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9 『乗り越えて、行き詰る』

 そして話しは敵の前で土下座するシーンに戻る。


『――って、決め台詞言っておいていきなり命乞いかい!』


 頭に直接響くような声に、懇願と自棄の念で見るに堪えない表情が一瞬引き攣る。


『うわぁあ……すっごい見苦しい。人ってこんなに不細工な顔できるんやなぁ。服も泥んこやし、器用に涙出まで――ってああ、地面に顔こすりつけたとき土を目に入れたのな。思い切ったことするよ。あっはっは!』


 この野郎、会話が一方通行だからって言いたい放題いいやがる。

 滅茶苦茶痛いんだぞ目に砂が入るのって! おまえもアスファルトの舗装するさい出る粉塵の中作業してみろ。ゴーグルなかったらタマネギ切ってるときみたいなるから。


「な、なぁ。殺さないでくれ! 頼む、頼む頼む頼むぅううう!!」


「なんだ貴様は。エルフ……ではないな。おい! こんなところで何をしている!」


 地面に額をこすり付け土下座する俺の目の前に足が見える。すぐそこにあの熊のような破壊をしてのける相手がいると思ったら、全身の鳥肌が立つのがわかった。

 そんな気配おくびも出さず。こびへつらった笑みを浮かべて面を上げる。


「頼む、死にたくない……まだ死にたくないんだ。ころ、殺さないで!!」


「お、おい」


「何も、知らないんだ。気づいたらここにいて、捕まって、目が覚めたら夜でぇ!」


「落ち着けと言っているだろ!!」


 相手の服にすがりつく勢いで捲し立てる俺に、男の表情からは警戒心より戸惑いの色を濃くさせる。それに気づかないふりをしてさらに畳みかけた。

 振り払った男の手をこの世の終わりみたいな目で見つめ、地面に頭をぶつける勢いで再び土下座。


「あ、ああ……ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」


「え、あ……お、おい。俺はそんなつもりじゃ……」


「もう痛いはやめてください! なんでも、なんでもしますんで!」


「………………はぁ、わかった。わかったから体を起こせ」


 声の主の口調が柔らかいものに切り替わる。目の前で視線を合わせるように膝立ちする気配を感じた。地獄で蜘蛛の糸を見た罪人のように再び面を上げる。


「あ……な、なにもしないのか?」


「ああ、だから落ち着け。まず事情を聞かないことにはどうしようもないからな。……おいおまえら! ちょっと来てくれ!」


 その声からははじめの警戒心はない。背後の仲間を呼ぶ姿に俺は同情を買えたことを確信し、……内心でほくそ笑んだ。


『驚いた。この不自然な状況でよく相手の警戒を解けたね』


 呆れとも驚きともつかないスカーの声。


『演技だって知っているあっしでも一瞬騙されかけたわ。ちみ、もしかして詐欺師とかじゃないよね?』


 敵の警戒が解けたと思ったら味方に警戒されました。

 いやいやいや、詐欺師とか人聞きが悪いにもほどがあるだろ。俺はただ人生の負け犬臭を全開にしただけだ。同情は人の憐れみを引き出す最高のスパイスって言うだろ?


 元の世界では、お客のクレームなんかに日雇いの俺みたいな連中がさらされるときがある。ときがあるっていうかよくある。でもどれだけ文句を言われて俺たちには決定権はないわけで。つまり謝り倒すしかないのだ。

 こっちは必死で言われたとおり体を動かしているだけなのに、お偉いさんの管理不足だか根回し不足のツケを払わされている理不尽この上ないことなのが、いまは脇に置くとして。そうしたとき被害を最小限にとどめる手が大きく分けて二つある。


 その一つが、お客にすら同情されること。


 どうしようもない状況であることを『お客の剣幕以上に哀れな自分』で押し通すのだ。自分より弱々しい奴を一方的に怒鳴るメンタルを持つ人は少ない。まぁ中にはそーいた人もいたけど、そういう場合は「おまえじゃ話にならん! 上司を出せ!」的な流れで御上様が引きずりおろされるので、結果的に俺の被害はなくなるって寸法だ。


 そして、もうひとつの方法ってのが、


「隊長どうしましょう。おそらくは……」


「ふむ、他種族をか。エルフめ、なりふり構わない真似を」


 ――共通の敵を作ること。


 この場合、ニーフたちには悪いけどエルフに矛先へ立たせてもらう。

 ぞろぞろと周りに集まったウルフ族の男たちは――四人。確かスカーは五人いると言っていた。あれだけ騒げば全員釣れると思っていただけに、どうやら警戒心の強い奴が一人まだ紛れているようだ。そのことに舌打ちする。


『安心しい、最後の一人は離れたところで単独行動中や。駆けつけるには時間がかかる』


 俺の懸念をくみ取りフォローを入れてくれるスカー。

 見た目はあんななのに心強い奴である。


「事情はだいたい察しがつくけど、説明してもらえるかな? 嫌なことを思い出させて悪いんだけど、君の口から言ってもらわないと俺たちは動けないんだ」


「……え?」


「これでも一応任務中でね。君を保護するということはそれ放棄すると言うことだからね。要するに建前だ」


 冗談交じりな言葉に暖かな視線。これが本当に救助を求める状況なら一〇〇点満点な安心できる対応だろう。ウルフ族ってニュアンスからもっと野蛮なイメージだったけど、どうやら認識を改める必要がありそうだ。

 ……ただ、この場では浮かべる笑顔が引き攣る。

 やっべぇー。ここの知識が少ないから、なんて答えれば無難か見当がつかん。


「どうかしたか?」


「あ~、え~とですね…」


『他族捕虜だと言い』

「他族捕虜だ!」


 焦りの余り何も考えずにスカーの声をオウム返しで叫んでしまう。すぐ何も考えていなかったことに公開したが、反応は劇的だった。

 一瞬俺の声の大きさに驚いた男たちだが、すぐ「あ~やっぱり」みたいな顔で破顔する。


「やはりか、異種族契約を平気で破るとは、長命な森の賢者が聞いてあきれる」


「彼をどうしましょうか?」


「放置するわけにはいかないだろ。無視すれば俺たちウルフ族も片棒を担いだことになるぞ」


「とはいえ、彼を旅団に連れて行くのは……もし彼が間者とかだったら」


「はっはっは! 潔癖なエルフがここまでみすぼらしい男を間者にするかよ!」


 おいこら聞えてんぞ。誰がみすぼらしいって? そこまで迫真の演技だったのか、それとも勘違いしてしまうほど性根がみすぼらしいのか。……後者だったら立ち直れないかも。


『兄ちゃん』


 と、俺が自分を見つめ直していると、


『時間稼ぎご苦労! 準備できたで』


「――うっし」


「? なにか言ったか?」


「あ、いえいえ! やっとここから逃げられると思ったらほっとしてしまって」


「はは、気を抜くのはまだ早いぜにーちゃん。……っと、そう言えば、この辺じゃ見ない顔だな。どこの種族なんだ?」


「あ、えーと……アース族? です、はい」


「アース……なるほど北方の。たしかに低い背丈は彼らのものだ」


 ふとニーフとの会話を思いだし咄嗟に嘘をつく。ここで人類がどーとか言ったら前のスカーみたいな反応をされる可能性があるしな。不確定要素は少ないに越したことはない。


「よし、決まりだな。君が巻き込まれたのも俺たちウルフ族とエルフ族のいざこざが原因だ。直接の原因じゃないとはいえ責任はとる。大地と風精霊に誓って君を仲間のところに帰そう」


「本当か、た、助けてくれるのか!?」


 そう言いながらすがりつこうと立ち上がり――再び尻餅をつく。


「あ、あれ? あはは……ほっとしたら足が震えて、立てないや」


「おいおい情けない。それでも男か?」


「言ってやるな。俺たちウルフ族と違って他種族は男が全員戦士ってわけじゃないんだ。肩でも貸してやったらどうだ?」


「はぁ、仕方がないな。……ほれ、掴まれ」


 手が、さし伸ばされる。

 俺はその手へ無造作に左手を伸ばし――掌を素通りして手首を掴む。


「へ?」


「悪いね」


 勢いよく立ち上がり肩で胸を当て身。バランスを崩したところに相手の脇へ右腕を差し込む。ふらつく男の重心、その起点を完璧に理解し、


「うらぁあ!!!」


 ――一気に投げた。

 俺より頭一つ、筋肉量を考えると図体なら二倍くらいはありそうな巨体が宙に浮く。重さは感じない。不意打ちで踏ん張りがきかず、当て身で後ろにふらついた体を踏ん張ろうとした彼自身の力も利用し、美しい弧を描いた巨体は、


「ごフッ!?」


 木の幹に顔面からぶつける。飛び散る鼻血の中には白い歯が混ざっていたと思う。それでも痙攣したままのびる男に命に別状はないと判断し次の獲物を狙う。


「サリー……?」


 呆然と倒れた男の名前らしいものをつぶやく隊長と呼ばれた男。

 遅い、後悔はあとでもできるのにそれをいまやるなんて。試合中にそんな贅沢をすれば後の試合に引きずることくらい、平和な日本生まれの俺だって知っている。だから、畳ではなく木に叩きつける。そんなスポーツマンシップに反するおこないの後悔も、俺は後回しにした。

 再び腕を掴み首の牙だか角だかでできたネックレスを掴む。全重と腕の力で体勢を崩し、つんめりそうになった足を払いのける。


「らぁあ!!」


 咆哮一声、背中から地面に叩きつけた。口から肺の空気が抜ける音が耳朶を叩く。


「っ! 貴様!!」


 完全に油断しスリープ状態だった残り二人が叫ぶ。不意打ちとだまし討ちのコンボで生んだ隙。それでも俺にできるのは二人が限界のようだ。

 罠にはまったと気づき彼らの手が肥大化する。いや、正確には――ああ、たしかにこれは獣化だ。人間らしい腕には剛毛が生え、その五指は鋭利なサバイバルナイフのような爪が生える。その凶刃が二人合わせて一〇本。全力の殺気を上乗せして俺に向けられた。

 でも、それくらい予想済み。バケモノ相手に俺ができるのは捨て身で数人倒せればいいところ。全員を相手できるわけがない。数秒もしないうちに、握りつぶされた木と同じ末路をたどることは想像に難くない。


「五人を同時は無理でも二人ならどうにかできるだろ?」


 だからバケモノにはバケモノを、正しく他力に本願することにする。


「見せてくれよ上級精霊様! あんたの力!」


「はっはー! 任されたぜ兄ちゃん!」


 声が聞こえた瞬間――風が凪いだ。

 地面に組み伏したすぐ上をなにかが通り過ぎていく。

 思わず肩越しに見上げたそこには、

 

「………………はぁ?」


 腕を振り上げたまま停止する男二人。何が起きたかわからないけど、予定通りといえば予定通りの光景だ。だがそれによって生まれた被害に目を疑った

 木が、岩が、丘が、世界が。

 そのすべてが同じ高さに斬り揃えられていた。直後、思い出したようにわずかに浮いた斬線面から、崩壊の連鎖が鳴りひびく。


「ちょ、おいおいおいおいマジかよ!?」


 降り注ぐ土砂の豪雨から少しでも身を守ろうと手近な岩の影にはいつくばる。。認識の範囲を大きく逸脱した光景に、もう叫び声しか出ない。

 冗談じゃない! こんな規模の話し聞いてねぇぞ! 悪態の一つくらいこの破壊をやってのけたスカーへ言ってやろうと首だけ出し――それを見た。


「ぎゃあああああああ!! 腕、腕がぁあああああ!」


「うわぁあああ――――ぁ……」


 獣化した腕を切られた二人が、夥しい血を流しショックで倒れる姿を。

 俺が木にぶつけ気絶させた男が落下してきた大木に押し潰される姿を。

 組み敷いた隊長と呼ばれた男が、避ける暇もなく濁流にのまれる姿を。


 見晴らしのよくなり捲れかえった地面と倒壊した木々。

 緑と茶色に染まった森で、パッと赤い斑点が散る。


「いや~おっつかれー兄ちゃん」

 

 呑気な声が頭上から聞こえた。脳が目の前の光景を処理するのに手間取っているのか、手足の動きが鈍い。ひと苦労して首を上に持ち上げ、それを見た。

 俺も包まれた風の繭。その中心に前足で顔を擦る小動物――スカー。


「いやぁごめんな。その人たち、かなり広範囲の風マナかき集めた後だったみたいで。必要量が溜まるまでずいぶん待たせてもうて。……ま、これだけやればここにいない一人もしっぽ巻いて逃げたやろし、めでたしめでたしやな」


 いつもと変わらない口調だった。

 黄金の毛並みをなびかせ降りてきたそいつは、欠片も良心の呵責なく、俺の足元で笑って見せる。そのことにひどく、気持ちの悪い気分になった。


「……殺す必要なんて、あったのかよ」


「ん? なんや今更。そういうつもりでやった作戦だやったんちゃうの?」


「ちげぇよ! 勝手に俺まで共犯にしないでくれ! 俺は動けなくできればそれで――」


「――奴らはニーフの命を狙った」


「っ!」


「理由はそれで十分やろ?」


 ぞっとするほど温度を感じない言葉に、出かけた声を飲み込む。

 おいおい、なんだよこいつ。ちょっと……相当頭ぶっ飛んでないか? ……ぶっちゃけ怖ぇーぞ。


「それよりニーフはどうや?」


「あ……そ、うだな。うん」


 ……とりあえずいまは考えないでおこう。ちょっと受け入れるには時間かかりそうだし。うん、現実逃避万歳

 我に返って飛び出す前に見た切株の裏を覗き込む。そこには気を失っているようだが、大きな傷は見当たらないニーフが腰かけていた。そのことにホッと息を吐く。


「大丈夫、お姫様は無事みたいだぜ」


「そりゃよかった。きわどい賭けな気がしたけど、どうやらあっしらの勝ちみたいやな」


 しっぽで俺の尻を叩くスカーに苦笑いしか浮かばない。

 俺のやったことは単純。要するにスカーの時間稼ぎのための道化だ。

 ウルフ族たちを俺が引きつけニーフから意識を外しつつ、スカーが力を貯める時間を稼ぐこと。そしてひと息では五人を相手できないと言うスカーのために、あわよくば不意打ちで数を減らすこと。


 俺が行動を起こすタイミングはスカーが知らせてくれるし、攻撃手段は例の『風の刃』だと聞いていたので、俺が地面につっぷしたタイミングで開放してほしいと約束しておけば巻き込まれないっててわけだ。……まぁまさかあんな規模の攻撃で、命を奪う前提だったとは思わなかったけど。


 最後にニーフが巻き込まれる可能性だけど、これは考える必要はない。

 スカーは自爆で生き残るのはニーフだけだと言った。つまりスカーの力は契約者のニーフには効かないのじゃないか、と考えたわけだ。


 で、結果は想像の通り。一応確認はしていたけど、実際あの惨劇で無傷なところを見せられると、驚くっていうかもうなんか恐ろしい。

 要するに、だ。


「言った通りやったね」


「なにが?」


「誰の命も賭けない、賭けるのは俺の安いプライドだけってやつ」


 ニーフの命はそもそも勘定にない。俺の命は危なかったけど、俺が俺の命を手放すわけがないのだから賭けちゃいない。やったのはただ惨めに、卑屈に、頭を下げただけ。


「ちーみー、性格悪いな?」


「褒め言葉だな! 俺は敵を作りそうなのに案外敵がいないで有名だった男だぞ!」


「それ、たぶん褒められてないよ?」


 軽口を叩きながらニーフを背中に抱いて歩き出す。

 力の抜けた人は重いと聞いたことがあるけど、全然そんなことはなかった。むしろ軽い……と言うか柔らかい。具体的にはなにがとは言わないけど、挟まってるものが邪魔してだっこしずらいってどういう状況だよおい。たまげたなぁ~


 ふと周りを見渡すと更地ではないが、高さ三〇センチくらいで切り揃えられた樹齢何百年単位の切株が並んでいる。こんなことができてしまうスカーと、その契約者のニーフか。

 背中で寝息をたてるニーフは、起きてるときには向けない穏やかな表情を俺の肩に乗せていた。かおる柑橘系の匂い。見た目は瓜二つなのに、全然知らない他人の匂い。

 血生臭い光景ばかり見る一日だったせいで、その清々しい香りは頭の靄を払うような、不思議な感覚がした。


「……お?」


 と、思考がふしだらな方向へシフトしていた矢先、不意をつくくように、後ろから衝撃を受ける。

 軽い、トンと押す程度で、鞠のような柔らかいものでもぶつかったような感触。思わずつんのめってたたらをふむ。

 なにがぶつかったのか、見当はつく。というか一つしかない。十中八九スカーだ。


 ……まずったな、ニーフ相手に邪な気持ちになったことがばれただろうか? まぁさっきの惨状を見れば、これくらいの中尉は可愛いものの気はするが。これはちゃんと弁明しておかないとあとが怖い。


「ち、違うぞスカー! 俺はけっして――」


 そして、言い訳しようと振りかえった俺がまず見たものは、

 驚いた表情のまま声を出さず、月明かりに光る鈍い光を受け入れたスカーの姿だった。


「――へ?」


 光の軌跡はスカーの右肩から左わきに抜ける。

 その光景を、俺も、スカーも、ただ茫然と見つめていた。


「……あぁ、これは。不覚を取ったな」


 先に現実を理解したスカーが、諦観するような淡白な声で呟いた。そして顔をあげると、まだ立ち尽くす俺を見る。その瞳は言外に申し訳なさそうに眉を垂れ、それを最後に青い光となって霧散した。

 呆気ない、あれほどの力のあったスカーの呆気ない最後。


「あ~ら、みんな死んじゃった、死んじゃったの? 悲しい、それはすごく寂しいわね~」


 その光の向こうに、一人の女が立っていた。


 身長は高い。すらりとした褐色の手足は隊長と呼ばれた男に似た、牙や爪で作られたアクセサリーが巻かれ、彼女がウルフ族であることを教えてくれる。黒の薄布で抜群のプロポーションを隠し、腰にはパレオよろしくレースが巻かれていた。

 それらきらびやかな服装は非常に目立つ。だがそれ以上に目を引くのはその妖艶な素顔、そして全身の黒色とは反する長く眩しい白髪。


 たぶん、元の世界で出会えば、影を踏むのさえ申し訳なく思うだろう圧倒的美の結晶。ぶっちゃけこんな状況でも見惚れた。ドキドキした。

 それでも、すぐに我に返れたのは、


「な~ら、かたきを討つのは当然だと思うの。それは当然の行い。だ~か~ら~」


 彼女が両手に持つ、禍々しいナイフの存在があったから。

 あまりにもその目が常人のものとは言えない、黒く禍々しい光を帯びていたから。



「あなたのお肉、裂かせてくれる?」



 その姿に、自分の死神を見た気がしたからだった。


あんがい週6投稿ならできそうな希ガス!


ブクマなどよろしくお願いします!

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