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21 ひよこの雄雌を見分けるのはけっこう大変って言うよな。知らんけど。

エセ関西弁は真面目にエセ・オブ・エセなので絶対に真面目に読まないでくださいと一応申し述べておきます。「関西方面の方言のごった煮+偏見」でお送りしますのでよろしくお願いいたします。










 

 ピット、と名乗った少年は、俺たちのあとをずーっと付いてきた。


「そんでなぁ、そん時おっちゃんが言ったんや。“ほんならその最強や言う槍で、最強や言う鎧を突いてみぃ”って。したら商人、どないした思う?」


 しかもずーっとしゃべくりながら。


「言われた商人はすかさず、“ほなおっちゃんがこの鎧着てくれや。そしたら俺が思いっ切り突いたるさかい、無事に鎧が槍を弾いたら、おっちゃんこの鎧買うてくれよなぁ”って! 言われたおっちゃんは黙ってもーて、そっから生まれた言葉が口先でうまい具合に相手を封じ込めることを指す、“やりこめる”なんやて」

「へぇ、そうなんだ」

「おう、嘘やで」

「嘘っ?!」

「真っ赤なウ・ソ。あっはっは! このとーり、“やりこめる”のが得意なんや、リューミンストの人間は。あんちゃん騙されやすそうやから、気ぃ付けや。勢いに押されたら負けやで」

「うん……気を付けるよ……」


 すでにだいぶ勢いに押されてここまで来ている俺は力なく頷いた。この世界のチビたちはみんな口が達者なのが仕様なんだろうか……。


「ねーぇ、ピットちゃん?」


 ふいに、ベスターが俺とピットの間に首を挟んできた。


「なに? しゃべりのコツでも聞きたいん? ええで、いっくらでも喋れるさかい、耳の穴かっぽじってよーく聞いてくれな。まずなぁ――」

「アナタいったい何を企んでるのかしら」


 瞬間、ピットは黙って足を止めた。

 ベスターのピンクの頭が視線を遮っていて、俺から二人の顔は見えない。けど、雰囲気が怖い。冷たい。空気がピリピリしてる。問題児を叱ってる先生がいる教室の隅っこで息を潜めている時の気分だ。


「気が付かなかったけれど、アナタ今魔法使ってるわね? 道が違うわ」

「魔法? ボクが? 考えすぎとちゃう? あんちゃんらがボクのしゃべりに夢中になって道間違えただけやろ、それが魔法やってんならそうかもなぁ、ボクのしゃべりってば魔法みたいに華やかでカッコええし、」

「えいっ」


 突然ベスターがナイフを抜いて、ピットを斬りつけた。


「ちょっ、ベスター?!」


 突然の暴挙!

 しかしベスターは舌を打って後退した。


「チッ、やっぱりそうよね!」

「いややなぁ、あんちゃん。乱暴な男は嫌われるでぇ」

「うぇっ?!」


 ピットのおちゃらけた声が真後ろから聞こえた。

 思わず振り返ると、目の前でピットの体が二分割された。


「ハンクス!」


 だが、


「ちっ……これもか」

「ひっどぉ、もうちょい優しくしてくれはってもええんちゃう?」


 切り裂かれたピットはそのままの状態でへらへらと喋った。

 ここまできてようやく、俺の理解も追い付いた――


「幻覚?!」


 ふと気が付くとあたりは霧に覆われている。待ってこれけっこうヤバいやつなんじゃね?!


「「セイリュウちゃん、こっちよ!」」

「あ、うん……――んん?!」


 ベスターの呼びかけに応じようとして、ふと立ち止まった。


「ちょっと、何よコレ!」

「ああもう、趣味悪いわね!」

「ベスターが……二人……?」


 霧の中でもよく目立つショッキングピンクが、右と左に二つあった。


「惑わされるな、セイリュウ!」

「セイリュウ、こっちが安全だ!」


 振り返ると、こちらにもハンクスが二人――

 鮮やかな金髪は霧の中で睨み合って、剣先をお互いに向けた。


「ちょっと待ってマジかよ……」


 なるほど幻覚系のイベントってこういうところが厄介なんだなぁ、コレどうすればいいのかな……。

 ベスターは勝手にぎゃーぎゃー口論している。まぁベスターなら自力でどうにするだろう、たぶん。少なくとも、今目の前にいるハンクスたちみたいに、殺し合いで片を付けよう! ってことにはならない。


 問題はこっちの血の気が多いゴリラどもだ!


「少し待ってろ、セイリュウ」

「幻覚ごときに負けはしない」

「勝った方が本物だ」

「一瞬で片を付けてやる」

「いやいやいやいや、待てってハンクス。お前精神異常に弱いんだから、幻覚の中で戦ったら自滅するって絶対」

「「そんなことはない!」」

「あー、分かった。じゃあ――」


 俺は少しだけ考えた。問題はこの幻覚が、誰目線のもので、どこにソースを持っているかっていうところなんだけど……まぁ殺し合うよりマシだろ。とにかくやってみるか。


「――本物なら、俺の言うことに従ってくれるよな?」

「……ああ、まぁ」

「……内容によるけどな」

「オーケー。じゃあ、いくつかの質問に答えてくれ。剣はそのままでいいから、質問には必ず即答するように」

「「わかった、いいだろう」」


 二人のハンクスは素直に頷いた。

 よろしい。俺はニヤリと笑って、最初の問いを出した。


「第一問!」


 デーデン!


「ぶっちゃけ悪魔に誘惑された時気持ちよかっただろ!」

「そんなわけないだろ?!」

「あ……う……」

「よっし、右! 赤面してる方が本物だ! 即答した方をぶった切れ!」


 赤面した方は一瞬だけ俺を睨みつけて、「セイリュウお前後で覚えとけよ!」と言うが早いかもう一方の方を斬り捨てた。




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