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TAKE TIME WORLD  作者: areafa krain
3/20

第3部

9編

もうダメだと思った。

全滅して今度こそ死ぬんだと目を閉じた。

その時だった。

体が不思議な光を放ち始め、

今までにないくらいの強い力が

(みなぎ)ってきたのは。

(何この力は…。体が癒されて

力が(あふ)れてくる。

他の皆もどうやら

同じ光を放っているみたい。

これならまだ戦える!)


「皆!この光で体が回復して

力が漲ってきたよね?

これならまだモンスター達と戦えるよ!」

私が皆を鼓舞すると、

「何だか分からないけど、

凄く元気になった!

これなら戦えるね!」

「不思議な力だな…。

でもだいぶ回復してまだ戦えそうだ。」

「もうダメかと思ったじゃない!

これならまだまだ戦えそうね。」

皆もモンスター達と

再度戦う気になったようだった。


「胡桃ちゃん!この力は

無双モードだと思う!

きっと皆が瀕死になったから

発動したんだよ!無双モードだと

いつもより2倍は力が増すから、

残りのモンスター達も

この勢いで倒しちゃって!」

頭の中から精霊が

不思議な光について説明してくれた。


「じゃあ皆、残りのモンスター達も

片付けよう!」

「了解!」


麗華は先程効いていなかった

踊りの力による状態異常が

モンスターに抜群に効くようになり、

モンスターの攻撃を足止めしてくれた。

それに状態異常だけでなく、

踊りの力にダメージ付与されたようで

モンスターに攻撃が出来るように

なったみたいであった。


美春は回復力と魔力が増し、

魔法発動速度も上がったことで

素早い回復が出来るようになり、

連発で強い攻撃魔法を

打てるようになったようだ。


雷太は防御力が格段に増し、

オーク相手でも殆ど傷一つ付いていない。

前衛で敵の攻撃を防御しつつ、

隙を見て攻撃してくれるので安心して

後衛が攻撃・回復することが出来ている。


肝心の私は魔力・攻撃力共に格段に増し、

先程はオークの圧倒的な攻撃力に

苦戦していたが、オークの

弱点属性である水属性の魔力を

込めた剣術で攻撃しているので

かなり楽に攻撃出来ている。


(皆、嘘みたいにオークを

次々と倒している…。

これなら残りのモンスター達も

全て倒せる!)

そんな事を考えていると、

ふと静かになった。

周りを見渡すと、オーク達を含む

残りのモンスター達は

全て居なくなっていた。


「やったー!」

4人で口を揃えて勝利を喜んだ。

「もうダメかと思ったよ…。

勝てて良かった!」

「さすがに今回は俺もヤバいと思ったが、

何とかなったな…。」

「もうこんなの懲り懲りよ!

死ぬかと思ったじゃない!」

3人は何だかんだ言っているが、

勝利した事で安心しているようであった。


(今回、4人全員が死にかけたことで

無双モードとやらが発動したのか。

つまり極限の状態になるまでは、

通常の能力でしか戦えないって

ことなのかな…。)


「皆、お疲れ様ー!無双モードで

このピンチを切り抜けたみたいだね。

私も初めて無双モードを見たよ!

この機会に無双モードについてと、

何故現在に戻ってこれたか説明するね!」


私達に宿っていた精霊達が飛び出してきて、

この不可解な状況を説明して

くれるようであった。


10篇

「つまり全員が死にかけたことで

無双モードになったってこと?」

「そうそう!私も無双モードの

発動条件までは知らなかったんだけど、

胡桃ちゃん達を見てたら全員が

瀕死になったことが無双モードの

発動条件みたい!」


(やっぱりそうか…。無双モードは

あくまで全員がピンチの場面でしか

使えないのか。ということは普段は

通常モードでしか戦わなきゃ

行けないことになるな。

まだまだ自身の能力と

レベル強化が必要か…。)


「何か俺達、それぞれ無双モードって

やつの効果が違ったんだけど、

あれは何だ?」

「私は回復も攻撃も魔力が

強くなってたよね?」

「私なんか今まで使ったことの

無い踊りの力まで付与されたわよ?」


「そうなんだよねー。皆、それぞれ

無双モードでの能力強化には差があるんだ。

それぞれの精霊達から説明してくれるよ。」


「雷太に宿ってる俺の役目は

無双モードでは防御力の強化だ。

無双モードになると、防御力が

圧倒的に強くなって、今まで以上に

盾でのモンスターの攻撃を

防ぐことが出来るんだ。

もちろん隙を見て攻撃することも

出来るがな。」


「美春に宿ってる私の役目は

回復・攻撃魔力の強化と

魔法発動速度の上昇だよ!

今までより回復量が上がったり、

強い魔法が素早く撃てるように

なるから回復・攻撃共に役に立つよ!」


「麗華に宿ってあげてる私の役目は

踊りの力による状態異常の

ヒット率の上昇と新たに踊りの力の

ダメージ付与ね。

状態異常も万能じゃなかったけど、

無双モードになると確実に

状態異常にすることが出来るわ。

状態異常の他にも、踊りの力で

モンスター達を錯乱させて

攻撃することも出来るようになったわ。

あくまで踊りの力での

ダメージ付与は今回、初めて能力が

芽生えたから無双モードじゃなくても

使えるようになったみたいだけど、

攻撃力は無双モードと差があるのは

やむを得ないわね。」


(なるほどね…。無双モードになると、

攻撃や防御のパターンがかなり

増えるわけか…。

麗華が通常モードでも 攻撃出来るように

なったのは有難いな…。)


「質問なんだけど、全員が

瀕死になる以外に無双モードに

なる条件って無いの?

普段は通常モードでしか

戦えないとなると、これまで以上に

基礎的な能力の底上げとレベル上げが

必要になると思うんだけど。」


私が疑問に思ったことを伝えると、

「私達も無双モードの力の効果については、

説明出来るんだけど、

無双モードの発動条件までは

まだまだ分からないなー。

今回、ようやく全員が瀕死に

なったことが発動条件だって

知ったくらいだし。

でもね!無双モードで

モンスターを倒すと、通常モードで

戦うより、経験値が尋常じゃなく

入るんだよ!

今の自分のレベルを見て見て!」


確かに私のレベルはいつの間にか

10ほど上がっており、

レベル20になっていた。

「何かめっちゃレベル上がってるよ!」

「ステータスも大幅に

向上してるみたいだな。」

「これでもうあんな

目に合わずに済むわね…。」

3人も自身の大幅な能力アップを

感じているようだ。


「それでね…。レベル20になった節目と

言っては何なんだけど、

どうやらこの間みたいに

モンスターに逃げられた時に

異次元の扉が開いたように、

今回も異次元の扉が開きそうなんだ。

しかも、今回はランダムに

過去・現在・未来に

飛ばされるんじゃなくて、

自分たちで好きな異次元の世界に

移動出来るんだよ!」


(自分たちで好きな異次元の世界に

移動出来るようになるのか…。

せっかくだからまだ行ったことのない

未来の世界に行ってみる

価値はあるかな…。)


「皆!この機会だから

まだ行ったことのない未来の世界に

行ってみない?

モンスターの状況も知りたいし、

今回みたいに新しいことが

起きるかもしれない。」


私が提案すると、

「賛成ー!」

「悪くは無いな。」

美春と雷太は賛成してくれたが、

「未来か…。行くのは怖いけど、

まあ出会うとも限んないわよね…。」

麗華は何か心配事があるようだったが、

未来に行くこと自体は賛成してくれた。


「じゃあ全員一致で

未来の世界に転送するね!

扉を開けたら、皆飛び込んで!」

精霊に促されて、再び私達は

不思議な光に吸収されながら、

異次元の扉をくぐったのであった。


11編

異次元の扉を潜った先には

見慣れた街とは少し違った

近代化した世界が待っていた。


「わー!未来の私の街だ!

あんな所に大きいビルが立ってるよ!

すごいすごい!」

美春は大はしゃぎしている。

「確かにこの変わりようは凄いな。

俺達の街もこんなに発展するんだな。」

雷太も私達の街の変わりように驚いている。


確かに辺りを見渡すと、

大きいショッピングモールや

高層ビルが立ち並んでおり、

私達が住んでいる現在の世界よりも

発展していた。

しかし、麗華だけは何だか

元気が無さそうだった。


「麗華?どうしたの?大丈夫?」

私が心配して声をかけると、

「…。あ!胡桃。何でもないわよ。」

麗華は何か考え事をしている

様子だったが、軽くあしらわれた。


「皆、未来の街を探索してみようよ!」

美春の元気な声が聞こえてきて、

未来の私達の街を探索して

みることになった。


ところが、未来の新しい世界に

心を踊らされてるのも束の間だった。

「ギャァァァ!」

奇怪な声が聞こえた先を見ると、

やはり未来の私達の街にも

モンスターはいるようだ。


「やっぱりか…。予想はしてたけど。

皆、油断しないでね。

さっきみたいにモンスターが

強敵化している可能性があるから。」

「せっかく楽しい気持ちだったのに…。」


美春がしょげていると、

「あれをよく見てみろ。

何かスライムみたいな形していないか?

しかも、俺達が見てきた過去や

現在にいたスライムよりも

かなりデカいぞ。」


雷太が指差す先を見ると、私達が今まで

見てきたスライムとは明らかに大きさが

違う巨大なスライムがウヨウヨしている。

しかし、違う方向を見ると子豚のような

姿をしたモンスターも居るようだ。


「あれって、私達が死にかけた

原因になったオークじゃない?

何か現在に居たオークより

小さいんだけど…。」


今度は私が指を差すと、

「本当だ!可愛い子豚みたい!」

「何か弱そうだな。」

美春と雷太は反応したが、

麗華は(うつむ)いたままであった。


頭の中で声がする。

「胡桃ちゃん!今見ていると思うけど、

スライムが巨大化してたり、オークが

小さくなってるよね?あれはさっき

経験したと思うんだけど、

異次元の世界を渡ると

モンスターが弱体化したり、

強敵化する現象なんだ。


つまり、過去で1番弱かったモンスターは

未来で1番強くなって、未来で1番弱い

モンスターは過去で1番強くなるの!

現在はその中間のレベルかランダムで

異次元の扉を潜ってきたモンスターが

来るからどれくらい強いかは

見極めるのが難しいんだ…。」


精霊に一気に説明されたが、

よく分からない。

(というか、異次元の世界を渡ると

強くなったり弱くなったりすることって

有り得るのかな…。)


「何かよく分からないけど、

油断は禁物ってことね。分かった。」

とりあえず精霊の言葉を飲み込んだ矢先、

現在同様に私達を見つけて

巨大なスライム達が私達を襲ってきた。


「皆、構えて!あの巨大なスライムは

相当強いよ!」

私が警告を促すと同時に戦闘は

始まっていた。

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