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TAKE TIME WORLD  作者: areafa krain
2/20

第2部

5編

「とりあえずせっかく過去の世界に来たんだし、

私達の街を散策してみようか。」

私が提案すると、

「賛成ー!」美春が元気良く賛成してくれた。

「まぁこの街のモンスターの状況も

見たいし悪くない提案だな。」

「お父様とお母様に会えるのかしら!」

雷太と麗華も賛同してくれたようだ。


「まずは私達の住んでいる家に

行ってみようか。」

(あの頃はまだお父さんとお母さんは

仲良かったんだよな…。でも今は…。)

「胡桃ちゃん?何考えてるの?早く行こうよ!」

美春に促されて私達は出発した。


街を歩いている最中、珍しく雷太が

感傷的になっているみたいだった。

「雷太、どうしたの?」私が聞くと、

「いや、過去に戻れたってことは

ばあちゃんにも会えるってことだよな?」

「お兄ちゃん…。」

美春には思い当たる節があるようだ。

「そうだね。そう言えばこの頃だっけ。

私達の事も可愛がってくれた雷太と美春の

おばあちゃんが亡くなったのは…。」

「そうなんだけどさ。ちょっとな…。」

「うん…。思い出しちゃった。」

雷太と美春は何か気になることがあるようだが、

あまり深掘りをするのは野暮だと思ったので、

これ以上は聞かないことにした。


「着いたよ!私達の家!」

雷太と美春の家である電気屋だ。

「あっ!あれ若い時のお父さんと

お母さんじゃない?おばあちゃんも居るよ!」

美春が10年前のご両親の元に駆け寄っていく。

「お父さん!お母さん!

美春とお兄ちゃんだよ!」

美春は嬉しそうに言うが、

「何言ってんだい!私達の子供はこんなに

大きくないよ!誰だいアンタ達は!」

「そうだ。いきなり見知らぬ人間に俺達の

子供とか言われても話にならないな。」

美春と雷太のご両親の言うことはもっともだ。

しかし、おばあちゃんは…。


「あら!可愛らしい子達だね。ウチの孫も

これくらいの歳になったらこんな感じかね。」

私達を受け入れてくれたようだ。

「美春、落ち込まないで。ご両親の反応も

もっともだよ。あんまり困らせないの。」

私が励ますと、「そうだよね。

今の私達を見ても分かんないよね…。」

美春がさらに落ち込み始めた。

「しけたツラすんなよ、美春。

ばあちゃんの姿が見れて受け入れて

くれただけでもいいだろ。」雷太がそう言うと、

「そうだよね…。一番会いたかった

おばあちゃんの姿も見れたもんね!」

どうやら美春は元気を取り戻したようだ。


「お騒がせしてごめんなさい!失礼しました!」

美春が丁寧に謝罪し、おばあちゃんの

笑顔を見送りながら次は麗華の家に

行くことになった。

「次は私の家ね!美春とは違って話しかけたり

しないけど、遠くからお父様とお母様を

見ることができればそれでいいわ。」

麗華はさっきの出来事を踏まえてそう言った。

「あれは!お父様とお母様だわ!

何と麗しい姿なんでしょう。やっぱり

お二人とも若くて美男美女ね。」

「はいはい。麗華のご両親の自慢は

これくらいにして、次行くわよ。」

「何よ!胡桃。もう少し見せてくれても

いいじゃないの…。」麗華がぶつくさ文句を

言っているが、無視して私の家に向かう。


(次は私の家か…。お父さん、お母さん…。)

「胡桃ちゃん!着いたよ!」

美春に手を引っ張られて促される。

(お父さんとお母さんだ…。10年前のこの頃に

私はこの美容室を開くためにこの街に

引っ越してきた2人に付いてきたんだっけ…。

あの頃はまだ、楽しかったな…。)

「胡桃ちゃん?どうしたの?」

美春が心配そうに私の顔を覗き込む。

「ううん。何でもないよ。行こうか!」


4人の家と家族の姿を見て、他の所に

向かおうとしたその時…。

「ガァァァァ!」

勢いよくモンスターが飛び出してきた。

「胡桃ちゃん!モンスターだよ!

これから戦闘モードに入るね!」

頭の中で精霊が呼びかける。

「皆、モンスターが現れたみたい!

戦闘モードに入って!」

こうして、初めてモンスターと戦うことに

なったのである。


6編

私達の前に現れたのは、1匹のスライムだった。

「あ!スライムだー。可愛い!」

「美春…。呑気(のんき)な事言ってないで戦うぞ。」

美春の呑気な言葉に雷太が呆れていた。


「皆!戦闘モードに入ることは出来た?」

私が尋ねると、

「おうよ!いつでも行けるぜ。」

「OKだよ!胡桃ちゃん!」

「私の力の見せどころね!」

3人とも無事に戦闘モードに入ることが出来たようだ。

「じゃあ、みんな行くよ!

前に出て私と雷太で攻撃するから、

後ろで援護魔法と状態異常付与をお願い!」

「了解!」

3人とも口を揃えて承諾してくれた。


「胡桃ちゃん、モンスターには属性の相性があって、

スライムは水属性だから弱点は土属性だよ。

私が土属性の力を与えるから、

剣を振ってスライムと戦ってみて!」

精霊が頭の中で指示を出す。

持っている剣に力が宿ったようだ。


私はスライムに向かって剣を振ってみる。

「えい!」

スライムの上に現れたHPが一ポイント減った。

(なるほど…。HPを0にすれば戦闘終了ね。)

考え事をしていると、「胡桃!危ない!」

雷太が盾で私を守ってくれた。

「何ぼーっとしてんだ!戦闘中だぞ!」

雷太に怒られたが、

「雷太、助けてくれてありがとう!」

私がお礼を言うと満更でも無さそうだった。


「胡桃ちゃん!行くよー!」

美春が精霊の加護の魔法を掛けてくれ、

麗華がスライムを麻痺状態にして

動けなくしてくれた。

「二人ともありがとう!一気に倒すよ。」

4人の力を合わせて一気に攻め込んだ。


「ふぅー。何とかスライムを倒せたね。」

私がそう言うと、

「スライムでこれだけ苦労してるならまだまだ

俺達は強くなる必要があるな。」

「とりあえず1匹のモンスターを

倒せたってことでいいじゃない!」

「そうよ!私が踊りの力で麻痺状態にしたから、

一気に攻め込むことが出来たんでしょー?」

雷太、美春、麗華は初戦闘を終えてそれぞれの

感想を口にしている。


「まぁ、今回はモンスターを倒せたし

良かったじゃない。

まだまだ強くなる必要はあるから、

しばらくは弱そうなスライムや

他のモンスターを倒して、レベル上げをしようよ。」

「そうだな。俺ももう少し戦闘に慣れたいし、

レベル上げで強化することも出来るしな。」

雷太が賛成してくれた。

「じゃあ何だがその辺にウヨウヨしている

スライムを片っ端から倒していこうか!」

「了解!」

3人が口を揃えて言った。


こうして初戦闘を終えた私達は自分達の

レベル上げと能力強化のために

弱そうなモンスター達と

片っ端から戦うことになったのであった。


7編

過去の世界に来てから数日が経った。

私達4人はレベルも10まで上がり、

能力的にもだいぶ強くなった。

スライムやゴブリンなら一撃で

倒せるようになったし、

少しフィールドを探索して

他のモンスターとも

戦うようになっていた。


「私達も結構強くなって

きたんじゃないかなー?」

「そうだな。最近は他の

モンスターとも戦えるようになったし、

レベルも上がったよな。」

「これなら順調じゃない?

スライムやゴブリンが

雑魚に見えてきたわ(笑)」

美春、雷太、麗華も自身が

強くなったことを

実感しているようであった。


「でも油断は禁物だよ?

まだ美春は回復魔法しか使えないから、

蘇生は出来ないし

死んだら終わりだからね。」

「はーい。」

気の抜けた返事が聞こえてきた。


そんな会話をしている最中、

1匹のスライムが

目の前に現れた。

「スライムじゃない。

私達なら一撃で倒せるものね。」

「じゃあ俺が倒すとするか。」


雷太がスライムを倒そうとしたその時、

スライムが私達のレベルに恐れを為して

逃げ出そうとした。

「あ!待てっ!」

追いかけようとしたが、

信じられないことにスライムの目の前に

扉が現れ、中に吸い込まれて

いってしまった。


「え…。何あれ。逃げ出したと思ったら、

扉の中に消えていったんだけど…。」

「あんなこと初めてだな。

あのスライムはどこへ行ったんだ?」

「スライムごときが生意気ね!

気にしないで次行きましょ!」


「皆、ちょっと待って!

今の扉って私達がくぐってきた扉と

同じものじゃなかった?」

私がそう言うと、

「確かにそうかもな…。

ということはあの扉は

俺達がいた現在に

繋がっているってことか?」

「えー!それって私達が

元の世界に戻れるってこと?」

「それなら早く帰りたいわ。

さっきのスライムみたいに

逃げ出したモンスターを追いかければ、

戻れるんじゃない?」


「確かにさっきのスライムみたいに

逃げ出したモンスターを追いかければ、

私達の元いた世界に

帰れるかもしれないよね…。

試してみる価値はあるかもしれない!

じゃあさっきみたいに一撃で

倒せるモンスターと片っ端から遭遇して、

逃げ出そうとしたら私達全員で

その扉をくぐろうか!」

「了解!」

3人が賛成してくれた。


そして、私達は元いた世界に帰るために

片っ端からスライムと戦い、

ようやく逃げ出そうとしたスライムを

見つけて扉が開く瞬間を狙って

待ち望んだ現在の世界に戻って行った。


しかし、私達が過去の世界に来る前の

平穏な現在の日常はモンスター達に

支配されていたのであった。


8編

私達は逃げ出したスライムが

開けた扉をくぐった。

不思議な光に吸収され、

目を開けると私達が元いた現在に

戻ってきたようだった。


「やったー!現在に戻ってこれたよ!」

「やれやれ…。疲れたわね。

早く帰ってシャワーを浴びたいわ。」

「…。二人とも呑気(のんき)な事

言ってる場合じゃないぞ。

あれを見てみろ。」


雷太が指さした先には

先程逃げ出したスライムと

過去の世界で一撃で倒せていたゴブリン、

豚のような姿をしたオークが

無数に街を徘徊していた。


「何あれ…。人が居ない代わりに

モンスターが街を占拠しているの…?」

私は呆然とした。

目の前に広がる光景が信じられなかった。

しかし、呆気にとられている暇は

どこにもなかった。

私達を見つけたモンスター達は

すぐに私達を襲おうとしてきた。


「過去の世界でスライムや

ゴブリンなら一撃で倒せていたし、

オークも皆で力を

合わせれば倒せるよね?」

「そうね。とっとと片付けましょう。」

美春と麗華はモンスターの力を

甘く見ていた。


しかし、雷太は

「お前達、モンスターをよく見てみろ。

何だか過去の世界で戦っていた

雑魚モンスター達と違う雰囲気を

(まと)ってないか?」と

モンスター達の変化に気づいていた。


(確かに…。過去の世界で戦っていた

雑魚モンスターよりも

禍々(まがまが)しい雰囲気を纏っている。)


「皆、気をつけて!」

私が忠告すると同時に

モンスター達が一斉に襲ってきた。

「何よこれ…。スライムや

ゴブリンが一撃で倒せないじゃない。

しかも何だか強くなってるような…。

私の麻痺を効かないわ…。」

「くっ…。俺もここまでこいつらに

苦戦したのは久しぶりだな。

美春!早く回復してくれ。

このままじゃ持たない!」

「分かってるよ!

全力で回復してるけど…。でも…。」


私達は禍々しい雰囲気を纏った

スライムやゴブリンに苦戦していた。

どうやら麗華の踊りの力による

状態異常も効かなくなっており、

美春の回復も追いついていないようだ。


「皆、1匹ずつ確実に仕留めよう!

力を合わせれば必ず倒せるから!」

(でも、スライムやゴブリン達を

倒すのにかなり体力を消耗してしまった…。

これで、さらに強いモンスターに

襲われれば一溜りもない…。)


そんな事を考えていると、

オークが集団で襲い掛かってきた。

「皆!危ない!」

先にやられたのは美春と麗華だった。

美春はスライムとゴブリン戦で

MPをだいぶ消耗してしまい、

回復手段を無くしてしまったようだ。


「美春!早く回復しろ!

その間に俺と胡桃が持ちこたえる!」

雷太が指示したが、

「お兄ちゃん…。もうMPが

殆ど残ってないよ。

私達、もうダメかも…。」

「そんな事言うな!

俺達が耐えてる隙に!ってうわっ!」

雷太の盾を持ってしてでも

オークの攻撃は耐えきれなかった。

私も先程のスライムとゴブリン戦で

かなり体力を消耗し、

このオーク戦で(ほとん)ど力が残っていない。


(今度こそ私達、皆全滅なのかな…。)

そんな事を思っていた矢先、

「胡桃ちゃん!諦めないで!

まだとっておきの秘策が有るから!」

頭の中で精霊が呼びかけてきた。

(秘策?そんなものあるわけないじゃない…。

もうダメだ…。)


諦めかけたその瞬間、私達の体が

突如として光出した。

(何これ!皆光出した。

何だか見る見るうちに体が

楽になっていく…。

力もかなり強くなっているみたい。

これなら!)

私達の戦いはまだこれからなのであった。

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