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◆ グロリエとファーマ(グロリエ視点)



 私はアウラと一緒に庭園の四阿でゆっくりお茶を嗜んでいた。

 アウラはあまり無駄口を話す事が無い。それが心地良いと素直に思う。私は長年にわたり社交会や舞踏会で上に立つ者の気苦労や腹の探り合いで疲弊することがあったから。


 今日はそんなアウラから珍しく質問されたのだが・・・


「お母さまとお父さまはやはり政略結婚だったのですか?」


(あら、珍しい・・・恋愛のお話なんて)

 私はクスっと笑いアウラに逆質問をしてみる。


「アウラはラティオーとも政略結婚だと思うのかしら?」


 アウラの方がビクッとして顔を下に向けた。

「私は父が持ってきた見合いの話を聞いた時に正直、政略結婚なのだと思いました。でも今ではお互いを尊重し良い関係が築けているのだと思います」


 そう話すアウラの耳元がほんのりと赤い。そんなアウラをグロリエは微笑ましく思う。


「アウラ・・・確かにラティオーの縁談話は(ほとん)どすべてがイライザの手によって潰されていましたからね。その時は流石に不味いかしらねって持参金の上乗せを仄めかした時期があったわ。その時、まんまと食い付いた男が現れてくれて・・・」


 アウラはそれが実父だとすぐに分かり顔を曇らせた。


「そんな悲しい顔をしないで・・・実はアウラの実父が縁談の申し込みをしてきた時にアルブス伯爵だと聞いたから乗り気でなかったラティオーを(けしか)けたのよ」


「えっ?」

 アウラは初めて聞く話に驚きを隠せないでいる。


「ふふふ、びっくりするわよね。私とファーマはアルブス伯爵家に向かう当日のラティオーに一言だけ助言をしたのよ・・・『ラティオー、お相手だけ・・・17歳のアウラ嬢()()をしっかり見るのですよ』ってね」


「お母さま・・・」


「そうしたらラティオーったらやる気なさげに返事だけはしてね。あの日は仕事先からアウラの所に向かったようね」


  当時を思い出してアウラも頷く。


「でもね、夕刻、ラティオーは怒涛の勢いで帰るなり言い放ったのよ・・・

『父上!母上!

どうやら私はアウラ嬢と婚約すると決めたようです?

いや婚約すると決めたのです!

今からアウラ嬢と家族らしき者達を迎えに行って参ります! 

ご承知おきください!では!』

ふふ、今思い出しても私もワクワクする気持ちを思い出してしまうの」


「お母さま、突然のことだったのに・・・ありがとうございました」


「アウラ、一目惚れはどうやら血筋らしいのよ・・・

そうね、私の若いころのお話・・・

少し長くなるけど聞いてくれるかしら?」


 アウラは勿論だというようにニッコリ笑ってみせた。


 私はアウラの笑顔を確認してゆっくり話し始めた。



 あれは私が13歳で前国王陛下が王太子だった頃に開かれたお茶会でのことだったの・・・





「痛っ!」

 侯爵家の令嬢が指を押さえて痛がっていた。


「どうしたの?」

 ケルサス公爵家令嬢のグロリエが心配そうに尋ねた。


 ここは王城の庭園で王太子の婚約者を決める為の茶会が今まさに開かれていた。


 年頃というには些か幼い、子息子女達が集められた場所では一人でもライバルを減らそうと小さなレディー達が牙を剥く。

 

(ふーん、全く馬鹿らしい)

 内心の呆れが顔に出そうなるのをグロリエは隠し怪我をした侯爵令嬢に興味を戻す。無傷な方の手を握り王医がいる場所に向かおうと歩き出した。


「待て」


 グロリエと侯爵令嬢が振り向くと他の子息達より頭ひとつ分背の高い少年が立っていた。

 私は怪訝な気持ちを笑顔で隠して

「何か?」と尋ねしっかりと目を合わせた。


 少年は無愛想に言った

「今は王太子の婚約者を内々に決めるための大切な場だ。令嬢達がこの場を離れる事はまかりならない」


 グロリエの笑顔は引き攣り蟀谷(こめかみ)がピクピクしたが

「侯爵令嬢が怪我をしたのです。王医に診てもらうためなのですが咎められる事でしょうか?」


 少年は侯爵令嬢の怪我を一目見て威圧的に

「ふん」と一言、発して興味無さげにしたが何故かその場を離れ・・・無かった。


 私をジーと見下ろす少年。


(な、なに?)

 尚もジーと目が合う。


 だが実は、

 少年は密かに思っていたのだ

(天使なの・・・か?)と。


 残念ながら、そんな事だとは全く思いもしないグロリエ。


 居た堪れなくなった私は

「まだなにか?」

 と聞くのだが


「・・・・・・・・・」

 ただ黙って少年は私を凝視している。


 私は不愉快を隠しもしないで

「あのう、不敬では?」


 すると少年はプイッと横を向いて去って行った。


(はあ?何なのかしら?あのノッポは!ちょっとくらい顔が整っているからってあの態度!)


 グロリエは心頭に発するが今度こそ王医に連れて行った。



 グロリエと侯爵令嬢が席を()()()離れている間にそれこそ次期王太子の婚約者が内定してくれた。



(はあ、良かった・・・選ばれなくて・・・)


 私は安堵の息をそっと吐いた。


「もしかしてグロリエ様は選ばれたくなかったのですか?」

 怪我人の侯爵令嬢、もといサラはグロリエに質問してきた。


「そういうサラ様こそ宜しかったのですか?」


 サラは小声でそっと

「私には幼き頃より誓い合った方がいるのです。グロリエ様も?」


 グロリエはサラが実は(したた)かなのでは?と思いクスリと笑って答える。

「私はおりませんわ。でも未来の国母は御免被ります」


 これが縁となり後々まで親友と呼べる友が出来たのは大きな収穫だとグロリエは後に思う。


 この茶会でグロリエはまだ13歳だった。そして14歳になった時にいよいよ婚約の話が上がったのだが・・・


 まさかの相手は同じ爵位のファーマ・ヴィクトルだった。

 あの王家茶会で会った背高ノッポの嫌味な奴!一年もあればお茶会に出席した貴族達の情報は大方掴める。


(あいつが婚約者!?)


 普段のグロリエは銀髪にエメラルドの瞳が美しい清楚で可憐な淑女だった。

 しかし好奇心旺盛で茶目っ気があり公爵家嫡男の弟と一緒に勉学や剣術に狩猟まで(こな)すギャップが激しい、ちょっと男前な乙女でもあったのだ。


 初顔合わせはヴィクトル公爵家で行われた。


(はあ、もう既に一度会っているから初じゃないわね)


 グロリエは少しやさぐれていたが態度には勿論出さない。


 応接間には公爵家一同がいて当主の隣に嫡男の兄がいてその反対隣にファーマがいた。


 お父様とお母様そして私と弟が応接間に入るや否や歓迎するとばかり当主同士が握手を交わした。


 私は突き刺すような視線を感じて目線の主を探すと。


 がっつり・・・と

(えっ!)

 それはもうがっつりとファーマと目が合った。


(え?あれから一年しか経っていないのに背が・・・また背が伸びている・・・17歳は成長期か!?)


 

 ただじっと目を合わせてくるファーマ・・・


 ただただファーマはグロリエを見ているのだが・・・


(凄い目ヂカラ・・・)


 ファーマは一切の感情が顔に出ないのでグロリエには全く表情を読み取る事が出来ず困惑していた。


 いきなりヴィクトル公爵がファーマの頭をゴツンと叩く。


「いっつ!・・・」

 頭を叩かれたファーマは両手で頭を抱え込むようにしてしゃがみ込んでしまった。


「ファーマ、お前は美しいレディーの前で挨拶も出来ず何を睨みつけているのだ!?」


 上目遣いでゴニョゴニョと小さく反論するファーマ

「父上、睨みつけていたわけではありません・・・」


 ヴィクトル公爵はニヤリと笑い

「なんだそうか、グロリエ嬢に見惚れていたか!良かったな、ファーマ。お前の催促で結んだ縁だ。一目惚れの初恋が実ったじゃないか!ハハハハハ」


「「な!!」」


 私とファーマが同時に声を上げた。


「ヴィクトル公爵、我が娘のグロリエも満更でも無いようだ。これで両家も益々安泰じゃないか!ハハハハハ」


(えっ!?お父さま!お門違いよ!)


 私は視線を感じてその方を向くとファーマとまた目線が合った。


(何で・・・頬を染めてこっちを見ているの!?)



 それから私とファーマは庭園で二人きりの茶席が設けられた。


 重たい沈黙・・・


 (何か喋りなさいよ。ここは貴方の陣地でしょ・・・ずーと、こっちを見ているし・・・)

 私は心の声が顔に出ないよう何とか無心を貫き通す。



  

 徐に沈黙は破られた。


「グロリエ嬢に聞きたい」


 一年ぶりにしっかり聞いた声は低く心地良かったが。


「何でしょうか?」


 ファーマは相変わらず目線を外さない。


「グロリエ嬢()私を慕ってくれているのか?」


「はい?」

(この人、何を言っているの?)


「あの、どうしてそのように思われたのでしょうか?」


 ここで初めてファーマはグロリエから目線を外し

「貴方だけがしっかり私の目を見て話をするから・・・」


(あーーー)

 グロリエは納得した。ファーマは美しいが、鉄壁の無愛想だ。

 この美しい無愛想を直視し続けるのは世のレディー達には中々骨が折れる事だろう。


 私はファーマの質問を華麗に保留にしたが婚約式の日程は決められた。ついでとばかり婚儀の日程までも決められた。


 それから月に数度はお互いの交流が始まってしまった。


 しかし・・・

 何故か・・・

 悔しいが・・・

 会えば会うほど気が合うではないか!


 ファーマは不愛想だがグロリエをしっかり大切にする。

 そしてグロリエの助言をしっかり聞くのだ。徐々に対人コミュニケーション能力も上がっている期待値の高い、ちょっと愛想が良くなった美形となりつつあった。


 最初はお互いの屋敷でお茶会をしていたが今日は初めての外出だ。

 王立植物園へ馬車を走らせる。

 馬車の中ではお互いの侍従が連れ添い私は移りゆく窓の景色を眺めていた。

 しかし相変わらずなファーマの視線が気になるが慣れとは恐ろしいもので今では華麗にスルーする事を覚えシラッと外の景色から視線を外さない私。



「グロリエ、少しは私を見なさい」


「「ぶっ!」」

 侍従達が下を向いて噴いている。


「ファーマ様を見るより景色を見ている方が楽しいのですが?」


「そ、そうか・・・うん、そうか・・・」

 シュン

 と項垂れるファーマ。


 侍従達がまた

「「ぷっ!」」

  吹いているし。


 王立植物園に着くとファーマはグロリエをエスコートして園内を回った。

 季節の花々はそよぐ風に気持ち良さそうに揺らいでいる。


 

 ふと、グロリエは咲き誇る花々にも勝るとも劣らない一人の少女に釘付けになった。

 

 恋人かしら?それとも婚約者?その手を取る少女はなんて美しいのかしら。

幸せそうに笑う方だわ。

 グロリエはその名も知らぬ少女に釣られて口元に笑みを浮かべていた。


「どうした?グロリエ?」


 ファーマの質問にも目線は彼女に釘付けになりながら

「あそこにいる少女の可憐に笑う姿に見惚れていたのですわ」

 

 私が言った少女を見たファーマは

「いや、グロリエの方が可憐だ・・・よ」


「「ププッ!」」

 またもや侍従達が揃って笑っている。

 ファーマのアプローチは残念極まりないようだ。


 私は金色の髪にエメラルドグリーンの瞳が輝く美しい少女をいつまでも眺めていたいと名残惜しく思いながらもファーマと先を進んだ。


 


 あれから3年が過ぎる頃、気がつくと私はファーマの無愛想な美しい顔の表情を読み取る事が出来るようになっていた。



挿絵(By みてみん)







挿絵(By みてみん)



「グロリエ・・・愛しているよ。この王国も守る・・・でも何より君を守るために行ってくるよ」

 ファーマは私の頬に手を滑らせ流れる涙を指で拭ってくれた。


「ファーマ・・・生きて帰ってきて、それだけで良いから、それだけで・・・」


 ファーマの青い瞳もうっすらと濡れている。

「ああ、分かっている。約束する!愛するグロリエのもとに必ず帰る!誓うよ・・・グロリエ」


 今からファーマは戦場に向かってしまう。

(心が・・・壊れそうよファーマ!)


「ファーマ、約束を・・・守って・・・ね」


 ファーマはグロリエを強く抱きしめて初めての口づけをそっと落とした。


 私達は途絶えがちな手紙のやりとりをした。帰ってきた短い手紙だけがファーマの生きている証だった。

 私は必死に父と弟のいない公爵家を仕切り王国子女達に与えられる仕事をこなしながらファーマの無事を祈り過ごしていた。


 2年の戦争は勝つ事が出来たが多くの優秀な貴族達の命を奪った。優秀な貴族ほど先頭に立って戦ったから。


 私はお父さまを亡くした。

 ファーマは生きて帰ってきた。

 でもヴィクトル公爵と嫡男の兄を亡くしてしまった。


 この王国は急いで終戦から国を立て直さなくてはならなかった。

 多くの優秀な若き世代を亡くし国は婚儀の催促をしたのだ。

 早く次代を増やす手っ取り早い解決策として。

 それは愛する人を亡くした者達にさらに悲壮な追い打ちをかける(むご)い王命だった。


  ▼ 王命 ▼


--多くの者が尊い命を捧げた。

  この王国再建の未来は

  爵位復興が大事となる。

  失った婚約者の代わりとなる者を

  一刻も早く探し出し

  婚約者のいる者は

  即時婚姻を履行せよ――



 私とファーマは取り急ぎ神殿に婚儀の誓約書を届けた。


(多くの戦没者の弔いの場で婚儀の誓約書を出すなんて・・・なんて皮肉なの・・・)


 私は手放しで喜べない複雑な心境で神殿から出てきた。


 すると王立植物園で見かけた、あの美しい女性を見かけたのだ。

 彼女はある墓の前で慟哭していた。私はその姿に胸が締め付けられ苦しくなった。


(あんなに嬉しそうに笑っていた少女が!

 可憐な笑顔の少女だった人が号泣している・・・

 この戦争はなんて無益で無情なの!大切な命が幾つ奪われたと・・・)


 張り裂けそうな胸の痛みで涙を流す私の肩をファーマが優しく包んでくれた。ファーマもやるせない気持ちが溢れている。


「グロリエ、もう終わったのだ。

二度とこんな事は起こさせない・・・」


 私は止まらない涙を流しながらファーマの目を見る。

「お父さまもヴィクトル公爵様も亡くなった。若くしてお兄様も亡くなったわ。ファーマ・・・私・・・貴方が次代のヴィクトル公爵家を継ぐ手助けを頑張るから・・・私、頑張るから・・・もう戦争は嫌」


「ああ、分かっているさ。私も大きな力がごっそりと抜けた、この王国とヴィクトル公爵家のどちらも必ず再建させてみせる!だからグロリエ、私を助け・・・力になってくれ」

 

 私は泣きながらも気持ちを立て直して軽口を叩く


「ふふ、ファーマ・・・あなた・・・やっと口説くのが上手くなったわね。

 私は出来うる限りのすべてで・・・

 貴方を助け・・・力になるから・・・」



 私の実家、ケルサス公爵家は無事に生きて帰った弟が跡を継いだ。

 

 そしてファーマはヴィクトル公爵家当主と、この王国の宰相という立場になった。


 国王と学友の立場で混乱した王国ではニコリとも笑わない睨みの効いた見た目にも公爵家の立場的にもファーマは最適任だったのだ。

 ファーマは無用な戦争を起こさせないと・・・上に立つ者の責任を常に考え行動していた。

 

 私も社交界で夫ファーマのために頂点に上り詰めた。傍にはあの昔、怪我人だった侯爵夫人となったサラがいた。



 この王国は多くの者の犠牲の上に無事再建を果たした。



 私はあまりに長くなった話をここで終えて遠くを見ていた目線をアウラに戻した。


「アウラ、どう?ファーマも大概でしょう。

ふふ、だからラティオーがアウラに一目で惹かれた事も血筋だというのですよ」


 アウラは壮絶な戦争復興を遂げる一助となった父母に尊敬の念を送った。


「お母さま、貴重なお話をありがとうございます。

 沢山・・・

 考えさせられる事が多かったです・・・

 ・・・

 私のこれからの指針となりましょう」

 アウラは目元を濡らしていた。


 そんなアウラに向けてニコッと笑う。

 しかし私はアウラに全て話した訳ではなかった。


(アウラ、続きはまた今度ね・・・)

 

 私は渇いた喉を潤し目線を落とした紅茶のセピアの色に昔話の続きを思い出すことが止められなかった。



 それから私は長女テラを産み翌年にはラティオーが生まれた。


 

 そして10年の月日が流れたある日だった。

 私達ヴィクトル公爵一家は昔、初めてファーマと外出した思い出の王立植物園に遊びに来ていた。


「ラティオー!はしゃぐな!ほら、手を繋いで」


 ラティオーは普段は忙しい大好きな父がいて家族で遊びに来られた喜びに感情が抑えられないでいた。

 大はしゃぎで駆け回り大人たちの手に負えなくなっている。

 侍従やメイド達も懸命に跡を追うが、すばしっこさは両親譲りで全く以て追いつけない。


 案の定、目を離した隙にお約束の迷子になった。


「ラティオー!どこにいるの?」

「ラティオー様!」

「ラティオー!どこだ!」


 みんなの顔には焦りの色が浮かんでいる。なにせ王国きっての美少年は誘拐にでもあったら大変だ!



 その時。

 美しい親子がヴィクトル公爵家に声をかけてくれた。


(あっ、貴女は・・・)

 私は咄嗟に記憶の中にいた女性だと分かった。


(昔、この王立植物園では笑顔に見惚れ・・・その後、戦後の神殿墓地で慟哭していた貴女・・・)



 その女性似の小さな女の子が話す。


「あのね、向こうのピンクの薔薇の花壇のところに皆さんと同じ匂いのする子がいるみたいです」


「え?」

 慌てて侍従が薔薇の花壇を覗くと棘が服に絡まり抜けられないでいるラティオーを見つけた。


「いました!ラティオー様です!」


 私は急いでお礼を言った。

「あ、あのう、ありがとうございます。お嬢様もありがとう」

(何故?ラティオーがあそこにいる事が分かったのかしら?)


 ファーマも

「小さなレディーありがとう」

と大きな身体を屈めてお礼を言った。


 親子はニッコリと笑って会釈し踵を返した。母親になった彼女は娘の頭を優しく撫でて褒め称えた。

「良い子ね、良くやったわ。アウラ」



 それは私が覚えている彼女の最後の姿だった。



 あれからまさかアウラが私達の娘になるなんて・・・



 ペルナ・アルブス伯爵夫人・・・

 

 今・・・

 アウラはかつての貴方のように・・・

 幸せそうに・・・


 可憐に笑うのですよ




挿絵(By みてみん)




最後まで読んでいただきありがとうございました。

大好きなグロリエとファーマの出会いからを

連載中から書きたかったので今回は夢が叶いました。

とても嬉しいです。

明日が本当の最後で外伝2話です。

18時に投稿しますので何卒よろしくお願いします。


楽しく読んでいただけるように頑張ります。


よろしければブックマークの登録と高評価をお願いしますm(__)m。


そしてこれからの励みになりますので

面白ければ★★★★★をつまらなければ★☆☆☆☆を押して

いただければ幸いです。

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