リュックサックの正体、怪しい電話
果たして、リュックサックはどうなってしまったのか、じっくり調べます。
しばしモグモグしたのち、ちょうどいいサイズの石があったのでちょっと埃を払って座ってみる。すると、満足したのかシリウスがこちらに駆け寄ってきた。
『シホ、オイシカッタネ』
「満足したかな?」
『ウン、オナカイッパイ』
「そりゃ良かった」
取り敢えず、ご飯がミルクとかじゃなくて良かった。じゃなかったら、この子生まれてすぐに餓死だったよ。しかし、ちょっと甘いもの食べて元気がでたら、思いつきましたよ。リュックサックの説明書き、見たらいいじゃない。こんな状態で流石にただのリュックサックとはなっていない、はず。そう思いたい。
『シホ、ボク、ネムイ』
「いいよ、ちょっとお休みしなさいな」
『ウン、オヤスミ』
リュックサックを目の前に掲げて、いざ調べるぞと意気込んだその膝によじよじと登ってきたシリウスは、やっとこさ登り終えて、膝の上でリラックスしたように手足を広げる。
「コラコラ、急にどうした?」
『オヤスミ』
「ま、しょうがない。特別貸し出しだからね」
赤ん坊に貸す膝は、一応あったようです。ぷぅぷぅ寝息を立てて寝ている姿が可愛くて。飼ってる犬を溺愛する人の気持ちが分かったよ。
「さて、オヤスミの邪魔しないようにしないとね。説明」
おっ、出てきたリュックサックの説明。
《マジックバッグ》
《見た目に関係なく、決められた容量までアイテムをいれることが出来る魔法の鞄》
《容量 ∞》
《中身 手作り弁当×1 スマートフォン×1 メモ帳×1 手帳×1 水筒×1 レジャーシート×1 チョコレート×5 携帯食料×3》
マジックバッグって、なんか知らんけど。説明を読むと確実に便利道具ですな。あれかな、ドラ○もんの四○元ポケット的なやつって解釈で良いのかな。入れるのは良いけど出すのはどうすんのよ、これ。いれた覚えない携帯食料とか入ってるしね。
膝の上のシリウスを起こさないように、リュックサックを脇に置いて再び口を開いてみる。相変わらず真っ暗ではありますが、手を突っ込んでかき回してみた。
「やっぱり触れないよね。取り敢えずスマホだけでもって……はぁ?」
言った途端に、手の先に固いものがあたる。しっかり握って取り出したら、それは間違いなく私のスマホだった。つまり、何を出したいか言えば良かったってこと。
「中身整理しなくてもいいのは楽、かな」
使い方が分かったところで、どうしましょう。真っ黒な画面のスマホを眺めていると、急に画面が明るくなる。
「もう、ここまでくると驚かないけど」
着信で画面に出ている名前は『神』になってるけど、もう驚かない。驚かないけど、出るかどうかはちょっと考えたい今日この頃だ。