第73話 黄金の魔女
まどろみから目覚めたモリアが最初にしたことは、武器に手を伸ばすことだった。
しかし、小剣の柄は何処にもない。
背負っていた背嚢の重さも感じられない。
残されたのは着ている開拓服と、首から提げた黒鉄札のみ。
――奪われた、にしては妙だ。
モリアが寝かされていたのは柔らかい草の上であり、暖かな日差しが降り注いでいる。
城の中ではない。どころか、こんな気候の場所が北壁山脈であるはずはない。
「武器はお預かりしているだけですわ、モリア様」
声の主は、いうまでもなくイルゼだった。
モリアのすぐ横に、腰を下ろしている。
上体を起こして周囲を見渡せば、樹海とはまるで様相が異なる、のどかな森林が広がっていた。
現実感のない周囲の景色を見渡してから、魔女に顔を向ける。
「僕にはこういうの、効かないと思ってたけど」
「魔法抵抗力とは有害な魔法から身を守る力。わたくしは別に、モリア様に害意などありませんもの」
「そうなの?」
「そうですわ。あなたこのお城に来てからずっと戦っているでしょう? だいぶお疲れのようでしたから、よく眠れるようにおまじないをしただけですの。メラクが奪った多くの命を……見殺しにしてきたわたくしが言っても、説得力はないかしら」
――見殺し、か。
自ら手を汚していなくとも、力のある彼女にとっては言い訳になるまい。
無論、本人もそれを分かってのことだろう。
「君はなんで、ラゼルフ小隊と戦わなかったの?」
「あら、どうして分かったんですの?」
「君なら、いい勝負になったんじゃないかと思ってさ」
「買い被りですわよ。魔神級の守護者が複数いるのでは、退散するしかありません。それに彼らのほうが、メラクより可能性がある。そう思ったので、邪魔をするのは忍びなかったのです」
つまり、モリアが見逃されているのも同じ理由なのか。
「とりわけ不滅者は無粋ですわ。あんなものに勝てるはずないですもの」
それこそ買い被りではないだろうか。
この世に永遠などはない。
神々ですら滅ぶのだ。被造物のそのまた被造物である迷宮守護者もやはり、永遠の存在でなどあるはずがない。
ただそういった理屈を抜きにして、この地上で不滅者エリクに勝てる者はいるだろうか。
あの兄弟たちをして、《不死身のエリク》と言わしめた男である。
その疑問に対するモリアの答えは――「割と簡単に勝てる」、だった。
戦闘技能自体は人間の域を出ないのだ。一度倒したら地中深く埋めるか、もっと簡単な方法として、鎖でも巻き付けて河底にでも沈めてしまえばいい。百年は浮上できまい。それで実質勝利である。
「不滅者の倒し方とか考えてる顔ですわ?」
「気のせいだよ」
そもそも不死身とはいっても、不老不死であるかどうかすら分からない。エリクは魔人化した後も成長を続けており、普通に老衰で死ぬ可能性はある。
それでもエリクの最大の弱点は、『能力を知られてしまうこと』であることに間違いはないだろう。
不死身のエリクという二つ名はまずい。呼び名から能力を推察されてしまう恐れがある。
そう考えたモリアは街の人々に《考えなしのエリク》というあだ名をそれとなく広め、いつしか兄弟たちもそう呼ぶようになり、《無謀なるエリク》は不名誉ながらも彼の通り名となった。
エリクがやさぐれた性格になった一因ともいえる。
「わたくし、どちらが強いとかどうでもいいですの。薄情かもしれませんが、メラクなんて誰に殺されても仕方ないですし、そのくらいの覚悟がなければ――『竜』を終わらせることなんて出来なくてよ」
「ベネジウスも目指すところは違えど、君の考えに近いものがあったと」
「あんな下品な人が支配する世界とか見たくもありませんが、全て滅ぶよりはマシかもしれない。だから可能性のひとつとして、生かしておいて差し上げたのですわ」
それほどの実力がありながら。
「分からないな。グルヴェイグも言ってたけど、君自身が竜に挑めばいいのでは?」
「悪い意味で、賢くなってしまったのですわ」
僅かに目を細め、イルゼは述懐する。
「魔法の本質は実現を信じて疑わない心。自身の望みを叶えるために、竜をも屈服させる。わたくし、そんなことの実現を信じられるほど、強欲じゃありませんもの。幹部の四人はそういう意味で、わたくしよりもずっと見込みがありましたわね」
「僕でもやっぱり無理だと思うなあ。なんで僕は君に生かされてるのかな?」
この魔女にとって、モリアに利用価値があるようには思えない。
イルゼは居住まいを正すと、モリアの目を真っ直ぐに見つめ理由を話す。
「白氷竜がラゼルフ小隊によって弱体化した今は千載一遇の好機。でも竜との対話には管理者――すなわちドゥーベと近い位置にいるミザールの手助けが必須。その要求を通すためには氷壁城の試練を達成しなければならない。ここまでは分かりますわね?」
何故メラクが氷壁城に来ているのか。その理由が明確且つ簡潔にイルゼより語られた。
管理者の能力については新たな情報もあったが、ひとまず内容は理解したので頷きを返す。
「残念ながら、メラクが試練に失敗する未来が視えてしまいましたの。だからモリア様、代わりに責任を取って下さいまし」
「僕のせいなの!?」
「そうですわよ? ええ、もちろん星占いの結果ですわ」
打って変わって、不明瞭且つ理不尽に過ぎる暴論が同じ女の口から発せられた。
しかも根拠は星占いなのか。
「わたくしにとって残念なのは、あなたも竜殺兵器を必要と考えている点。そこは譲歩します。今回の迷宮活動期で四方竜の封印が失敗すれば、最悪の事態になりかねません。残された時間は少なく、やるのなら今すぐにでも実行すべきです」
実行するのは構わないが。
それでは結局、イルゼの望みは叶わないのではないか。
彼女はおもむろに立ち上がった。
「あなたはただ――わたくしの考えを受け継いで、未来につなげてくれればそれでいい。まずは、それがわたくしの望み」
モリアに向けてそう言うとイルゼは顔を上げ、この場に現れた新たな人物を視界へと収める。
「そしてお母様の望みは、わたくしの記憶を当代の魔女に差し出すことでしたわね」
そこに立っていたグルヴェイグは呆れたような顔で、この不可思議な世界を眺め回す。
「いったいなんなんだ、この場所は」
「ここはわたくしが長い樹海生活のヒマにかまけて造り出した空間魔法。影の精霊種専用の決闘場、『影の夢』とでも呼ぶべき場所ですわ。ああ、人間のモリア様に害は無いのでご心配なさらぬよう。あと、モリア様の身内の不滅者は邪魔なので呼んでません」
――うん? エリクがここに来ているのか?
やはり城門入り口の足跡はエリクだったか。
無事かどうかでいえば、無事に決まっているのでそこは心配していない。
そして城に来た目的も今なら分かる。
白氷竜ドゥーベにとどめを刺しに来たのだ。
ラゼルフからそれを託されたのならば、エリクは竜殺兵器の使用を望む側だろう。
他の手段を考えられるほど、彼は器用ではない。
まさかいつものように、腕力で解決しようなどとは思っていまい。
――いや、どうだろう……エリクだしなあ……。
グルヴェイグはイルゼを軽く睨みながら、疑問を口にする。
「エリクはモリアの身内だったのか? それは置いておくにしても決闘場……ね。それで?」
「今ここで決着を付けましょう、お母様。勝敗の判定はモリア様にお任せします」
「何故モリアなんだ」
「試練の達成に最も近いのがモリア様だからですわ。それはお母様も気付いていますでしょう? わたくしはモリア様を見込んで、イルゼの意志を受け継いでほしいのです」
「いや、モリアに記憶の引き継ぎなんて出来ないだろう?」
「そういう意味ではありません。一族の考えに思考を縛られすぎなのではなくって? 影は影なりにもう少し――自由に考えても、いいと思いますわ」
しばしの沈黙が、ふたりの間に流れた。
「まあ、いいだろう。モリア、私の望みについて確認したいことはあるか」
「グルイーザに記憶を差し出すとはいうけど、差し出したほう――イルゼの記憶が消えたりするわけじゃないよね?」
「君の言う通りだ。長い時間が経てば魔女の力の減衰にはつながるが、イルゼの残り寿命を考えれば影響は皆無と言っていい」
長命種のイルゼが魔女の記憶を引き渡せば、長い人生の中で力が減衰していく。
しかしドッペルゲンガーといえど、いずれ寿命は訪れる。
つまりグルイーザに記憶を渡したところで、今のイルゼにとって不利なことは、もう何もないのか。
「さっきグルヴェイグも言ってたけど、ふたりの望みって普通に両立できるのでは……」
「そんなこと、今となってはどうでもいいですの」
「確かにそうかもな。イルゼは考えを改め反省すべきだ」
「わたくしはどちらの主張が、よりモリア様に認めて頂けるのかを知りたい。それを以って、わたくしとお母様の主張のどちらが正しいか。二百年に亘る争いに、終止符を打たせてもらいますわ」
今では両立できる、ふたつの望み。
モリアにはイルゼの意志を、グルイーザには黄金の叡智を。
それぞれを過去より受け継ぎ未来に託すこと。
かつてイルゼは自らの力による竜の終焉を求めたが、それは次代に力を引き継ぐことを拒否することでもあった。
だから昔は両立不可能だったのであり、それがふたりの魔女の長きに亘る確執でもある。
しかしイルゼが自分の力で竜を倒すことを諦めた、今となっても――
――決着を付けねば気が済まない。そういうことなのか。
モリアは立ち上がってつぶやきをもらす。
「……愚かだね」
「だそうですわお母様」
「君のことじゃないのかね?」
「で、どうやって判定をくだせばいいのかな」
イルゼは幼さの残る顔に柔らかな微笑みを浮かべながら、その方法を述べる。
「わたくしが今からお母様を痛めつけて考えを改めさせますので、モリア様はそれを見物しながら決めてくだされば結構でしてよ」
「上等だ小娘! その言葉そっくり返してやる!」
両者の足下から魔力の暴風が吹き荒れ、モリアを打つ。
その衝撃がモリアを素通りした。人間に害が無いというのは本当らしい。
それにしても。
これほどの魔力が人体から直接発せられるのは、なかなかお目にかかれるものではない。
――まるで、魔剣士コルサスの《ワールウインド》みたいだな。
もちろん、そんな伝説の魔剣技を直接見たことがあるけではない。
だがそれを実際に目にする機会は、確実に近付きつつある。
「この影の夢では魔力を伴わない攻撃に意味はありません。互いの影を直接削り合う戦いです。ここでの戦いで負ければ、もちろん――死にますわよ」
ふたりはモリアから距離を取ると、イルゼは氷の槍を、グルヴェイグは炎の矢を無数に生み出し互いに撃ち合った。
轟音、爆音に紛れて互いの罵詈雑言も聴こえてくる。
本当に殺し合いをしている。
そうだ、グルヴェイグもイルゼも善良な常識人などではない。
あのグルイーザと同じ種類の人間だ。
決闘場とか言い出した辺りで、こうなることは初めから分かっていた。
しかし、殺し合いの勝敗はモリアには関係がない。
モリアが決めるべきことは別のことであり、それは既に提示されている。
やはりというか、イルゼの力の前にグルヴェイグは押され始めていた。
やがて満身創痍となったグルヴェイグは地面に膝を突き、勝ち誇ったようなイルゼがその前に立つ。
「そろそろ降参なさってはいかが?」
「舐めるなよ小娘……君が樹海に引き籠もっていた二百年、どれだけの死線を潜ってきたと思っている」
魔力を全く伴わない、ただの握りこぶしがのろのろとイルゼの腹に放たれる。
力なく当たったその拳は、この影の夢では当然ながら――痛くもかゆくもないだろう。
だが、その拳を見つめるイルゼの目が見開かれる。
「呪石魔法……!」
「――浄罪の獄炎」
――あれは、煉獄の呪石か!
グルイーザの扱うそれよりも小さく、高濃度に圧縮された小型の爆発が発生した。
グルヴェイグの右腕の先、呪石を握り込んだ拳は無惨にも吹き飛んでいた。
そして、イルゼの腹にも大穴が開けられている。
この影の夢においても、いや、この世界だからこそ――
イルゼのそれは明らかな致命傷だということが、モリアにも感じられた。
「ここまでにいたしましょうか、お母様」
「イルゼ……」
「勝負は付きました。わたくしの勝ちです。そうですよね? モリア様」
グルヴェイグはモリアを見た。
モリアは黙ったままだ。イルゼの言葉を否定することもない。
「これはいずれの主張が、よりモリア様に認めて頂けるかの勝負。どちらが死ぬとかは、無関係ですわ」
腹に大穴を開けられながら、溢れ出る魔力は止まらないままだというのに――
「わざわざお母様と命のやり取りをしたのは――ちょっとした、余興ですの」
片目を閉じて微笑みながら、イルゼは言う。
「わたくし、今までお母様と腹を割って話したことがございませんでしたもの。でも物理的に腹を割られるとは思いませ――ごフッ!」
イルゼの命の灯火は、今にも消え去ろうとしている。
そして、全身から影のような魔力が漏れ続けているグルヴェイグも、また――
仰向けに地面へと崩れ落ちた。
傷口から漏れ出る独特の魔力が、この長命種の終焉を如実に物語っている。
「そうか……負けてしまったか」
ふたりへ歩み寄ったモリアは、無意識にベルトの横を探る。
そこに、ラゼルフから貰ったはずの薬瓶は無い。
この影の夢に来たときに、イルゼに取り上げられてしまっている。
だが、あの霊薬があったとしても――
「ごめん、グルヴェイグ。別にあなたの主張を否定する気はないんだ。グルイーザに先祖の叡智を受け継がせたい、その気持ちは僕も同じ。あなたを手伝ってもいいとすら思っている。でも……もう――」
「いいんだ……モリア」
「気になさらないで、モリア様。お母様はどうせ寿命なのですわ」
「いや……君の口からそれを言うのか……君だって同じだろうに」
どう見てもイルゼのほうが重傷なのだが、彼女の毅然とした態度が崩れることはない。
倒れているグルヴェイグは息も絶え絶えだった。
「そうだ……エリク……彼は何故無事だったんだろう?」
「エリクは一日に一度だけ、あらゆる肉体の損傷を修復し魂をも呼び戻す迷宮守護者――《不滅の猪》ゼーリムニルの能力を、その身に宿しています」
「ああ、最初の試練を何度もやり直したと言ってたのは、そういう……ハハ……不思議な奴らだな君たちは」
軽く笑うグルヴェイグの目には、もう何も映っていない。
「私の長い旅路も……これで……」
それがグルヴェイグの最期の言葉だった。
世界が影に包まれ、三人の姿を包み込む。
薄れゆく景色の中、イルゼはモリアへと語り掛ける。
*
モリア様ならきっと、分かってくださると思いましたわ。
でも、それを叶えるにはまだまだ長い時間がかかるもの。
今回の迷宮活動期では、やはり竜殺兵器に頼らねばならないでしょう。
七つ目の星が視えたときに確信したのです。メラクは失敗すると。
いっそのこと、わたくしが彼らを終わらせてしまおうかとも思いましたが。
それはあなたにお任せいたします。
え? 試練の達成は無理? メラクに勝てそうにない?
……………………。
ねえあなた、ドッペルゲンガーの伝承はご存知?
ご存知なのね。ならそれを見た人がどうなるのかも。
心配ありません、結末はもう視えているのですから。
どうして分かるのかって?
もちろん星占いですわ。
今日は良き日ですので、お母様の望みもついでに叶えてあげましょう。
わたくしの記憶はミザールに預けておきますので、当代の魔女に取りに来るよう伝えてくださいましね。
ミザールはいつもと同じように、試練だなんだと言い出すでしょうけれど。
それくらいは軽く片付けておしまいなさい、と。
――それではごきげんよう、モリア様。
*
最後に、グルヴェイグとイルゼが並んで去っていく背中が見えた。
それぞれの望みを叶え、和解は成ったのだと。
そう信じたい。
どれだけ眠っていたのだろうか。妙に体調がいい。
気付けばそこは氷壁城の中――元の交差路で、持ち物は全て元通りに装備されている。
ふたりの魔女の姿はもう何処にも無かった。
影の夢と共に消えたのだ。
『グルヴェイグ、並びにイルゼの消滅を確認。彼女らの挑戦は未達とする』
モリアに伝えるためかのように、ミザールの声が響く。
彼女たちの時代は終わった。
いや、とうの昔に終わっている。
今はグルイーザが、黄金の魔女を受け継ぎ名乗る時代なのだ。
近くで彫像のように立っていた男が、時間を取り戻したかのように動き出した。
辺りを見回そうとして、すぐさまモリアに気付く。
「あ……? モリア? オレがさっきまで話してた奴らは?」
「夢でも見てたんじゃないの? エリク」
「んな馬鹿な……って、なんでお前がこんなとこにいる!?」
「皆の帰りが遅いからさ、孤児院は街に接収されちゃったんだよね」
エリクは、はっとしたように固まった。
目を伏せて絞り出すような声で言う。
「……モリア。ジジイたちは――」
「もう知ってる」
モリアは装備している革の胸当てを軽く叩く。それはラゼルフの残した魔道具のひとつだ。
それに気付いたエリクは怪訝な顔をする。
「どうやってそれを手に入れた?」
「迷宮では迷宮石や魔物の力の発現のように、外の世界では起こらない現象が起こる。これもその一環だよ」
「そうか。そういうこともあるのか……」
積もる話をしている時間はない。
モリアは急ぎ仲間を助けに行く必要があること、そしてメラクの残党との戦いは避けられないであろうことを伝えた。
そして、エリクの目的も一応確認しておく。
「ジジイが言ってたのさ。四方竜を倒すためには北の城に行く必要があるってな。どういうわけか、城の位置を示した地図まであった」
グリフォンの呪符を使って城の場所を発見したのだろう。
ミザールの存在については、同じ管理者であるフィムの入れ知恵だろうか。
「オレはひとりになっちまったが、それを成し遂げることにした。四方竜はオレが倒す。だからここにいる」
「そっか。なら僕も、それを手伝うよ」
白氷竜ドゥーベを封じるには竜殺兵器を用いなければならない。
エリクが竜殺兵器を扱えるかは五分五分だと、ラゼルフは言っていた。
ならば、モリアが付いて行く意味はあるだろう。
「後始末なんざ、オレに任せときゃいいものを」
「エリクに任せてたら、先に迷宮活動期が終わっちゃうでしょ」
「抜かせ」
氷壁城の試練、これまでの戦いにより――
ホラ吹きラゼルフが去り、傀儡師ベネジウスが斃れ、グルヴェイグとイルゼの魔女ふたりが共に消えた。
味方陣営には黒鉄札のモリア、白鉄札のエリク、アリオトのドニ。
五大幹部には魔剣士コルサス、魔撃手カイエ、鬼人ディズノール。
両陣営の主力は残すところ――互いに、あと三名。