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小悪魔男子にご用心!  作者: スイッチ&ボーイ
第三章【仲直りと祭りと怪盗と】
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王都に到着!

早めに書き上がりました。この調子を保ちたいもんです。



レヴィの意外な過去、そして性格が曲がってしまった理由を知ってから一週間が経った。



その間、レヴィとライラット達の関係にはある変化があった。

体を重ねるという行為は変わらずだが、ライラットがレヴィを気遣う仕草を見せ始めたのだ。

理由は言わずもがな、レヴィの過去の境遇を聞いて以降である。

最初は「今さらそんな態度すんなよ」とレヴィは嫌がってたが何度言ってもライラットは「自己満足でも良い、私がそうしたいんだ」と折れなかったのでレヴィの方が根負けしたのだ。


戦闘ではさりげなく盾役を努めたり、それまで積極的には来なかった夜の営みもまぁまぁの頻度で自分から言ってきたりもした。

むず痒い思いはしたが、それに関してはレヴィはもう諦めがついていた。

実際、悪い気はしない。



また変化はもうひとつあった。それも大きな。



「レ、レヴィ、その、宜しいかしら? 今日は少し気分が良いからっ……と、特別にわたくしが性欲を解消してあげますわっ」



あのシラギクが自分から夜の相手を申し出たのだ。と言っても本番まではまだ許してないし、する時は必ず二人きりとされたがこれだけでも仰天ものだろう。

それまではレヴィの女ったらしな性格は従来のものだと思ってたが、回想に出てきた泰山仙人とやらがその元凶と知ったので抵抗感が幾らか薄れたらしい。


同情も多分にあるだろうが、シラギクもまた頑固なところがあったので変に断る理由も無かったのでレヴィはそれを受け入れたのだった。

そうしている間に、レヴィの方でも心境の変化があったかライラット達に対する態度に若干の変化があり、殊更に愛人呼ばわりする機会が減ったのだ。

それに体を重ねる時も、一方的に欲をぶつけるような事が減って相手を労う様な行為に変わり始めた。



また初対面の相手に猫を被る様な真似をする事も無くなった。

本人曰く「演技すんのも窮屈になってきたし良い機会だから止める」との事だが、ライラット達の事を少なからず意識してくれてるとも取れたのでそれは素直に嬉しく思った。



……最も、素のままでも興味ある人間は寄ってきてしまう点はあったが(そこは本人も興味なければスルーしてくれるぐらいは自主的にやってくれた)



女性陣でもシラギクはエストーラを毛嫌いする態度が改まり、お互いに良好な間柄を結べるぐらいにはなった。

ただ、エストーラは日常会話でなかなかストレートな性的発言を良く言うのでそこだとシラギクとよく揉めてるが。



何はともあれ、四人の関係は良い方向にへと向かっていった。

そして、いよいよ王の誕生祭で賑わう王都にへと一行は到着したのだった。




△ △ △ △ △




ブルヘンド王国の首都とも言えるだろう、王都リバ。



王のお膝元でもあるので当然ながら街の規模は地方都市とは桁違い、住んでる住人も多いが今日はそれに輪を掛けた群衆が大通りを道狭しと埋めている。


言わずもがな、皆が王の誕生祭を祝う為にここへ詰めかけているのだ。

中にはめでたい誕生祭という口実で賑わう人々相手に商売する為だけに来てる輩もいるが、まあ全国民が等しく純粋に祝ってくれる事なんて無いであろうし、そう目くじらを立てる事もないだろう。



「やっと着いたか、王都に」

「流石に凄い賑わいですわ。それだけこの国の王が慕われてる証なのでしょうか」

「そうとも限らないよ。確かに悪政なんかは敷いてないけど、さりとて全うな善政を敷いてるとも言えない……有り体に言えば、どっちつかずの中途半端みたいなものだからね。ただ、めでたい日だから取り敢えず来たって連中も多いだろうね」


ライラットとシラギクは大勢の人が行き交い、街のあちこちが飾り付けられて出店も多く出ている賑わいを見て正に祭りの真っ最中というのを感じさせられた。

物珍しげにあちこちをきょろきょろしていたら、レヴィが苦笑混じりに言ってきた。


「あんま、あちこち見回すなよ。田舎から出てきたお上りさんって印象になるからよ」

「うっ、し、仕方ないだろう。王都自体、滅多に来た事が無いんだから」

「わ、わたくしは祭りという場に出た事がありませんから、珍しがるのも仕方ありませんわっ」


そういうのが田舎者といわれる事になるのだが二人とも自分から墓穴を掘る様な事を言った事に気付いてない。


「レヴィはあまり感心してはなさそうだね?」

「そりゃー、この国より発展してるとこにも行った事があるしな。ぶっちゃけ、何でも無い日でも祭り騒ぎしてる今より賑わってるとこだってあったぜ」

「そ、そうなのか……」


伊達に国々を巡ってきた訳ではなく、その言葉には真実味があった。

地方の街で燻ってた自分とは見てきた物が違うというのを知らされる。

その内に自分もそんな経験を積める日が来るだろうか。



(いや、そういえば誕生祭が終わった後にどうするのか聞いてなかったな。まだ王国に滞在するんだろうか、それとも……)



もし、別の国へ行く……という選択肢になった場合、自分は着いていくべきかと悩んだ。

ブルヘンド国内だったらどこに行こうとも別に構わないと思ってたが、他国を巡り回ってきた気質から考えたらいつまでもこの国に居座るとも思えない。

エストーラはまあ普通に着いていくかもだし、シラギクはレヴィと同じ様に様々な国を巡ってきた訳だから戸惑いは無さそうだが、自分はこの国から出た事など皆無である。なので国から出るという事に躊躇いを覚えた。



(けど、まあ……たった一人で出ていく訳では無いしな)



同行を決めた時は二人だけであったが、今ではそれにまた二人が加わって四人となっている。

最初はギスギスもしてた関係も最近では良くなってきたし、この面子で他国を旅するのも悪くないと思った。

見識を広めて、より充実した人生を送る転機にもなるだろうとライラットは前向きに考えて取り敢えず今は誕生祭の活気を肌で味わう事にした。




……それからは出店で買い食いをしつつ、適当に王都を歩く一行だったがシラギクはそわそわと落ち着き無い様子であった。


「どうかしたのか、シラギク?」

「あ、いえ……先程から道行く人の視線がどうにも気になってしまって。やはり、ケンタウルスという種族は悪目立ちしやすいですわね」


周りを行き交う群衆は人族だけでなく、猫耳を生やしたキャットピープルや犬の頭に人の体というコボルトといった亜人もそれなりにいるが、その中でもケンタウルスであるシラギクの存在感は大きい。

滅多に人里には来ない種族故にだが、その他にも理由はある。


「確かに大柄だから目立つのは仕方ないけど、一番の理由はそれじゃないかな?」

「それとは何の事ですの?」

「そのでっけー胸に決まってんだろ。そんなのぶらさげてりゃ、同じ女でも目を向けるだろーしな」


レヴィの揶揄にシラギクは真っ赤になって咄嗟に胸を隠す様な動きをする。実際、男の下卑た視線以外にも女性の嫉妬めいたものが混ざってる。

大体はチラ見した後に自分の平均的、あるいは慎ましい胸と見比べて敗北感に堕ちていた。


「す、好きでこんな大きくした訳ではありませんわっ! 減らせる術があるなら、寧ろ減らしたいぐらいですもの。ケンタウルスは機動力が命なのですから、こんなもの重荷や邪魔でしかありませんわ」



その瞬間、周囲の一般人女性陣の目が鋭くなり殺気立った。



「そんな立派に育ってる癖に邪魔だの重荷だのって自慢かこのやろう」的な事を思ってるのかもしれない。

実際、貧しい胸をコンプレックスに思ってる女性からしてみればシラギクの発言は言うなら「金が有り余り過ぎて困っちゃうわー」と貧乏人の前で宣う金持ちの様にいけすかない事なのだろう。


「大体、注目という意味でしたら貴女も同じ様なものでしょう。そんな風に前を開け広げてらっしゃるのですから」


シラギクの指摘通り、確かにジャケットの前を開けて黒ビキニのブラと豊満な谷間を大胆に晒してるエストーラにも周りの視線は当たっていた。

であるが本人は余裕綽々な体である。


「ふふ、今の私は別に他人の視線なんて蚊程にも気にしないからね。レヴィが見てくれた時だけドキドキしちゃうのさ♡」


と言って、レヴィの方を見ながら悩ましげな仕草で胸を寄せ上げて扇情的な演出をやった。

案の定、男からの視線が更に集まり、プロポーションに恵まれてない女性からは親の敵を見るかのように睨まれてるが本人は何処吹く風である。


「エストーラ、あまり煽る様な真似は控えた方がいい。余計なトラブルを背負いたくないだろう」


こんな欲情を焚き付ける様な真似をしたら間違いなく、ろくでもない輩が目を付けるだろう……そう思ってたところで端と気が付く。



(待てよ……今更だがこの中で私は一番に女性らしくないんじゃないか?)



エストーラは間違いなくスタイルに恵まれた美人、シラギクは下半身は馬体だが上はエストーラ以上に育った胸部に冷然とした美女である。


それに引き換え、自分は見るからに荒事に慣れた女戦士という風体。

胸はそこそこにあるが、肌はそんな小まめに手入れしてないし手足だって太いし身長も高めでお世辞にも男受けする見た目でない。

ぶっちゃけ、顔立ちでも男であるレヴィに負けてる程だ。


改めて、二人と見比べた場合、自分の女らしくないムサッ気具合を認識させられる事に思い至ったのだった。



(……これからは美容にも気を遣うべきかな)



秘かにライラットは女性らしさを磨いていこうという決意を抱いたのだった。






小説あるある。


主人公の仲間になる女性メンバーは大抵スタイルの良い人物が多い件。


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