11 なんと、オカマが起き上がった……!
ハンクスは顔に付いた血を乱暴に拭いながら、こちらに戻ってきた。
「さて――」
おや? ものすごく不機嫌そうだぞ?
と思った俺の目の前に立ったハンクスは、次の瞬間拳を振り落とした。
「っ!!」
頭をぶん殴られた。火花が散った。
「おあ……いった……あう……」
「何を馬鹿なことをしていたんだお前は。お前が死んだら世界が滅びるかもしれないというのに、どうして逃げなかった? 馬鹿か? 馬鹿なのか? 馬鹿なんだな?」
「いや……だって……」
「だってもクソもあるか。役割をしっかりと理解しろ。お前の場合は生き延びることが最優先だ。次ああいう場面になったらとにかく逃げろ。何も考えずに逃げろ。いいな」
「……」
「もう一発必要か?」
「大丈夫ですわっかりましたぁ!」
俺は慌てて頭を下げた。さっきの殺人的な拳骨をもう一回なんて絶対に無理だ……さすが副隊長……副と付くやつはたいてい鬼だ……。
ハンクスは溜め息をついて、俺に手を差し伸べた。その手を借りて立ち上がり、ハンクスの先導で来た道を戻る。
「だが、まぁ、怪我を治してくれたのはお前の力だろう? それは助かった。ありがとう」
「俺の力だった? マジで?」
「わからないのか?」
「わっかんないっす」
「マジか……」
「アラ、アタシ“聖女の涙はあらゆる怪我を癒す”っておとぎ話、聞いたことあるわよ?」
「へぇ、そんなおとぎ話があるんだ」
「あまり有名じゃないけどねぇ。ヒジリオ様だって同じなんじゃない?」
「その可能性は高いな――」
ハンクスが急に立ち止まって、振り返った。
「オイ、盗賊。なぜお前が付いてくるんだ?」
「えっ?」
ハンクスが指さした方を向く。
と、そこでは高身長でショッキングピンクの髪のオカマ様がニッコリしていた。




