登塔団を除名となる。

 唯一の可能性は、投票の結果だけだ。


「バリスタ。俺たちは、全員お前に投票した」

「ここで粘っても、どうせ俺らは遠からず除名組だ」

「一番可能性のある奴に、全賭けさせてくれよ」


 無言で佇んでいたバリスタは――


「なんで……」


 やっと、それだけを言えた。


「お前、迷宮探索向いてるよ」

「騎士になったって、今の時代そうそう戦争なんかない」

「命懸けの戦いがあるのは多分迷宮だけだな」

「お前は試合じゃ弱っちいけど、()()なら俺たちの中で一番強い」

「いっそのこと、正規登塔士を目指しちまえ」


 そりゃ無理だろ、と皆が笑う。

 この先の人生、この6人で戦うことなどもう二度と無いだろう。


 それでも、彼らは確かに戦友だった。

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青春ですわーむ
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