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興味を持ってくださりありがとうございます。
この小説は、チョコミント青梗菜・ザベスのソロアルバム「宇宙ビィーム」と連動した作品となっております。
「宇宙ビィーム」も聴いていただけるとより楽しめる作品になっておりますので、是非お聴きください。
――ジ・・・ジジジ・・・―――
ラジオノイズが耳に広がる。
壊れかけた古い天井を見つめながら、ラジオノイズに耳を澄ます。
私はこの時間が好きだ。
なぜなら、独りになれるから。
隣の家の水が流れる音、廊下を走る子供の足音、聞き飽きたセミの鳴き声、お父さんとお母さんの怒鳴り合う声。
そういうものがプツンと途切れて、ラジオの「ジジジ」という音だけが聞こえる。
その時、世界に誰もいなくなる。私だけしかいなくなる。
その時間が心地よくて、私は好きだった。
でも、今日は少し違った。
「ジジジ」というノイズの間に、何か謎めいた声を聞いた。
人の声ではない。
聞いたことのないような、何か生き物の声だった。
独りだと思っていた空間に、誰かが入り込んできた。
それに気づいた時、私はなぜかワクワクした。
もっと聞きたくて、カセットラジオを天井の近くまで持ち上げてみた。
けど、この日はもうその声を聞けることはなかった。
その日から私は、声を求めてラジオノイズをずっと聞いていた。
私の求めるその声が聞こえる日もあれば、聞こえない日もあった。
晴れの日よりも、雨の日の方がよく聞こえたし、夜よりも朝の方がよく聞こえるような気がした。
その声の主は晴れよりも雨が好きで、夜よりも朝が好きなんだな、と独りで笑った。
私はなんとなく、その声が宇宙人の声であることに薄々気づいていた。
きっとそうに違いなかった。
私はその日から、独りじゃなくなった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回の投稿は10/30(土)です。
ザベスのソロアルバム「宇宙ビィーム」に関する情報はこちらからご覧いただけます。
https://choco-bok.jkjm.jp/zabeth/