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◆ アンナとミーナ


 ミーナは焦っていた。アルブス伯爵家ではアウラ様の世話をしながら屋敷の仕事をしていた。余った時間に必死にマナーや教養を習っていた。

 ゆくゆくはアウラ様の嫁ぎ先でもお世話をする事を夢みていたからだ。

 しかしこの公爵家に来てから自分がいかに小さな世界で過ごしていたのかと思い知った。


 元気が取り柄のはずなのに次第に出来ない自分に落ち込んでいった。


「ミーナ、その片付けの後に一緒に休憩に入らない?」

 今はアウラ様の世話を一緒に任されているアンナさんから声がかかった。


「アンナさん、私・・・もう少し仕事をしてからアウラ様の元に行きます」

 私の焦りが手に取るように分かるようで

「ミーナ、焦らないで。貴方は良くやっているわ。一緒に組むようになって私は貴方の努力する姿にいつも感心させられているわ」


「・・・でも、私はアンナさんの半分も仕事をこなす事が出来ていません。頑張っても中々追いつけないのです。自分が情けないです」

 ミーナは思わず弱音が口をついた。


 アンナは優しくミーナの頭を撫でた。

「ミーナはまだ18歳でしょ。私は28歳よ。十も上なの。10年かけて培ったものをそんなに容易く抜かれるのは癪だわ。ミーナなんでも教えるから、今のままのミーナでいて」


「アンナさん・・・ありがとうございます。沢山教えてください。私はアウラ様のように頭が良くないので何度も聞くかもしれませんが一生懸命頑張ります」


 若く気持のこもった熱量が気持ち良いとアンナは思った。 

 素直に主人に尽くそうとするミーナに全てを教えていこうとアンナは誓う。


 チリリリン♪


 アウラの部屋から呼び出しのベルが鳴った。

 二人は一瞬目を合わせコクリと頷き合いアウラの部屋に向かった。


「アンナ、ミーナごめんなさいね。休憩に入るところだったわよね。明日の早々にノワール男爵令嬢がお見えになるの。用意を頼めるかしら?」


 二人は揃って頭を下げ命に従う合図を送る。そしてミーナが話す。

「それではアウラ様のお気に入りアンズジャムを使ったお茶を用意して杏を効かせたアップルパイは外せませんね」

 アウラは絶妙な提案をしたミーナに優しい笑みを浮かべた。

 その他のお菓子や部屋に飾る花の相談まで済ますとアンナとミーナはアウラの部屋を後にした。


 数歩、歩いた後にアンナが徐にミーナに話しかけた。


「ねえ、ミーナ、さっきの話だけど・・・私もミーナからアウラ様の事をもっと教えてほしいわ。私だけが貴方に教えるものだとばかり思ったけどアウラ様については貴方の方が数倍優れているわ」


 そう言って優しく微笑んでくれた。


 ミーナはアウラ様の事なら確かにアンナより知っている。

 それだけは譲れない!

 ミーナは最初の頃に思ったアンナは完全無欠のライバルではなくアウラ様を一緒に守っていく味方だと心から嬉しく思うのだった。







最後まで読んでいただきありがとうございました。

とても嬉しいです。

明日も短い2話投稿となります。

18時と19時投稿です。

よろしくお願いします。

楽しく読んでいただけるように頑張ります。


よろしければブックマークの登録と高評価をお願いしますm(__)m。


そしてこれからの励みになりますので

面白ければ★★★★★をつまらなければ★☆☆☆☆を押して

いただければ幸いです。

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