7
興味を持ってくださりありがとうございます。
この小説は、チョコミント青梗菜・ザベスのソロアルバム「宇宙ビィーム」と連動した作品となっております。
「宇宙ビィーム」を聴いていただけるとより楽しめる作品になっておりますので、是非お聴きください。(詳細はあとがきにて)
「紫が好きなの?」
「たぶん。」
私は檻の中のライオンだった。
”記憶喪失の転校生”という物珍しさに、みんな興味津々だった。
遠めから見てコソコソ話をする子、好奇心に任せて話しかけてくれる子、興味のないフリをしつつも会話をこっそりと聞く子、いろんな子がいた。
自分の身の回り物は、紫色のものが多い。
きっと紫が好きなんだろうな、と、自分のことなのに他人のことのような、自分が自分じゃないみたいな、気がつけば溶けていきそうな感覚があった。
何か大切なことを忘れている気がしていた。ずっと。
でも、それはどうでもよかった。
一度死ぬかもしれない経験をした私は、やりたいことが増えた。
私が明るく気さくに接していると、友達も少しずつ出来ていった。
記憶がなくなる前に私が使っていたもののほとんどは、ひとつの箱にしまった。
ゼロから自分を作っていく方が早い、と前向きに考えたのだ。
それでも過去の自分のかけらが残っているのか、ずっとお団子ヘアーが好きだった気がして、今もよくするし、空を見上げることが好きだった。
歩きタバコや列に横入りするおばさんが許せないし、人混みは苦手なので、床のタイルを数えながら歩いて、出来るだけ周りを遮断するのが常だった。
晴れより雨が好き、夜より朝が好き、そういう感覚的なものは私の中に残っていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回の投稿は12/11(土)です。
ザベスのソロアルバム「宇宙ビィーム」に関する情報はこちらからご覧いただけます。
https://choco-bok.jkjm.jp/zabeth/