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フユシオン28

 その日の打ち合わせを終えると私たちは新宿に戻った。そして駅前でジュンくんは京極さんと合流した。どうやらこれから練習があるらしい。

「んじゃ。陽子さん頑張ってね」

 別れ際、京極さんはだるそうに言うと大あくびした。相変わらずお行儀が悪い娘だ。

「うん。あなたたちもね」

 二人を見送る。新宿の街に消えていく彼らの姿はまるでカップルのように見える。

「さてと……」

 私は独り言のように呟くと本社に戻った――。


「おかえりなさい」

 私がクリエイター発掘部に戻ると西浦さんが立って出迎えてくれた。彼女の机の上にはパソコンと書類の山。今日もやることが盛りだくさんのようだ。

「戻りました。遅くなってすみません」

「いいのよ! 冬木さんどうだった? ジュンくんとは上手くやれそう?」

 彼女は矢継ぎ早に訊きながら部屋の片隅にあるコーヒーメーカーに手を伸ばした。そして二杯コーヒーをいれると一つ私に差し出した。香ばしい匂いが部屋中に広がる。

「ありがとうございます」

 私はそう言って彼女の手からコップを受け取る。

「えーとですね。とりあえずは……。悪くなかったと思います。ジュンくんも割と乗り気でしたし、冬木さんも前回よりリラックスしてました」

「そう、なら良かったわ。ちょっとだけ心配してたのよ。冬木さんもお兄さん亡くしてまだ間もないから……」

 西浦さんはそんな風に語尾を濁しながら言うとコーヒーに息を吹きかけて一口飲んだ。

「あの西浦さん?」

「なぁに?」

「川村本子さんとはどういったご関係なんですか?」

 私はそんな今更な質問を彼女に尋ねた。この部署に異動になってそれなりに時間も経ったのだ。そろそろ秘密主義を少し緩めてくれてもいいと思う。

「うーんとね」

 西浦さんは少し困ったように首を傾げた。そして続ける。

「話すと長くなるわ。昔私が面倒見てたバンドのヴォーカルの子のお友達のお母さんが本子さんなの」

 西浦さんはそこまで話すと「言葉にすると随分と遠い関係よね」と苦笑した。

「それでね――」

 西浦さんがそう言いかけた瞬間。クリエイター発掘部のドアがノックされた。


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