時を翔ける異次元ファンタジー!果たして街に平和を取り戻す事は出来るのか?
序編
「胡桃!危ない!」
雷太の声が聞こえたと
同時に敵が攻撃してきた。
仲間は全滅した。
雷太も私も瀕死状態だ。
「今度こそもうダメか…」
そう思った胡桃は諦めかけた。
その時、何かが覆いかぶさってきた。
………。「攻撃は止んだの?」
ふと目を開けると
私の上に雷太が覆いかぶさっていた。
「雷太!雷太!大丈夫?!」しかし…。
雷太は敵の攻撃を浴びて命を落としていた。
胡桃は愕然とした。
大切な仲間だけでなく、
いつも私の側にいてくれて、
辛い時も苦しい時も口は悪いけど
励ましてくれた雷太まで死んだ。
「許せない…。雷太まで奪うなんて
絶対許せない!」
胡桃がそう叫んだ瞬間、身体中が
今までにないくらい熱く燃えそうになった。
精霊は言う。「これならく敵を倒せる!」と。
「仲間も奪い、雷太も奪ったこの憎しみを
全身全霊でぶつけてやる!」
胡桃の本当の戦いはこれからであった。
1編
「胡桃ちゃんー!おはよう!」
「胡桃、今日も相変わらず暗い顔してるわね。」
「…おはよう。」
三者三様の声が聞こえてきた。
(この声はいつもの…。)
胡桃が振り向くと、元気に挨拶してきた
一個下の美春と毎朝毒舌で挨拶してくる
麗華、朝は不機嫌で口数少ないのが雷太だ。
「皆おはよう〜」胡桃は3人に挨拶した。
私、今川胡桃とこの3人はいわゆる幼なじみだ。
私は10年前に美容室を開業するために
この街に引っ越してきた両親に付いてきた。
その時、近所に住んでいたのが電気屋の
息子である過田雷太、その妹の美春、
丘の上のデカい屋敷に住んでいるお嬢様の
来葉麗華と出会った。
性格は4人とも全く違い、しっかり者と他の人に
よく言われる私とクールな雷太、明るい
美春、毒舌の麗華だったが、不思議と気が合い、
意気投合して10年経った私達は
高校2年生になっていた。
平穏な街で平穏な暮らしがいつまでも
続くと信じて疑わなかった。
…そう、今日までは。
「きゃー!助けて!」
甲高い女性の悲鳴が近くから聞こえてきた。
(一体何事?)
そう思い、振り向くと
信じられない光景が広がっていた。
「何あれ…」「ウチらまだ夢見てないよね?」
「冗談だろ…」
美春、麗華、雷太が
口を揃えて言うのも無理はない。
何故なら女性の近くには見たことも無い
異様な生物が立っていた。
(嘘でしょ…めっちゃ怖い。)
私は全身が身の毛もよだつほど震えた。
(でも…でもあの人を
助けなきゃ死んでしまう!)
そう決意し、3人に大声で叫んだ。
「あの人を助けよう!」私がそう言うと、
3人とも意見が一致したようで、
女性の元に走っていく。
「大丈夫ですか!」
女性の元に全員が駆けつけた…
その時、「危ない!」
女性が叫んだ。振り返ると敵の攻撃が
目の前に迫っていた。
(あぁ、私死ぬのか…)
そう思った。しかし…
2編
見たことも無い生物が現れて咄嗟に
女性を助けなきゃと思い、走っていった。
間に合って女性は助けられたけど、
敵の攻撃にあってしまった。
(…私死んだのかな。)
真っ暗な世界が覆い尽くしている。
ふと目を開けてみると、見慣れた世界が
そこにはあった。
「あれ?死んでない!しかもここって…」
「皆生きてたんだ!良かった…」
美春の元気な声が聞こえてきた。
どうやら私と雷太、美春、麗華は
死ななかったようだ。
しかも辺りを見ると、私達が住んでいた
平穏な街のようだ。
「ここって私たちの街じゃない?」
麗華がそう言った。
「やっぱりそうだよな…。でも、あの
変な生物は居なくなったのか?」
雷太が不思議そうにしている。
「でも皆無事だったし、
それで良かったじゃん!」
美春が皆を励ます。
(そうだよね…。皆無事だったし、
変な生物が居なくなっていつもの街に
戻ったんだよね。)
そう考え始めていたその時だった。
また変な生き物が現れたのは。
「君たち危なかったね!私達が
助けてなかったら死んでたよ!」
「そうそう。バカみたいに
突っ込んで行ったな。」
「でも私達が助けられたし、
間に合って良かったじゃん!」
「私達が助けてやったんだから
感謝しなさいよね!」
私達4人の前にキラキラ光って
飛んでいる変な生物が4匹居る。
「さあ、皆行こうか!」
私は見なかった振りをする。
「ちょっとちょっと待ってよ!
私達が助けてなきゃ君たち死んでたんだよ?
お礼くらいは言って欲しいなー。」
変な生き物に呼び止められる。
気のせいだと思いたくて、両眼をこするが
相変わらず変な生き物は空中を漂っている。
「あのー。貴方達は何者ですか?」
私がそう尋ねると、
「よくぞ聞いてくれました!私達は異次元
空間を行き来する精霊なのです!君達が
モンスターに襲われてたから、咄嗟に
異次元空間の扉を開けて過去の世界に
転送しました!」と精霊が言う。
(……自信満々に言っているようだが、
何を言っているかサッパリ分からない)
「精霊?何か可愛い!」
「この変な生き物に助けられたってわけ?」
「過去とか異次元空間とか冗談だろ?」
美春、麗華、雷太がこのおかしな状況に
それぞれ思ったことを言っている。
(そりゃそうだよな…。美春は可愛いとか
言ってるけど皆困惑するのも無理ないよね。)
「あのー。もっと現実的で分かりやすい
話をしてくれますか?」
私は冷めた目でそう言うと、
「仕方ないなー。それじゃあ
私達が1から丁寧に教えてあげましょう!」
(やっぱり何だか分からない…。)
3編
「まず私達の紹介から始めるわね!
私は魔剣の精霊よ。魔法と剣の力を
支配しているわ。魔法には属性があって、
火・水・風・土・光・闇があり、
私は火・水・風・土の力を使えるの。
剣の力と融合させて、魔剣の力を
強化することもできるわ。
この仏頂面が剣守の精霊ね。」
「仏頂面とは失礼だな!俺は剣守の
精霊だ。剣と盾の力を支配している。
味方を盾で守りつつ、力強い剣さばきで
ダメージを与える力を与えることが
出来るぞ。」
「はいはい!次は私の番ね!
私は魔僧の精霊よ。攻撃魔法と
回復魔法の力を支配しているの!
魔法属性は光と闇で、回復魔法は
回復だけでなく蘇生も可能なの!」
「ふんっ!アンタたちに紹介するのも
癪だけどしょうがないわね…。
私は魅惑の精霊。相手を魅了して
痺れさせたり眠らせたり、混乱させたり
する力を支配しているわ。
状態異常だけでなく、
踊りの舞の力で攻撃もできる。
これでいいの?」
「オッケー!次は精霊の加護について
説明するわね!戦闘時は精霊が宿ることで、
力を得て戦闘モードになるの。
私もまだ新米精霊だから詳しくは
知らないんだけど、何かしらの条件を
満たせば、無双モードになるらしいわ。
精霊の加護で敵の一撃で死ぬことは無くて
HP1になるんだけど、この状態でさらなる
攻撃を受けると死ぬみたい。
蘇生は賢者のみ出来るけど、
賢者が死ぬと全滅の危機に瀕するってことね。」
魔剣の精霊は饒舌に語っているが、
疑問点ばかりだ。
「精霊とか言っても信じられないんだけど。」
「魔法の力とかすごいね!使ってみたい!」
「馬鹿臭いな…。相手にする必要ないだろ。」
(麗華、雷太がそう言うの無理ないよね。
私も信じられないし。美春は呑気なこと
言ってるけど…。)
「で、その精霊たちが私達とどういう関係が
あるの?私達はこの街でまた平穏に暮らせれば、
それでいいんだけど。」私がそう言うと、
「残念ながらそうはいかないんだよね…。
貴方達も見たでしょ?モンスターを。
私達は異次元空間を行き来してるんだけど、
時空の歪みで突如、過去・現在・未来に
モンスターが大量発生しちゃったの。
私達の力ではどうにもできなくて…。
お願いっ!私達が助けてあげたお礼として、
モンスター達を退治してほしいの!
それに…。言いにくいんだけど、いつもは
異次元空間を自由に行き来できるんだけど、
何らかの原因で私達の力では異次元空間の
扉が開かなくなってしまったの…。
だから、この過去の世界でしばらく
モンスター退治してほしいの。」
「あの変な生物ってよくゲームとかに
出てくるモンスターだったのか?
信じられないな。」
「え!ここって過去の世界なの?
しかも、元の世界に帰れないってこと?」
「モンスター退治とか、何で私達が
やらなきゃいけないのよ!早く帰しなさいよ!」
雷太・美春・麗華が三者三様に
意見をぶつけている。
(私は…。諦めてこの状況を
受け入れるしかないのだろうか)
「貴方達、精霊とやらが言ってることは
分かんないことも多いけど、私達は
しばらくは元の世界に帰れないってことよね?
それならまたモンスターの被害に遭いたくないし
仕方ないから退治してやるわよ。」
「おいおい!胡桃!この変な生物達のこと、
間に受ける気かよ!」
「胡桃ちゃんが言うなら、
そうするしかないのかも…。」
「胡桃!冗談も休み休み言いなさいよね!」
雷太・麗華が反対するのも無理はない。
「でも放っておくと、私達またモンスターに
襲われて死ぬんだよ?」私がそう言うと、
「確かにな…。ただ黙って死ぬのを
待つより戦うのが賢明かもしれない…。」
「ちょっと!雷太まで胡桃の意見に
従うっていうの?」
麗華が凄い剣幕で睨みつけている。
「じゃあお前だけ残ってればいいじゃないか。
ただし、モンスターに襲われて死ぬのが
オチだぞ?」
「っ!分かったわよ!
付いていけばいいんでしょ!」
麗華が折れてくれた。
「これで4人ともモンスターとやらと
戦う気になったわよ。それで?これから
どうすればいいの?」
「胡桃ちゃん!私達のお願いを聞いてくれて
ありがとう!でもね、しっかりと準備を
整えないと命の危険に晒されるから、
これからのことキチンと説明するね。」
(戦うとは言ったものの、前途多難な
道しか見えないのは気のせいだろうか…。)
4編
「これからのことなんだけど、さっき
精霊の力と加護、過去の世界でしばらく
モンスター退治するってことは説明したよね?
それで、精霊である私達が貴方達に宿って
力を分け与えてモンスターと戦うってのは
どうかな?もちろん武器や防具は精霊の
力で特殊な力が込められた物を与えるし、
モンスターと戦って色んな技が使える
ようになると、より強力なモンスターを
倒すことも出来るわ。まず貴方達に
して欲しいのは私達精霊がどの子に宿るかって
いうことを決めて欲しいの。」
(どの精霊に宿ってもらうかか…。)
「皆はどの精霊がいいかな?」私が提案すると、
「私は魔法が使える精霊がいいから、
魔僧の精霊かなー。」
「私は自分の魅力を発揮したいから、
魅惑の精霊がいいわ。」
美春と麗華は早々に決まったようだ。
「雷太はどうする?」
「俺は残った精霊でいいぞ。」
(そう言われてもなぁ…汗 残りは魔剣と
剣守の精霊か…。私が前衛に出て魔法と
剣の力で攻撃して、雷太が仲間を
守りつつ攻撃してくれると助かるかな…。)
「じゃあ雷太は剣守の精霊で、私が魔剣の
精霊にするのはどう?」
「仲間を守りながら戦うとか、
ガラじゃないが…。まぁいいだろう。」
「決まりだね!胡桃は魔剣の精霊である
私で、雷太は剣守の精霊、美春は魔僧の精霊、
麗華は魅惑の精霊ね!じゃあ早速私達の
精霊の力を見せてあげる!」魔剣の精霊が
そう言うと、4人の身体に精霊達が宿った。
「何か力がみなぎってくるな。身体も丈夫に
なった気がするし。」
「早速魔法使ってみたいなー!」
「相手を魅惑するとか私に相応しいわね。」
雷太・美春・麗華は自分達に与えられた力を
気に入ったようだ。
(私は…。魔法と剣の力か。
実際使ってみないと分からないな。)
頭の中から声がする。
「皆気に入ってくれたかなー?この力を
使って早速モンスター退治に行ってみよう!
まずは弱いモンスターから退治して、技や
魔法を試してみるといいよ。武器や防具は
戦闘モードになると、自動的に装備されるから
安心して戦うといいよ!」
「とりあえず弱いモンスターから退治しに
行ってみようだって。そこで、私達の力を
試したり、武器や防具の効果を感じてみると
良いってさ。」私が精霊の言葉を伝えると、
「それじゃあ仕方ない。行くとするか。」
「色々魔法を試してみたいなー!楽しみ!」
「私の力をモンスター達に
見せてあげたいわね。」
それぞれ意気揚々に語っている。
「それじゃあ行きますか!」
私も今はとりあえず前向きに
モンスター退治に出発した。
しかし、待ち受けてたのは想像を絶する
モンスター達との戦いであった。