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04 ステータス

名称:アクツ アキラ

年齢:17歳

性別:男

職業:勇者

人種:人族(異世界人)

Lv:1

HP:331

MP:175

ATK(攻撃力):21

DEF(防御力):17

MAG(魔法力):11

AGI(素早さ):19

RES(抵抗力):39


《スキル》

鑑定:Lv1



「これがあんたの言うステータスか」


「そうです。これは異世界人の勇者様方と、神にしか見ることはできません」


 森を歩きながら、アキラは目の前に浮かんでいる半透明のパネルに目を通していた。

 これは彼自身の身体能力や精神力を可視化したものらしい。


「この世界の一般的な人族のステータスが、レベル1の時点だとちょうどあなたの半分ほどです。その数値も、勇者であるがためなんですよ」


「へぇ……じゃあこの鑑定っていうのは?」


「それは他者や物に対して使用することで、ステータスを確認できる能力です。もちろんこの世界の方々はステータスというものを認識していないので、数値の話をしてもチンプンカンプンでしょうけど」


 相手のHPやMPが一方的に見えるというのは、だいぶ有利な話だとアキラは認識した。

 魔法による攻撃があったとするならば、MPが見えていれば相手のガス欠(・・・)がすぐに分かる。

 

「なるほどな。じゃあ早速試してみるか」


 鑑定――。

 

 アキラはラトリアを指さし、そう口にする。

 するとアキラの眼前に、自分のものと同じ形式のパネルが現れた。


名称:ラトリア

年齢:▽〇歳

性別:女

職業:神

人種:×〇〇

Lv:〇▽

HP:0000000

MP:0000000

ATK(攻撃力):0000000

DEF(防御力):0000000

MAG(魔法力):0000000

AGI(素早さ):0000000

RES(抵抗力):0000000


《スキル》

該当なし


「おい、このスキル使えないぞ」


 文字化けしている部分を指して、アキラは言う。


「それはスキルのレベルが低いからですよ。仮にも私は女神ですし、Lv1じゃ到底暴けません」


「育てなければならないわけか」

 

 アキラ自身、いわゆるゲーム機でやるタイプのRPGはあまりやったことがない。

 故にこういったシステムを見て思うことと言えば、ややこしいの一言に限る。


「スキルレベルを上げる場合は、とにかく使うことが大切です! 使用回数が増えれば増えるほど経験値が入りますから、温存するだけ損かと」


「……じゃあ、あいつら(・・・・)に使ってみるか」


「え?」


 アキラか指さした方向には、三つの人影があった。

 いや、人影というにはあまりにも小柄。

 およそ1mほどの身長しかないその生物は、緑色の皮膚を持っており、子供と比べてもどこか歪な体格をしている。


「鑑定」


 そうアキラが口に出すと同時、再びパネルが目の前に現れる。


名称:ゴブリン

年齢:6歳

性別:男

職業:野生

人種:魔物

Lv:6

HP:103

MP:6

ATK(攻撃力):10

DEF(防御力):7

MAG(魔法力):3

AGI(素早さ):15

RES(抵抗力):2


《スキル》

繁殖:Lv2


「ゴブリンねぇ。ステータスだけ見たら俺の方が強く見えるが」


「だ、ダメですよ! 逃げましょう! ゴブリンの恐ろしいところはステータスなんかじゃなくて――」


「数と言いたいんだろ? それくらい分かる」


 ラトリアは驚きで目を見開く。

 魔物を倒すことを生業にしている者のことを、この世界では冒険者と呼ぶ。

 冒険者になりたての者のもっとも多い死因は、実はこの初心者用(・・・・)モンスターのゴブリンだ。

 単体で見れば、冒険者でなくても倒せてしまえるような雑魚である。

 しかし数が二体、三体と増えて行けば、あっという間に自由を奪われ手痛い反撃を受けるのだ。

 

「一体でHPが三桁。三体いるということは300は越えるだろう。あんたの言葉が正しければ、人族の平均的HPは俺の半分。150ってところか。二体を相手にするだけでも相当堪えるはずだ」


「理解が早いのは助かりますが! 今は逃げてください! 初戦闘がゴブリン三体じゃ分が悪すぎます!」


 真剣そのものの表情をしているラトリアを見て、アキラはため息を吐く。

 すでにゴブリンたちはアキラに気づいており、奇妙な鳴き声を上げながら近づいてきていた。

 アキラは学生鞄を地面に落とすと、スマートフォンを取り出す。


「分が悪い訳があるか。むしろ弱すぎる相手と戦闘したところで経験にすらならない」


 スマートフォンを操作したアキラは、音量をかなり大きめにして元々ダウンロードされていたアラームを鳴らす。

 そしてそれをゴブリンたちの目の前に投げた。


「ギィ?」


 目の前に落ちた見たこともないアイテムに、ゴブリンたちの足が止まる。

 そして絶えず鳴り続けるアラームに興味を惹かれ、ゆっくりとスマホに近づこうとした――その矢先。


「素直で助かる」


 三体のうちの一体が、突然宙を舞った。

 刹那、呆気に取られた二体のうちの一体の首元に、アキラの腕が回る。

 いわゆるチョークスリーパーと言う名の、首を絞めるための技。

 最初の一体の頭を蹴り上げた(・・・・・)後、アキラは流れるような動きでこの技に移行したのだ。


「ギィ! ギィ!」


「仲間が捕らえられたくらいで喚くな」


 いまだ自由な一体は仲間を救出するため襲い掛かろうとするのだが、そのたびに上手くアキラが体をずらすことで、捕まったゴブリンが盾となってしまい攻め込めない。

 その間にも、アキラは腕の力を強めていく。


「鑑定」


 そうつぶやいたアキラの目の前に、再びパネルが浮かび上がる。

 それはたった今首を絞めているゴブリンのものだ。

 

名称:ゴブリン

年齢:9歳

性別:男

職業:野生

人種:魔物

Lv:6

HP:67/103

MP:6

ATK(攻撃力):11

DEF(防御力):7

MAG(魔法力):3

AGI(素早さ):15

RES(抵抗力):3


《スキル》

繁殖:Lv2


(HPが減っている……安易に生命力というわけではなさそうだ)


 ここまで来て、突然アキラは捕まえていたゴブリンから腕を外す。

 そして背中を蹴りだすようにして、自由だった一体の方へと突き飛ばした。

 体をぶつけあった二体は勢いのままに姿勢を崩す。

 そこを逃さず、アキラは聖剣を突き出し二体同時に貫いた。


「が……ギィ」


「鑑定」


 口から血を流して痙攣する二体に対し、アキラは鑑定を使用する。

 するとそのステータスのHPの欄が0になっており、徐々に他の項目が消えていくことが分かった。



名称:死体ゴブリン

腐敗度:1/100



「なるほど、死んだら物となるわけか」


 アキラは足で遺体を地面に押し付けると、力任せに剣を抜く。

 その間、ラトリアは初めにアキラが蹴り飛ばしたゴブリンの下へと歩み寄った。


「ひっ!」


 ラトリアはそのゴブリンの頭を見て、悲鳴を上げる。

 顎から蹴り上げられてしまったのだろう。

 完膚なきまでに骨が砕かれており、もはや見るに堪えない。


「おい、女神」


「は、はい⁉ 何ですか⁉」


「何を動揺している? とりあえず実験は終了だ。次の個体を探すぞ。今度は何度斬ったら死ぬのかを確認しなければ」


 ——悪魔ですか?


 そんなラトリアの問いかけは、風によってざわめく木々の葉の音で儚くもかき消された。

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