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◆ 義母と義姉はアウラを恨んだ

 

 マリーとフローラは王立裁判所から帰らないイドラを待っていた。


 朝方、婚約の支度金がいつまでも持参されない事にひどく焦っていたイドラがとうとう王立裁判所に出向く事を考えついた。


 しかしその日も次の日にもいくら待っても夫のイドラは帰って来ない。

 仕方なくマリーとフローラは王立裁判所に出向き夫のイドラが貴族牢に捕らえられていることを知ったのだ。


 裁判を終えたラティオーが出てきたところを遠くの階段下から見つけたマリーが大声で怒鳴り散らした。

「ちょっと、公爵!夫のイドラを返してよ!お金も入って来てないわよ! 嘘つき!」

 

その怒声に気づいたラティオーだったが表情も変えず義母と義姉に対峙することは無かった。

 ラティオーは一切の相手をせず決められていた次の法廷へと姿を消した。


 ラティオーに無視をされた二人は怒りでわなわなと震えている。


(はぁ?何?あの態度・・・それにどうして?王立裁判所に乗り込んだだけのイドラが貴族牢に入れられたの?たったそれだけのことで?)


 バカな義理娘、アウラの婚約者にされた無視に怒りが収まらない。


 元平民出の二人はこれが重罪であるとは夢にも思っていない。貴族のイドラが分かっていなかった事が一番の罪だったのだが。


 二人は仕事の出来ない使用人達に払う給金も食材を仕入れるお金すら底を尽きかけている事に酷く焦っていた。

 元々平民出で貴族のしきたりも、ましてや領地の経営など出来ようもなく考えに窮していた。


 そこで思慮の浅いフローラが名案とばかりに声をあげた。

「そうだわ!お母様。アウラに直接会ってお金を催促するのよ!」


 それを聞いたマリーも大いに賛同した。

「そうね!そうだわ。元々は約束を守らない公爵家が悪いのよ!それに実の父を牢屋に入れて家族の私たちを苦しめるなんて!馬鹿なあの子に教えてあげなきゃダメだわ。躾をし直す時がきたようね」


「お母さま、あいつ図に乗ってしまったようだもの。今度こそ躾をちゃんとして私たちに味わわせた苦労が間違いだったと分からせてあげましょうね。本当に馬鹿をしつけるのは大変だわ」


 次の日、伯爵家の馬車で公爵家の門の前まで来た二人はいつまでも開かない扉に腹を立て門番を激しく罵った。


「私たちは今度、この公爵家の婚約者になるアルブル伯爵家の者よ!アウラの母と姉ですわ!ここを通しなさい」


「そうよ!公爵家の門番は礼儀がなってないわ。婚約者の親族にする態度かしら!早く開けなさいよ!たかが門番のくせに!」


 公爵家の門番は事前に話を聞いている。これから仕えてゆく主人のひとりとなるアウラの境遇を聞き、心を痛めていた。      

 そして主の公爵様からは心ない態度をする者達を通す事は(まか)りならないと言われていた。

 

 しっかり主人の言い付けを守る門番に二人は次第に怒りのボルテージが増してゆく。

 昨日のラティオーの態度がすでに気に食わない二人には公爵家門番の態度が導火線に火をつけるのに充分であった。

 

 突然、義姉のフローラが馬車から降りて地面の砂を掴み門番に投げつけた。

 門番はサッと避け無事だったが

 その時、公爵家の主人が乗る馬車が帰ってきた。


 公爵は馬車から降りもせず窓から顔を出し二人に向かって口を開いた。


「そなた達は本当にアウラの家族なのか?アウラの爪の先程のマナーも無いのか?」



 こいつは何を言っているのだ?と言わんばかりの顔を向け義母は罵った。


「貴方が公爵様かしら?何も分からないのね?アウラは何も出来ない子ですわ。あの子はマナーも教養もありません。それなのに一体何を仰っているのかしら?」

 マリーは公爵家の当主に尊大な態度で言い返した。


 公爵は思わず吹き出してしまった。

「ハハハハハ。無知とはこれ程に恐ろしいものなのか。片腹痛いわ!アウラの義母と義姉よ。アウラの教養はこの国の令嬢の中で一番だ。マナーもそうだ。この国・・・いや隣国まで入れてもアウラほどの令嬢はそうそう探す事は出来まい。今までの自分達の行いを反省もせず、支度金目当ての浅ましい頭を帰って冷やしてはどうだ?」


 公爵家の当主相手でも無教養の為せる業かマリーは怒鳴り散らす。


「な、な、何ですって!そうよ!支度金!約束の支度金を寄越しなさいよ!約束も守れず偉そうなことを言わないで!庶民だって物を買ったらお金を払うことは当たり前なのに!」


「そうよ!変態揃いの公爵家に義妹をあげたのよ!お金を寄越さないなんて、なんてケチなの!」


「ほう。そなた達は支度金の意味を知っているのか?」


(こいつの自信満々な態度はなんなの?変態だから?)

「な、何をいっているの?・・・婚約した家にくれるものでしょ?」

少し不安そうにフローラが答えた。


 公爵はやっぱりダメかと心で思う。確かアウラの義母は娼館出のはずだが・・・

「はぁー、やはり恥の上塗りか。支度金とは言葉通り、婚約する者の支度にかける金に対して払うことだ。そなた達の私欲に渡すものでは無い。足りない頭に分かりやすく言うと・・・家に渡すのでは無くアウラ本人の支度に渡すものだ。

義母と義姉よ。強欲をかくと、それはもはや詐欺ではないのか?そうだな、この公爵家の門前での騒ぎも相まってそなた達も牢獄に送ってやろうか?」


 二人は真っ青になった。喧嘩を売る相手を間違えてしまったのか?こいつは簡単に自分たちを牢屋に入れられる立場なのだと恐れ慄いた。義母のマリーは夫イドラとは格の違う・・・過去の娼館で働いていた頃に相手をした、どの貴族を思い出しても圧倒的に対峙したこともない目の前の男に足元から掬われる様な恐怖を覚えた。



 だがアウラの事が引っかかる。


 私たちの知るアウラの話をしているのか?


 公爵が果たして嘘をつくであろうか?



・・・あのアウラが最高の令嬢?


 そんな!まさか!?





最後まで読んでいただきありがとうございました。

とても嬉しいです。

誤字脱字のご報告もありがとうございました。

明日も18時更新となります。

これからもよろしくお願いします。

楽しく読んでいただけるように頑張ります。


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― 新着の感想 ―
[一言] 既に完結されてるので、この世界はこういうものとして落とし所としました 腑に落ちないとう点 娼婦として娼館で働いていたことがわかる話でした。そうしたのは無知な平民がどういった人物なのかとした…
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