第15部
45編
「現在のラスボスは
時生さんでも物理防御力・
魔法防御力共に高くて、
歯が立たない上に素早く
攻撃と魔法攻撃を連発してくるので
避けるだけで必死だったらしいよ。」
「それじゃあ4人で連携を取って攻撃か?」
「状態異常は効きやすいみたい。」
「じゃあ私が常に状態異常にしておいて、
貴方達が攻撃するパターンかしら?」
「それは必須だよねー。その間に私と
胡桃ちゃんとお兄ちゃんで攻撃する感じ?」
「それでも物理・魔法防御力が高いから、
大ダメージは与えにくいだろうね。
油断してると、いつ間にか状態異常が
切れて攻撃や魔法攻撃を連発してくるから、
危険だし長期戦になるのは
ある程度予想出来るかな。」
「長期戦かー。
無双モードに頼るのはダメかな?」
「あのモードも瀕死状態になって初めて
発動するからな。
回復が間に合わなかったら、即死だぞ。」
「やっぱりもっと強くなって使えるスキルを
増やしていくしか無いのかしら。」
「そうだね。
経験値を多く貰えるモンスターも
捨てがたいけど、ラスボス戦を予想して
似た傾向の攻撃パターンや弱点を持ってる
モンスターを倒して行くのも
大事だと思うよ。」
「じゃあ早速狩りに出ますかー。」
「強くなって早くラスボスを倒したいね!」
「私だって早く平和に戻って欲しいわよ。」
(私達もまだまだ
強くなる必要があるんだ…。)
それから何日が経っただろうか。
日にちを数えるのも忘れる程に
モンスター達と戦い続けた。
倒したモンスターは500を超え、
私達はレベル70になっていた。
「さて、70になったけど
目ぼしいスキルは習得できた?
私は新たにスチールソードを獲得したよ。
鋼属性の剣技みたい。
これを合体させると
ファイブアトリビュートソードが
出来るようになったよ。」
「俺は一刀両断とカウンターを覚えたな。
一刀両断は一撃で
かなりのダメージが与えられるみたいだ。
カウンターは残りのHPが少ない程、
威力が高い攻撃が出来るらしい。」
「私は新たに光属性の女神の守りと
ホーリーライト、回復魔法の
パーフェクトヒールを覚えたよ!
女神の守りは皆が即死しない状態に出来て、
ホーリーライトは光属性の
かなり強い攻撃みたい。
パーフェクトヒールはやっと1人だけど
全回復が出来るようになったよ!」
「私は魅惑の舞が出来るようになったわ。
後は扇舞という扇と舞を
融合させた攻撃が増えたわね。」
「やっぱりレベルが上がると、
使えるスキルが増えたよね。
もう少し新しいスキルを
試してからラスボス戦に挑もうか。」
それから私達は
再びモンスター討伐に明け暮れた。
「女神の守り!」
「魅惑の舞!」
「モンスターが魅了されてる今の内だ!
一刀両断!」
「ファイブアトリビュート五連撃!」
「ホーリーライト!」
「扇舞!」
「グァァァァァァァァ!」
「よし!現在のラスボスに近い
モンスターを倒せたぞ!」
「そろそろ過去のラスボスか未来のラスボス
討伐に挑戦してみない?」
「そうね。大分強くなった気がするし。
胡桃はどうかしら?」
「そうだね。これだけレベルも上がって
連携技が出来るようになったから、そろそろ
良い頃合いだね。行ってみようか!」
しかし、私達のこの考えが甘い事を
痛感するのはそう遠くなかった。
46編
私達は再び過去の世界にやってきた。
「うぅ…。お兄ちゃん…。」
「美春…。辛いのは十分分かるが、
今は戦うしかない。」
「2人とも…。思い出させてごめんね。」
「良いんだ。
俺達も乗り越えなきゃいけない事だ。
それよりラスボスは何処にいるんだ?」
「時生さんによると、
過去のキーパーソンが規程のレベルに
達していれば上空から現れるらしいよ。」
「上空⁉︎⁇」
「フハハハハハ!愚かな者達め。
自分からノコノコとやって来るとは!
この厄災の神から逃れられると思うなよ!
我の力を存分に味わせてやる!」
「ヤバイよ…。早速現れちゃったよ!」
「どうしよう…。
オーラだけで立ち竦むわ。」
「俺も身体がビリビリするくらい凄い
魔力を持っているようだ。」
「皆、決して油断しないでね!訓練した
連携を忘れないで!行くよ!」
「我の力を思い知れ!連撃!」
厄災の神は私達に向かって
扇状に連撃をしてきた。
「そうはさせないぜ!
仁王立ちからのアイアンボディ!」
「雷太!ナイス!」
「何だこの技は!くそ!
1人に攻撃を集中させて
鋼のボディで無効化するとは…。
では、これならどうかな?地団駄!」
厄災の神が地団駄を踏むと、地面が
ボコボコと割れ出して
私達の足元をすくった。
「この揺れじゃまともに攻撃できない!」
「どうだ?動けない気分は。
この状態でこれを食らったら
耐えられるかな?地震!」
「グラグラグラグラ!」
「キャァァァァ!」
「胡桃!美春!麗華!」
「今ので大分ダメージを食らったわね…。
美春!回復に専念して!」
「回復を終えたら今度は攻撃に徹して!」
「分かった!ラージヒール連発!」
「よし!これで攻撃が出来る!
雷太!私も攻撃するけど
雷太と美春も隙を見て攻撃して!」
「俺は無理だ!
敵の攻撃を防ぐだけで手一杯だ!
全体攻撃が来たら元も子もないぞ!」
「分かった!美春行くよ!
ファイブアトリビュート
五連撃からの回転斬り!」
「カキィィィィン!」
「跳ね返された⁉︎」
「この我に軟弱な攻撃が
通用すると思ってるのか!恥を知れ!
ヒュドラの矢を食らうが良い!」
「キャァァァァァァァ!」
「胡桃‼︎」
「胡桃ちゃん!」
私は遠のく意識の中で
3人の声が呼んでいるのが
かすかに聞こえた。
「バタッ!」
「胡桃!しっかりして!
反応が無いですって…。
よくもやったわね!許せない!」
「麗華ちゃん!落ち着いて!」
「自分から向かって来るとは愚か者め!
連撃!」
「イヤァァァァァァァァ!」
「バタッ」
「嘘でしょ…?
胡桃ちゃんも麗華ちゃんも動かないよ…。
お兄ちゃん!どうしよう泣」
「美春!落ち着くんだ!
お前には蘇生魔法があるだろう!
それを使うんだ!」
「でも!でも!無理だよ!
私達はもうダメなんだ!ハァハァハァ…。」
「美春!しっかりしろ!
過呼吸になってる場合じゃない!
お前が頼りなんだぞ!美春!美春!」
美春が過呼吸になって
蘇生魔法が使える状態じゃ無くなった
その時、俺達はもう終わりだと思った。
諦めかけたその瞬間、
「どうやらやっぱり
苦戦しているようだね。」
「この声は…‼︎」
聞き覚えのある声に
心底安堵したのであった。
47編
「先ずは状況を教えてくれないか?」
「時生さん!来てくれたんですね。
今、胡桃と麗華が死亡していて美春に
蘇生してもらおうとしてたんですが、
パニックになって過呼吸を起こしてます。」
「そうか。先ずは胡桃ちゃんと麗華ちゃんの
蘇生が最優先だ。
蘇生なら俺も出来るから任せてくれ。
雷太くんは美春ちゃんを
落ち着かせるんだ。」
「分かりました!」
「美春!時生さんが来てくれたぞ!
胡桃と麗華は助かるんだ!安心しろ!」
「胡桃ちゃんと麗華ちゃんが助かる…?」
「パーフェクトリバイブ!」
「あれ?私死んだはずじゃ…。」
「私も胡桃が死んだと思って
突っ込んでいった気がするんだけど…。」
「胡桃ちゃん!麗華ちゃん!」
「凄いな…。
蘇生までじゃなく全回復させるとは。」
「こいつは何なんだ!
せっかく2匹仕留めたと
思ったのに邪魔しやがって!
我の総攻撃を食らって死ね!
ヒュドラの矢!」
「ヒュッヒュッヒュッヒュッ」
「サッサッサッサッ!」
「何だと!
我の総攻撃をかわしているだと⁉︎」
「その攻撃は十数年前に嫌という程
受けたから攻撃パターンはお見通しさ。」
「時生さん、凄ーい!」
「美春ちゃん!感心している場合じゃない!
君が今回のラスボスの攻撃の
キーパーソンなんだから
これぐらいは避けなきゃダメだぞ!
矢が来る方向をよく見れば避けられる!
俺はあくまで敵の攻撃パターンや弱点は
教えるが、討伐の手助けまではしないぞ。
出来る事は君達が危機に瀕した時に
回復させるくらいだ。
後は自分達の力だけで倒すんだ。」
「私にはそんな素早い
避け方出来ないです…。」
「出来ないじゃない!やるんだ!」
「美春!俺も出来るだけ矢の攻撃や連撃を
防ぐ様にするから攻撃に集中しろ!」
「私達も生き返ったから
最大限の援護はする‼︎」
「お兄ちゃん!皆!ありがとう…。」
「我の力を見くびるな!ヒュドラの矢!」
(矢の動きをよく見るんだよね…。全集中!
矢の動きが見えた!これなら避けられる!)
「サッサッサッサッ!」
「美春、凄いぞ!俺も仁王立ちと
アイアンボディで出来るだけ
そっちに攻撃が行かない様にする!」
「小癪な奴らめ…。連撃でも喰らえ!」
「アイアンボディ!くっ…。耐えられるか…。
美春、今だ!」
「行くよー!まずはアンデットカースからの
リバイブ!聖騎士達よ、総攻撃だ!」
「ウォォォォォォ!」
「ちっ!何だこの足にまとわりつく
煩らわしい連中は!鬱陶しいな!」
「まだまだ!デビルズクライ!」
「アギャァァァァァァァァ!」
「耳が割れる!止めろ!」
「敵の攻撃が止まったぞ!
皆、今だ!総攻撃しろ!」
こうして厄災の神の攻撃を止める事に
成功したのであった。