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53 長文読解

 

『この世界の真実を教えよう』


『私は三人の女神によって召喚され、初代国王となった者だ。ヒジリオよ、よくぞこのノートを見つけてくれた。私は君を救うために、女神に隠れてこのノートを残す。部屋の外へは持ち出さないようにして、最後まで読んでほしい』


『まず、対立関係を明確にしておこう』


『魔王は間違いなく敵だ。この世界を手中に収めることを狙っている』


『三人の女神は魔王と敵対している。ただし彼女たちは直接戦う力を持たないため、聖女を選定し、勇者を召喚し代理とする』


『魔王には魔族が付き従っている。意思疎通が出来るものもいる。正確な定義では、魔族が使役するペットのような生き物が、魔物と呼称されるべきものである。魔王は魔族をひとつの民族としてまとめ上げた存在である。なかば神格化されているが、これといって直接的な効果を与える存在ではない。魔王の復活が近付くと魔物が活性化するのは、人間でいうところの“士気が上がる”という状態に過ぎない』


『女神は人間が信仰している。あまり宗教らしさは感じられないと思うが、それはイベントや戒律のたぐいがないからだろう。神殿もキャシュレード神殿ひとつのみだ。女神は人間に加護を与えているが、それは微々たるものである。正直なところ、女神などいなくても問題はない』


『おそらく、二百年後に魔王の封印は解けるだろう。聖女の力は魔王を封じ、魔族を山の向こうへ押し込んだが、そう長くもつものではない』


『そうなる前に、女神は再び魔王を封じるべく、勇者を召喚させ、聖女を選定するだろう。勇者は聖女を守り、聖女は身命を賭して魔王を封じる。そして、ひとつの命を犠牲に、二百年の平和を得るわけだ』


『これは無限にループする。私はそれを断ち切るため、君が呼ばれるように細工をした』


『巻き込んでしまって申し訳ないと思う。本当に。どこかで絶対にお詫びをするから、生きて戻ってきてほしい』


『この悪循環を断ち切れるのは、君、つまりヒジリオだけだ』


『少し複雑だがよく読んでほしい』


『人間は魔王を殺したいと思っている。同様に、魔族も女神を殺したいと思っている。それらがいなくなりさえすれば、全員が幸せになれると信じている。魔王が女神を目の敵にし、女神が魔王を嫌っているのと同じことだ』


『ただし、魔王を殺す方法を人間は持たない。同様に、女神を殺す方法を魔族は持たない。お互い、封じるほかないと思っている』


『魔王は女神を殺せる。直接、殴ったり蹴ったりして。同様に、女神は魔王を殺せる。こちらは代理人を通じて、だが』


『つまり』




『魔王と女神が相討ちになるように調整してやれば、すべてが丸く収まるというわけだ』




『……君はもう少し平和的な解決を望むかもしれない』


『出来るかどうかは未知数だが、一応、平和的な解決策があることはある』


『千年に及ぶ大喧嘩を収める手腕があるならば、と言う話だが……つまり、女神と魔王を和解させ、共存させるという道がないわけではないのだが、具体的にどうやるかは知らん。それを目指すなら自分で考えろ』


『どちらにせよ、勝利のための必須条件がある』



『それは、神官どもを落とすことだ。君が持つ“パッシブスキル”で』



『もう少し詳しく書きたいが、すまない。時間が無い』


『私は君のことを信じている。君は必ず、最善を尽くして、生きて戻ってくる。それは確定している未来だ』


『健闘を祈る』

 





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