表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/30

シュリーゲン伯爵邸にて

「ミレーナ様、ご招待頂きありがとうございます」

「エリザベート様。こちらこそ、よくお越しくださいました」

婚約者であるジャックにエスコートされながら会場内に入り、まずはミレーナとお互いに形式ばった挨拶をする。そして次の瞬間、2人は目を合わせてにっこりと笑った。

「リジー!会いたかった」

「そんな何年も離れていたみたいな顔しないで。1週間会わなかっただけじゃない」

「1週間よ!私にとっては十分長いわ!」

ミレーナは夜会の準備のため、最近は屋敷に籠りきりだったのだ。そのおかげもあってか素晴らしい会場が出来上がっていて、エリザベートは心の中でミレーナを誉め称えた。

主催者側であるミレーナは挨拶に回るのに忙しいみたいで。また後で、と声をかけて、エリザベートはミレーナのもとを離れたのだった。


シュリーゲン伯爵家の主催する夜会で、ミレーナの友人であるエリザベートのことを噂しようとする勇気ある者は居ないようで、いつもの夜会のよりかは幾分か居心地がよかった。ジャックも気を使ってか、珍しく初めの数十分ほどはエスコートをしてくれたし、1曲だけだけれどダンスも踊ることができた。まあ、その後の彼はいつも通りの流れだったのだけれど。

ジャックが消えてしばらくしたタイミングでエリザベートは群衆から離れて壁際に向かう。シリルとの約束のためだ。前回と同じく黒髪を探そうとするけれどやっぱり見つけることができず。また庭にいるのかしら、と外へ出ようとしたその時、背後から待ち望んだ声が聞こえた。

「エリザベート」

「シリル様」

丁寧にカーテシーを行ってからエリザベートはシリルに向き合う。

「私、貴方を見つける才能がないのかもしれません」

「どうしてだ?」

「だって、こんなに目立つ髪なのに……」

そこまで言ってエリザベートは失態に気づく。前回髪の話をしてシリルが微妙な反応をしていたのを思い出したからだ。すみません、と言うとシリルは気にしていないといったふうに一度首を振った。

ふと、エリザベートは複数の視線に気づく。なんだろうと辿ると、自分たちが好奇の視線に晒されていることが分かってしまった。婚約者のいるエリザベートが他の男と2人きりで話しているのだ。周囲が興味を持つのも当たり前のことだ。

「しまったな」

「……みたいですわ」

「バラ園だ。時間差でな」

「分かりました」

そうして反対の方向に別れて、ほどなくして。ようやく2人はバラ園にて落ち合ったのだった。

まだまだ数日おき更新は続きます。


評価などいただけますと励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ