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TAKE TIME WORLD  作者: areafa krain
18/20

第18部

54編

俺が現在のラスボスを倒せたのは、

幸い状態異常が効きやすく、

麻痺や呪いでラスボスを動けなくしたり、

眠りで攻撃を止めてからそのわずかな隙に

剣技と魔法攻撃で地道にダメージを与えて

やっと倒すことが出来たからだ。

元々は物理防御力・魔法防御力共に高くて、

レベル75の俺でも中々歯が立たないし、

素早く攻撃と魔法攻撃を連発してくるので

自分が敵の攻撃を受けないように必死で

討伐どころじゃ無い。

敵の攻撃を受けたら、

最悪の場合に一撃で死ぬ可能性もあったし、

死ななかったとしても回復が間に合わない

可能性が高い。それ程に強敵なのだ。


「現在のラスボスは全知全能の神と言う。

その名に相応しく、物理・魔法攻撃力・

物理・魔法防御力全てにおいて高い。

正にどの方向から攻めていっても

跳ね返される程攻撃・防御共に万能だ。

俺の時は幸いにも状態異常が効きやすく、

全知全能の神が動けなくなる

わずかな隙を狙って、地道に

攻撃していってやっと倒したんだ。

だが今回はどのモンスターも知っての通り、

強敵化している。俺の時に弱点だった

状態異常も、今では克服されている可能性も

十分にあり得るんだ。」


「ちょっと待ってください。それじゃあ、

私達はどうやって戦って全知全能の神を

倒せば良いんですか?」

「そうだよな…。弱点が全く無い様じゃ、

手の打ち所が無いぞ。」

「まぁ、そんなに急かさずともゆっくり

考えていこうじゃ無いか。麗華ちゃんが

さっき邪神の戦いの際に使った無双モードを

覚えているかい?」

「私の考えで無双モードにあえてなって、

特殊な状態異常を治すことに

成功しましたわ。」

「そう。それなんだ。

君達にはまだ開花していない

才能やスキルがあるに違いない。

極限の状態になって、

初めて俺でも経験し得なかった

何かしらの特殊なモードや

新たな強力スキルが

発動する可能性も十分に有るんだ。」


「私達にはまだ可能性があるのかなぁ?

私にはどんな才能が芽生えるんだろう。」

「でも、それってあくまで可能性ですよね?

もし極限状態になっても、

何も起きなかったら俺達は

そのまま全滅を食らうって可能性も

有ると思うんですが。」


「雷太くんの言う事も間違ってはいない。

その可能性も考えておくべきだ。

しかし、俺が戦ったあの頃から

十数年経つがモンスターも

強敵化しているが、討伐する使命を

背負っている君達の能力も進化していると

俺は推測している。

現に俺の時には無かった

スキルやモードが発動している事が

多々見られている。

今回ばかりは前向きな方向に

捉えても良いんじゃ無いかと俺は思う。

全知全能の神は君達の力だけでは

倒す事が難しいのはよく分かっているから、

勿論俺も討伐の手助けには入るつもりだ。

これでどうだろうか。

まだ心配な点は有るかい?」


「何と言うか…。

戦ってみなきゃ正直なところ、

分かんないって言うのが本心です。」

「私も胡桃と同じ考えだわ。

どうなるかは私達のまだ目にしてない

才能やスキルに賭けるしか

無いかと思うわ。」

「先が見えないまま、

そんな強敵と戦うのは不安でしか無いけど

時生さんが手助けしてくれるなら、

どうにかなるかもって思います。」

「雷太くんはどうかな?」

「俺は…。正直、さっき言った事を

取り消すつもりはありません。

でも、戦わずに放っておいても

街は平和には戻りません。

大切な人達を守る為に

俺も覚悟を決めなきゃと思いました。」


「雷太くん、ありがとう。

これで満場一致だね。

本番の全知全能の神との戦いを前に、

俺も交えて少し訓練していこうと思う。

備えあれば憂いなしって言うしね。」

こうして私達は

全知全能の神を討伐するべく、

時生さんも交えた訓練の日々が

始まったのである。


55編

私達は時生さんと共に全知全能の神に

近いステータスかつ最もレベルの高い

モンスターと戦っていた。


「ファイブアトリビュート五連撃からの

ジャンプ斬り!そして、突き!」

「胡桃ちゃん!連撃のスピードが遅い!

ジャンプ斬りももっと高くから飛ぶんだ!」

「仁王立ちからのアイアンボディ!」

「雷太くん!それでは、例え鋼の身体でも

全知全能の神の前では効果は薄い!

もっと己の中心から硬くなるイメージを

持つんだ!」

「パーフェクトヒール!」

「美春ちゃん!それでは、回復スピードが

遅い!蘇生も回復も時間が命取りになる!

1秒でもスピードを上げるんだ!」

演舞爛漫(えんぶらんまん)からの不動の舞!」

「麗華ちゃん!もっとしなやかに上品に

舞うんだ!舞の完成度は状態異常成功率の

向上に関わってくるぞ!」

「ハァハァハァ…。厳しいね。」

「時生さんが鬼教官みたいだ。」

「これで倒したの何体目だろう…。

途中で数えるのも嫌になる程倒したよね。」

「今までで一番辛い訓練だわ。

心が折れそう…。」


時生さんは鬼の様に厳しくなっていた。

それだけ今度の戦いが私達にとっても、

時生さんにとっても総力戦になる事を

物語っていた。

「だいぶ戦い方が身に付いてきたね。俺の

言ってる事も理解してくれてるみたいだし。

レベルもかなり上がっただろう。」

「レベル80になってる!もしかして

時生さんのレベルを超えました?」

「まさか。俺も今回の

全知全能の神戦に向けて

レベルはかなり上げたからな。」

「結局俺達の指導ばかりで、時生さんの

実力を見ていない様な気がするんだが…。」

「今までの戦いは

俺の出る幕は無かったと言うことさ。

本番で嫌という程、俺の本当の

実力を見せてあげるよ。

ただし、俺にばかり頼らずに

君達自身でも強くなる事を忘れるな。」

「はい…。それは常に心に刻んでいます。

今回の戦いはあくまで

主役は自分達だって事も。

私達がこの街を平和にしてみせます。」

「胡桃ちゃん、

かっこいい事を言ってくれるじゃ無いか。

行動も伴える様に己を磨き続けるんだ。」


「そういえば、レベル80になったんだから、

かなり強力なスキルが

習得出来ているんじゃ無いかしら?」

「どれどれ。うーん。

スキルというよりモードだな。

ついこの前の麗華の無双モード覚醒が

俺達にも発動する様になったみたいだ。

俺の無双モードは一定時間内は 

敵の物理でも魔法攻撃でも

全く無効化できるみたいだな。

これは凄いな。」

「私は無双モードになると、攻撃魔力と

回復魔力の能力値が上昇するみたい。

戦いやすくなって良いかも!」

「私はこの間と同じね。

特殊な状態異常でも、

治す事が出来るみたい。胡桃は?」

「私は…。素早さと攻撃力が大幅に

上昇するみたい。より攻撃に集中しやすく

なって使い勝手が良さそうだよ。」


「皆、それぞれ特殊なステータス向上が

身についた様だね。そろそろ本番に

行こうか。今まで鍛えた己を信じるんだ。」

「はい‼︎‼︎」

こうして私達は

全知全能の神討伐へと向かった。

後で知った事だが、

私だけ無双モードの説明の

続きが有ったらしいが、

この時はまだ気付かずにいたのであった。


56編

俺が全知全能の神を

倒したのは十数年前だ。

当時、レベル75で挑んだ俺は

敵の攻撃防御力も魔法防御力も高い上、

素早く攻撃と魔法攻撃を連発してくるので

避けるだけで必死だった。

その時は機転を利かせて

状態異常をかけてわずかな隙に

剣技と魔法攻撃で地道にダメージを与えて

やっと倒すことが出来たのであったが、

この十数年でモンスターが強敵化している

実態を見て、最後のラスボスである

全知全能の神も更に

パワーアップしているに違いない。

もしかしたら、俺の時にはあった弱点が

全く無くなっているかもしれない。


しかし、俺は彼女達にも全てのモンスターを

倒した後に込み上げてくる達成感と自分達が

この街や大切な人を救ったんだという

嬉しさを味わって欲しかった。

しかし、俺は後から非常に

後悔することになる。

俺のこの考えが甘すぎた事に

気付くのが遅すぎたからだ。

まさかあんな展開になるとは全く

予想だにしなかったのである。


「ところで、全知全能の神って何処にいるの?」

「俺の時はある場所に着いた時に現れたな。」

「時生さん、ある場所ってどこなんですか?」

「ところで、全知全能の神って何処にいるの?」

「俺の時はある場所に

着いた時に現れたな。」

「時生さん、ある場所ってどこなんですか?」

「あれ?ここって私達が

通ってる高校の前じゃない。」

「そう。全知全能の神が現れたのは

俺の母校でもあり、君達が在学している

この高校さ!来るぞ!」


「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!」

「何あの大きさは⁉︎

3メートルくらいは有るんだけど…。」

「あれを相手にしろって言うのか?

冗談は程々にして欲しいぜ…。」

「冗談なんかじゃない。君達はあれを

相手にするんだ。攻撃してくるぞ!」


「この崇高(すうこう)なる我を相手にする事は

どう言う事か身体で分からせてやる。

権威者の咆哮(ほうこう)!」

「ゴォォォォォォォォォォォ!」

「くっ!これじゃあ身体が動かないぞ!

敵の攻撃を避けきれない!」

「麗華ちゃん!無双モードを使うんだ!

俺は今から君に向けて攻撃を放つ。

HPが少なくなると、無双モードが

発動するからそれでこの特殊な

状態異常を治すんだ!

勿論、死なない様にすぐに満タンに回復はする。」

「分かりました!私に向けて攻撃してください!」


「峰打ち!」

「キャァァァァ!

うぅ…。パァァァァァァァ!

無双モードが来たわ!無双モード発動!」

「良かった…。これで身体が動かせる!

麗華、ありがとう!」

「麗華ちゃん、よくぞ耐えた!

パーフェクトヒール!」


「ほう…。我の咆哮(ほうこう)を解くとは。

だが、ほんの小手調べに過ぎぬ。

攻撃はこれからだ。

アイアンフィンガー!」

「ここは俺に任せろ!

仁王立ちからのアイアンボディ!」

「ギャギャギャギャァァァ!」

「何⁉︎俺のアイアンボディでも

攻撃を跳ね返せないだと?

くそっ!ダメージを食らっちまった…。」

「お兄ちゃん!パーフェクトヒール!」

「雷太は少し休んでて!私が行ってくる!

ファイブアトリビュート

五連撃からの回転斬り!」

「ヒュォォォォォォ!カキィィィィィン!」

「跳ね返された!攻撃を避けきれないっ!

キャァァァァ!バタッ!」


「胡桃ちゃん!パーフェクトヒール!

やはり生半可な攻撃では、

手も足も出ないか…。

ここは俺が全知全能の神の攻撃を防ぐから

君達は回復に専念しろ!」

私達の力では到底(かな)いっこない。

改めて実感させられた。

時生さんに頼るのは気が引けるけど、

今は指示に従うしか無かった。

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