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蜜の掟  作者: ぺぺ
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花園蜜姫



昔から私だけ平凡だった。




花園家の三姉妹の次女として生まれ、ごく普通に育ってきた。

それはもう本当普通に。



普通でいいじゃない。

よくそう言われるんだけど、長女と三女と比べてしまうと、「ああ、私って本当に平凡だな」って感じるんだよね。



長女の花園まり子は国立の大学を主席で卒業し、弁護士となった。容姿もとても恵まれており、整った顔立ちはまさにクールビューティと評され、弁護士の腕も優れており色々なメディアから引っ張りだこの姉。見た目通りのはっきりとした性格に魅了されるファンは少なくない。



三女の花園唯奈は長女とは正反対な性格と容姿でこれまた、男性に好まれそうな可愛らしい顔立ちをしている。本人も自覚しているようで、最大限にそれを利用し、最高6股を成し遂げたそう。また彼女の弾くピアノは時間を忘れてしまうほどきれいな旋律を奏でる。コンクールで何度も最優秀賞を獲得し、今度は世界大会にも出場するだとか。長女同様、ファンは多い。



そして次女の花園蜜姫。私の事だけどね。

私にはこれといった特技はない。見た目だって二人みたいによくないし。努力はもちろんした。けれど、やっぱり二人みたいに特別になれなくて。ピアノだって勉強だってやってみた。けれど、普通の結果で終わり。そんな私は二人の姉妹だと認識されていないようで、二人の態度はそっけない。




でも私もそれでいいんだ。

だって二人と一緒にいると、コンプレックスで押しつぶされそうになるんだもの。




「ねえーまり姉赤いマニキュア持ってなかったー?」


「えー?持ってないわよ。みつきが持ってるんじゃない?」


「えーみつきが?」




唯奈は少し黙ると、少し嘲笑を含めた声を出した。




「みつきが持ってるマニキュアとかかぴかぴに乾燥してそう。しかも安そうだし」


「ふふ、あり得る」


「仕方ない、今日は青でいっか」


「ピンクなら持ってるわよ」


「えー!まり姉さすが!」




隣から聞こえるそんな会話。

私が部屋にいると知ってのことだろうか。まあどちらでもいいのだけれど。



(慣れてるし)




恐らく二人に悪気はない。

そういう環境で育ってしまったから仕方ないのだ。

私もそういう環境で育ったからこれが普通。




(私は私で普通に働いて、普通に結婚して、普通な生活を送ることができればいいんだから)



常に自分にそう言い聞かせている。




だってそうでもなきゃ、やってらんない。




二人と比べるからいけない。

二人と比べるから自分が惨めになる。




みつきはみつきのままでいいんだよ。




いつかきっとそう言ってくれる男性が現れるはず。




私はそれだけを望んでいる。




ーーーーーただ普通でよかったのに。











はじめまして、ペペと申します。いくつかの小説サイトで執筆させていただいており、こちらでも始めてみました。レベルの高い文章を書く方が多い中、投稿するのは緊張しておりますがどうぞお手柔らかに宜しくお願い致します。


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