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志村三丁目 マタギの獣肉鍋

 一度行ってみたいと思っていたのですが、なかなか勇気が出なくて入れなかった店に行ってきました。


 地元の常連しかいない店とか、細い路地の奥の小さな店とか、看板の出ていない店とか、かなり敷居の高い店でも平気ではいる面の皮の厚い私ですが、最大級の「入り難さ」を出す店でした。


 何せ、みせの前に剥がした熊の毛皮がぶら下がっている。

 さらに「他店に出せない味」「マタギの店」「クマに注意」とか、縦横に無数の看板。

 エヴァン〇リオンのタイトルみたいというか、グラップラー〇キのハウスみたいというか。電波すら感じる狂気じみた圧力のある店構えなのです。


 気にせず同僚を連れて入ります。

 同僚たちもひいていますが、懇親会の幹事を私に任せたのが悪い。


 店内はタヌキや上半身だけのイノシシが出迎えてくれるメルヘンワールドです。剥製ですが。

 店長の趣味なのか、いろんな動物の脚だけとかぶら下がってます。


 そう、ここはマタギ兼店長の「獣肉鍋」の店なのです。綺麗に言えばジビエ。

 山賊ダイアリーを読んでから興味があったのです。


 脚や剥製だけではなく、注文を聞きに来たお爺ちゃんな店長が銃を構えている写真なども壁に飾られています。その隣には写真に写っている銃の現物も。

 あれ、狩猟につかう銃ってガンラックに格納してないといけないのでは。

 たぶん、同じ形のモデルガンだろう、そうだそうだ。


 鹿の刺身や猪のから揚げ、鴨鍋などを注文。さすがに熊の毛皮の下でつぶらな瞳と視線を合わせて熊鍋を食べるのは、まだちょっと、難易度が高い。いくらなんでもサイコじみている。


 鹿は最高に日本酒にあうと思っておりますので、岩魚酒という物を注文。焼いた岩魚を丼に置き、鉄瓶でお燗した日本酒二合をドボドボとそそぐ豪快極まりない酒でした。風味は最高でした。


 鹿は癖もなく馬肉に近い味なので美味しいのですがインパクトには欠けます。人気があったのは猪。ぶっちゃけてしまえば豚肉なわけですから美味しいに決まってます。イベリコ豚などはまたちょっと別次元ですが、そんじょそこらのブランド豚よりもイノシシは美味しいと思います。

 ファンタジー世界でオークが狩りつくされたり、家畜化されていないのが不思議に思えますね。

 お肉はとても美味しいです。


 同僚たちはやけにお行儀よく飲み人と、ホッピーと焼酎で物凄い速さでデロンデロンになるものとに分かれました。

 店長、じーっとこっち見ているし、私語厳禁の様な緊張感が酒のペースを乱します。

 客は我々しかいないのに、どうぶつたちに囲まれている為か圧倒的なアウェー感。


 ダイオウクソクムシとかウーパールーパーなどの、ゲテモノ系の獣肉を食わせてくれる店にもいったことがありますが、あれは作りものめいていました。

 ここは、作りものとは違う生々しさとぶっきらぼうな職人の迫力がありました。


 私はなかなか気に入ったので「また来たいね」などと言ったのですが、同僚たちとはなぜか都合が合わなくなりまして……


 みなさん忙しいのですね。


旨かったですよ!

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