6 『スカーの子煩悩』
どれくらい時間がたっただろう。
体感時間では数時間は歩き回ったつもりだったが、実際は一時間もたっていないはずだ。暗闇の中馴れない道を歩くのは、いくら若返って体力の戻った俺でも辛いものがあった。
「あれ? そこにいるのってニーフ?」
そんな声が聞こえてきたのは森の切れ間。ちょっとした広間になった場所についた時だった。
今まで光精霊だけが頼りだったが、そこだけは夜空の月が覗いていて、こちらに近づいてくる男のエルフ二人組の姿がはっきり見えた。
へ~、月明かりってこんなに明るいものだったんだな。
「あ! やっぱりニーフだ! ヤッホー♪」
「リーフ! それにシャロも! 奇遇だね、君たちこそここで何をしてるんだい?」
……なんか俺の時とは打って変わって友好的な反応だなおい。
てくてく駆け寄ってきたのはあどけない顔に満開の花を咲かせる少年だった。背格好や仕草も相まってどこか柴犬を連想する。しかも豆柴。保護欲の煽られ方が尋常じゃない。見るからにおばさまうけしそうな人相だ。
「いつもの日課だよ。ね、シャロ」
「そうだな、でも、今夜は綺麗な花に出会えたから役得かな?」
遅れて近づいてきた男がキザッたらしく髪を搔き上げる。
歯が浮いて溶けそうなセリフをさらっと言いやがったぞそいつは、女みたいに伸ばした赤髪に中性的な目鼻立ちをしていた。手足は長く肉付きの薄い細身な体はすらりとした長身。絵に描いたみたいなイケメンだ。
……なんだこの場の顔面偏差値のインフレーション。
エルフってのは美形に生まれる定めにあるのか? なにその種族爆発しろ。
「二人は見回りかい? 夜も深いのにご苦労だね」
「ニーフちゃんこそこんな場所にどうしたんだ? それに、その男は」
疑わしきはそれすなわち有罪、と言いたげな不信感を隠さない視線が俺を貫く。
だがそれは俺も同じだ。
ここが日本でない以上こいつには基本的人権の尊重は適用されない。つまり俺が法律。天河法ではイケメンは有罪。女のコをさらりとちゃん付けするようなチャラ男は情状酌量の余地なく死刑、ギルティー。
よって、遠慮はいらない相手というわけだ。
「……俺から睨みつけてなんだけど、そんな殺意に満ちた目で睨まれることをしたか?」
「したな、この場合お前が生まれてきたことが俺を怒らせた」
「ニーフちゃん、この人危ない薬とかキメてる?」
「そうであったら僕も楽だったんだけどね。残念ながらこれが彼の普通だよ」
イケメンエルフが苦笑いを浮かべて指差し、ニーフは辛辣な台詞とともに答える。
くそ、悔しいけどこの二人、美女美形だけに話してると凄まじい花がある。俺なんて部活動では
「猛獣と組み合ってる気がした」って怖がられたことしかないのに! これじゃよくて美女と野獣にしかならないじゃないか。
「ねぇねぇニーフ! 結局ここで何してるの?」
そんな俺の葛藤をよそに、リーフと呼ばれた可愛い系エルフがぴょんぴょん跳びながら尋ねる。
「彼の分の夕飯さがしをしてたんだよ。聞いてないかい? 僕の護衛の」
「ああ、話はアイエス長老から聞いてるよ。たしかお前……セイだったか?」
「初対面の甘いマスクにお前呼ばわりされるいわれも呼び捨てにされるいわれもない。と言うか話しかけられるいわれもない。むしろ同じ空気を吸いたくないどっか行け」
「……嫌な態度をした俺が言うのもなんだけど、そこまで嫌われることしたか?」
「変態厭らしい人の言動なんていちいち気にしてたら身が持たないよ」
だからニーフさん?
君が一番ひどいこと言ってるのはどうしてなのかな?
「ふーん、じゃあニーフはクルシュの丘に行くつもりなの?」
「うん、あそこは山菜の群生地だからね」
「でも危険じゃない? あそこって森と平原の境目も近いし、何より【禁止領域】とも隣接してるよ?」
「え? ……あ、そっか」
言われてなにかに気づいたのか、あからさまに肩を落とすニーフ。
「ごめんなさい、こんな時間に行かないから忘れていたよ」
「あはは、仕方ないよ。ニーフって一人暮らしだし、普段ならここまで来る必要なかったでしょ?」
なにを言ってるかわからない。けど、問題が発生したことだけはなんとなくわかった。
しばらくあーだこーだと話すエルフたちと蚊帳の外な俺。しばらくしてまたしてもイケメンエルフがキザッたらしく「じゃあこうしよう」と指を鳴らし視線を集めた。
「俺たちもニーフに同行するよ。それなら安全だろうしな」
「え? でも悪いよ」
「なに言ってんだ。俺たちとニーフの仲だろ?」
あぁ~、あぁ~~、イラっとする。この爽やかに距離を詰める手馴れた感じほんっとイラッとする! 俺が同じことしてもドン引かれるか悲鳴あげられるかなのに、素で『イケメンに限る』を実行してるこいつが恨めしい!
「あ、じゃあこの人数だし二手に別れようよ! その方がすぐ終わるだろうし!」
「お、いいね。なら……俺たちとニーフ、そこの男とスカーで別れるか」
しかもこの野郎、サラリと俺をのけ者にしやがった!
やべぇよやべぇよスカーさん! こいつらニーフと暗い森で三人きりになって何かするつもりですぜ! 具体的には薄い本が熱くなりそうな展開! ……金髪エルフってあたりが需要ありそうで変にリアルティーあって嫌だな。
今までの言動からニーフにどこか過保護な空気のあるスカーだ。
絶対異議を唱えると思って俺が黙っていると、
「いいんやないの? 兄ちゃんは護衛だけど、今日が初日だしリーフとシャロに任せた方が安心やろうしな。あっしなら山菜の知識はあるから、二人で十分やろ」
「ちょっと待てイタチもどき!」
あっさり了承したため慌てふためき詰め寄った。
「カワウソの次はイタチって、いやもう何も言わないけんど、なんや?」
「こいつら暗闇に連れ込もうとしてんだぞ! もっとこう、なんかあんだろお父さん!」
「ちみにお父さんと呼ばれる筋合いはないし、何を想像してんのか知らんけど、その心配は杞憂だよ」
「なに言ってんだ! 下半身が服着て歩いてる男と二人っきりにして杞憂はないだろ!」
「……初対面でそこまで本音を吐き散らせる図太さにビックリだよ、あっしは。ほ~ら、ちゃっちゃと済ませて帰ろうね兄ちゃん」
「いやまだ俺は話すことが――って、なんだこれ! 風で体が浮いた!? ちょ! スカー下ろせって! 俺はニーフに話が……か、カムバーーーーック!!」
有無を言わせない口調と、なにげに初体験になるスカーの力を前にどんどん三人と離されていく。もがいてみても手足が地面についていないのだからどうしようもない。
最後に見たニーフの姿は、どこか面倒事の荷が下りたような、ホッとした顔をしていた。
※
「それで、どうして別れることを黙認したんだ?」
なるべくいつも通りのテンションを装って、頭の上で丸まったスカーに話しかける。
「う~ん、もしそれが本気の質問なら、ちみの評価を改めないとダメなんやけど」
「……見当はついてるけど、好き勝手ふわふわしたんだ。文句くらい言わせろ」
「プライド高いなぁ」
「俺のプライドなんてバラ売り豚肉より安いっての。意地が高いだけだ」
「はは、その二つって違いあるんかい」
俺の反応がお気に召してご機嫌に髪のクッションで転げるスカー。
わかっちゃいる。ニーフが比較的友好的な態度を取ってくれているのは長老であるアイエスさんのおかげだ。本人は俺のことを小指の余り皮ほども信用しちゃいない。
そんな人間と二人で歩く心労を考えると、スカーが引き離したがる気持ちもわかる。
「ま、あっしだけならちみ程度の存在、片手間で塵芥にできるしね」
「相変わらずさらっと物騒だよな、お前」
「むしろちみがニーフと離れたがらなかったことが驚きやよ。ちみってニーフのこと嫌ってるやろ? もしかするとニーフがちみを嫌ってるよりずっと」
「そんなわけあるか、会って一日たってないんだぞ? 特別な理由でもない限り嫌う理由も好きになる理由もないだろ」
「わかるさ、ちみの目、いっつもニーフを見てるようで別のもの見てるもん」
的確に心を言い当てられ、強く鼓動が胸を打つ。
「なんやろ、焦点がズレてるっていうか、影を見てるっていうか」
「……ふ、そいつは仕方ない。なにせあんなに立派な胸が目の前にあるんだ。視線が下を向いちゃうのはオスの性、つまり不可抗力ってなもんだろスカーくん」
「うんうん、図星をつかれると口数が増えておちゃらける。だんだんちみっていう人がどんな人なのかわかってきたな」
きししと気色の悪い笑い声が聞こえた。
……この野郎。ずいぶん知ったような口を。
だが、的外れとは言い切れず言葉に窮したことが、もうスカーの言葉を肯定していた。
悔しいけど、こいつは正しい。いくらなんでも過剰反応が過ぎる。自覚はなかったとはいえ――いや、無自覚なのはなおのこと問題か。たぶん、自分で思っている以上に、この世界に来て初めて受けた衝撃の動揺を引きずっている。
たしかに俺はニーフを見ていない。その面影を思い出の中の顔と重ねていた。そのせいで、いつの間にかニーフと離れるという行為に強い拒否感を覚えてしまっただけだ。
――また沙紀が行ってしまう。
そんな取り留めもないことを考えてしまっただけ。
……あ~くそっ、なっさけない。
意図していなかった心の機微を、こんな小動物に見抜かれたことが悔しい。悔しさ紛れに歩調を速めて頭をゆすってやるも、聞こえてくるのが「あう、ちょ、うわぁ!」と楽しげな声なのが憎たらしかった。
「てかマジ話し、あいつらって信用できるのかよ」
「ちみに比べれば何十倍も信用できるんやない?」
「茶化すな。そーいう意味じゃないつの」
「下手なことはしない、と言い切れる程度にはな。あれはニーフが子供のころからの友達や、ちみと二人っきりよりはニーフも心休まるはずやよ」
「幼なじみってやつか」
「ま、気になるのならさっさと用事を済ますことやな。ちなみに今手に持ってるのは毒キノコやで」
「へいへいりょーかい」
ぽいっと投げ捨て次の食べれそうな食料を探すことに集中する。
でも暗闇に馴れていない俺が夜の森と言う環境で一人黙々と作業することなどできるはずもなく。手と同じくらいに口を動かすのも忘れない。
「しっかし、さっきの二人、こんな場所で何してたんだ? 日課がどうとか言ってたけど」
「見回りのことやろうね。このあたりは平地のウルフ族と森のエルフ族の生活領域の境界線や。集落の結界外ってこともあって、見回りは欠かせないらしいな」
「らしいって、ずいぶんアバウトだな」
「あっしは精霊や、エルフ族の事情とかはあんまり興味ないからな。あっしが気にするんは、ニーフのこととそれに関係することだけや」
「ふーん、そんなものかね」
俺の感覚ならニーフはエルフなのだから、そっちも気になってくるものだと思うのだけど。この辺が価値観の違いということだろうか?
「あ~そっから先は行かん方がええよ」
と、物思いにふけながら歩いていると、突然俺の髪の毛を引っ張るスカー。思いのほか思いっきり引っ張られたせいで、頭皮ごと剥がれそうな激痛に……って本気で痛ぇ!
「なんだよ痛ぇよハゲたらどうすんだ!」
「この程度で抜けるような毛根なら将来は絶望的やから諦め。それよりそれ以上踏み入ったらあかんよ。ちみだと見えんかもだけど、赤い線が引いてあるはずや」
頭を擦りながら手の光精霊で足元を照らす。すると確かにあった。赤……と言うより朱色か? なんか毒々しいっていうか。まるで、
「血、みたいだな」
「大当たり。それ、長老の血で描かれとるんよ」
「マジか……いや、ちょっと待て」
猟奇的な事実に絶句し、すぐに寒気へと変わる。
光を持ち上げると赤い線はずっと森を這うように続いていた。線自体は細いが、その長さは一〇〇メートルや二〇〇メートルではないのは明らかだ。
「これ、軽く致死量いってね?」
「バカやなぁ。アイエス一人なわけないやろ。だからあっしは長老って言ったんや。これはエルフ族の長老が歴代受け継ぎながら完成させた大結界。森の精霊との強固な永続契約で作ったもんや。あっしの力を全開にしたって傷一つつけれん代物やで」
「歴代って、マジかよ」
「マジマジ大マジ。むしろエルフの長老はこの結界完成が宿命みたいなもんらしいからな。命削ってお役目を全うする、そんな長老やからみんな尊敬し、その命令を絶対にしてんねんて。あっしとしては間接的にニーフ以外の言うことも聞くことなるから、遺憾ではあったんやけどねぇ~。ま、アイエスの代で結界は完成してもうたから、彼女がしてるのは維持だけらしくて、その習慣にもほころびが出てるみたいやけど」
「ふ~ん」
ぶっちゃけ理解できなかった。いや、だってそうだろ。自分の命削ってまでやることなんてこの世に存在しない。生き物なら自分の命が一番可愛くなくちゃおかしいだろ。
そりゃ口ではなんとでも言えるさ。「僕が命をかけて守って見せる」とかそーいうの。その手のお涙ちょうだいな甘い台詞ならこの世……あーいや、元の世のドラマに小説、はては昔話にもあふれていた。でも、それを実行できるかといえば別の話しだ。
「そこまでして、いったい何をしてんだよ」
「ちみ、ホンマになんも知らんみたいやな」
「え?」
「この辺じゃ一般常識――ってほどじゃないけど、結界内に居る『アレ』について知らん人はおらんで? 服装も見たことないし、彫の浅い顔に凶悪な目つきも知ってる種族とは特徴が一致せん。ちみ、一体どっからきた種族や?」
「……とりあえず目つきの悪さは自前だから」
さて困った。
そのうちくる質問だと思っちゃいたが、いざ聞かれると何と答えるべきか。バカ正直に答えたところで信じてもらえるどころか逆に怪しまれそうだし。
「あ、そうだ」
なにか証拠のようなものはないかと頭を回転させふと思い出す。
俺はポケットに手を突っ込んでそれを取り出すと、スカーへ手渡した。
「なんやこれ? 通貨……なんか?」
「お、よかった。こっちのも通過って概念があるんだな。んじゃ話は早い。細かいけど文字みたいなのが刻まれてるのがわかるか?」
「わかるで。この硬さの鉱物に文字刻むって、ちみの国の細工師はええ腕しとんな」
「そりゃあんがと。話を戻すけど、それって俺の国じゃ十円玉っていうお金なんだよ。で、書かれてる文字は日本語。たぶん通じないと思うけど実物見れば信じるしかないだろ?」
「ニホン? 不思議な発音の国やね。確かに聞いたことないな。そこはちみみたいな人種が中心の国なんか? ……今にも滅びそうやけど」
「おいこらどういう意味だ」
失礼にも程がある。考えてみろ、みんなが自分のことだけを考え自分の利益を優先し自分が一番可愛いという人間の本質をむき出しにした国とか、しがらみから解放された理想郷だろ。……うん、確かにすぐ滅びそう。
「安心しろ。俺以外はもっと理性的で理知的で、腹に一物も二物も抱えながら、お互いの関係に折り合いをつけることを優先する『和』を重んじるお国柄だよ」
「なぜか皮肉ったニュアンスを感じるのは気のせいかな?」
「まぁあとは人種だけど……ここみたいにエルフ族とか明確に分かれてないんだよな。あえて言うなら人類? 特徴がないのが特徴っていうか」
「人類? ふむ、特徴を持たない種族、ねぇ」
意味深に呟き自分の髭を撫でるスカー。
何か気になることでもあっただろうか? そう思い聞き返そうとして、
「うん、やっぱわからんな。近い種族なら北のアーク族があるけど、きっと違うんだろうね。……ま、ちみが何者でもええか。どの道怪しいとこ見つければ残るのは肉塊だけやし」
「だからさらっと物騒すぎんだろお前!」
ったく、死ぬだの殺すだの、この世界の命ってのはちょっと安すぎやしませんかね?
命の価値が対等だ~なんて言うつもりはないけど、だからって大安売りしていいもんでもないだろ。元の世界の理不尽とは別の意味で理不尽すぎる。だったらせめて自分だけは自分の命を高く設定してあげよう。だからそう簡単にくたばってたまるか。
そんな風に決意する俺を眺めながら、頭の上で丸々すかーがぽつりとひと言、
「これは、アイエスの当てが外れたかな?」
聞えて来たその声だけが、妙に耳に残った。
「それで、何の話ししてたんやっけ?」
「……結界の話しだろ」
「あ~はいはい、そうだったそうだった」
この野郎、わざと意味深にやってるなら、相当性格ねじくれてやがるぞ。
ただこの世界のことを全く知らない俺にとって、アイエスの思惑とやらより一般常識の方が今は重要だ。ここは大人しく話に乗っることにした。
「この結界は別名【禁止領域】ゆーてな。とあるものを結界内に押しとどめるためにあるもんなんよ」
「とあるもの?」
「神やよ」
「かぁ~みぃ~??」
素っ頓狂な声をあげてしまう。いや、だって神って。なまじ元の世界でもあった単語だけにファンタジー世界で飛び出すと現実味のないことこの上ない。というかこの世界に来るとき、運命の神様がどーちゃらかんがえたけど、本当にいるのか? いや、断定は早計か。こっちと元の世界とでイメージしている神が同じと考えるには情報が足りない。
理解できないもの、そーいう物に神やら奇跡やらと偶像を当てはめ無理やり理解する。
そういう事は元の世界でもよくある話だった。
――でも、もしかしたら。
俺のこの状況を考えると、それくらい突拍子のない存在の介入でもない限り説明できなくはなかろうか? そうなるとあながち否定はできない――いや、否定することはできない。だったら、もしかすると、
「その神とやらの力を借りれば、元の世界に帰れる?」
元の世界に愛着があるわけではない。未練があるわけでもない。それでも、わけのわからない状況に叩きこまれた挙句、完全放置プレイを決め込混まれたこの状況が気にいらない。
俺の人生は俺が決める。
誰でもなく、俺が決めるんだ。
「ちみが何を考えているかわからないけど、踏み込むって言うんやったら止めん。でもあっしは残るで。あっしにはニーフを見守るっていう崇高なお仕事があるねん」
「それを崇高っていうかはおいといて、なんだよ。お前ってメッチャ強いんじゃなかったのか? やっぱり精霊でも神様には勝てないっていう設定?」
「あっしどころか、この世に命ある存在は絶対に適わん。だから神なんや」
「それはまた、物騒なもんが出てきたな。ちなみにその神様に名前とかあるのか?」
「――呪海」
その言葉に含まれた、意味が分からずともわかる不吉な響きに、息を飲んだ。
湿った生ぬるい風が肌を撫でつけるように流れる。
空気を震わせた悲鳴が聞こえたのは、その直後のことだった。
今回7000文字超えてしまいました。。
どれくらいの文字数が読みやすいのでしょうか?
もし意見などあったら嬉しいです