探し物は、食べ物
お供ができました。旅は赤子連れに
さてさて、急に子持ちになったところで。取り敢えず現状を打破したいところです。
『シホ、シホ』
「どしたー? シリウス」
あ、なんかお子さまでも(人じゃないが)いると、ちょっと違うな。少し嬉しい、一人じゃない感は大事ですね。
『オナカ、スイタ』
「あー、私もすきましたよ。一応、食べ物はあるにはありますが」
出せないんだよね、きっと。一回抱き上げていたシリウスを地面に下ろし、背中のリュックサックを地面に置く。もう一回ファスナーを開いてため息。
「やっぱり、暗闇かい」
残念ながら、リュックサックの異変は解決されていなかった。つまりは、お弁当は食べらないということで。
『オナカスイタ、オナカスイタ』
「そもそも、君は何を食べるの?」
ピャーと泣き出した幼獣をあやすべく、リュックサックを背負ってから抱き上げる。生まれたばかりのお子さまのご飯、しかも獣なんぞ、全く予想つかないです。シリウスも何食べたいかなんて分からないだろうし。
「取説欲しい、ホントに。今こそ、説明プリーズ……ぎゃっ」
いや、叫んだのは訳がありまして。説明って言った途端に、目前に真っ黒な枠が現れました。ちょっと半透明で向こう側が透けていますが、なんかこれ見たことあるような。
《シリウス(命名者 藤堂 志穂) 》
《種族 グレイウルフ? 》
《レベル 1 》
《スキル 探索 》
《 》
《生まれたばかりの幼獣 スターシアの蜜が好き》
分かった、良くRPGゲームに出てくる枠だ。色々アイテムクリックすると出てきたり、村人が表れたとか、解説とか出てくるやつですね。それはいいけど種族のところハテナマークついてるのは何でだろう。
『オナカー、スイター、シホ』
いっか、後で考えよう。なんか、スキルに探索ってあるからもしかしなくてもシリウスは自力で探せるんじゃ。
「シリウス、なんか匂いとかしないかな。こう、好きな感じとか」
『ニオイ?』
すんすんしながら辺りを見回して、ある部分でピンとしっぽを立てる。
「なんか見つけた?」
『アマイ、ニオイスル。ムコウ、カラ』
「よし、行ってみよ」
幸い、シリウスが示した方向はちょっと明るい。歩き出した私は、キュンキュン言っている幼獣を抱えて進む。にしても、この枠いつまででてるのか……邪魔ですね。