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歩いた先の、不思議な出会い

そろそろ会話、したいのですが。まだ、無理そうです。亀の歩みですが、頑張ります。

そんな訳で、私は森の中を光に向かって歩いています。コンクリートの上を歩くのとは全く違っていて、草は当たるし枯れ葉は刺さるし枝は踏むし…中々挫けそうです。

しかし、唸り声に続き遠吠えまで聴こえてきたら、止まるわけには行きません。美味しいご飯は食べたいけれど、美味しいご飯になりたいわけではないのです。

でも、願いが叶うならばスニーカーが欲しい。歩きやすい靴に履き替えたい。踵がいちいち土に沈みこむのは体力の消費というより、精神的に辛い。そんな中、挫けずにガサガサ音を立てながら、それでも私は進みます。

ストッキングは素敵に伝線し、足は見事に傷だらけ、スーツは蜘蛛の巣だらけになりながら、どのくらい歩いたでしょうか。

光を目指すとは言うものの、見えてはいてもたどり着くにはなかなか骨が折れるのです。

現代っ子の体力の無さを舐めんなよ、ぜーぜー。息が乱れて来ましたが、休憩するにしてももう少し足元がしっかりした所にしたいので、足は緩めずに。

目前の茂みをよいしょと掻き分けたそこに、唐突にそれは、ありました。


「なんだ、森の外じゃないんだ……ガッカリ」


ガッカリって久々に言ったよ。そう追加で呟きながら茂みから体を引き抜きました。そこはちゃんと地面の見える広場になっていて、湿った森の中と違い乾いた土が固く踏みしめられていました。

広さは小さな児童公園程度で、なんと天井には枝葉がない。つまり外が見えるわけですが、残念ながら青空と白い雲以外見えませんでした。ま、取り敢えず今はお昼です。そして、大変気になることがひとつ。


「なんじゃ、これ」


広場の真ん中に大きな大きな卵がありまして。枯れ葉や枝なんかで動かないように丸く囲った中に、実物は見たことありませんが、サイズ的にダチョウくらいはありそうな大きな卵が鎮座しております。

わかりやすく、巣の中にある卵そのもの。普通、巣にある卵は複数ありそうなものですが、こちらにはたった一つ。個人的な感想といたしましては、なんだか寂しそうに見えなくもないが、いやいや、威風堂々と真ん中にいるから、寧ろ一人っ子満喫ですかね。

ま、卵くらいで『なんじゃ、これ』言いませんよ。それでも呟いちゃったのはキラッキラに光っているからで。

光り方は明滅、ピカピカしては、ちょっと休む。いやいや、普通卵が光ることはありませんが。


「もしかしなくても、森の中から見えた光ってコイツが原因かい」


穴から落ちて、森の中。さ迷い歩けば、輝く卵。


「勘弁してよ、本当に」


そろそろ、誰か説明してください。ここ、どこですか?

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