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1944年10月、フランス南東部のドイツとの国境近くにあるブラット・ハウンド隊基地。基地といっても彼らの為にある作られたものではなく敵から奪取したものだ。この基地周辺には今、物凄い爆音が轟いていた。
「全員、準備はいいか?」
ブラット・ハウンド隊を指揮をするウィットナー・シュトラーデン少尉は今回の作戦にあたる全員に問いた。爆音の正体は戦車のエンジン音だった。ウィットナーの問いに次々に返答が返ってきた。
「作戦内容をもう一度確認する。これより我々は北北西に85km地点の廃村にある敵拠点をたたく。敵はここを拠点に連合軍部隊を攻撃し連合軍をてこずらせているようだ。これを突破し、連合軍の進行をサポートする。」
「了解」
ウィットナーは下を向いて
「出れるか?」
と自分の乗る戦車の乗員に聞いた。
「エンジン暖気よし」
「砲塔各部問題なし」
「弾薬も十分」
「無線機もさっき通信したとうりです」
操縦士のアルフロッド・マーズ軍曹、砲手のマルクス・トーリャ軍曹、装填手のガーナード・アーマン軍曹、無線手のウォーラー・シュマッツ上等兵が順番に言った。
「よし! ブラット・ハウンド作戦実行隊全車、パンツァー・フォー!」
ウィットナーの言葉の後、彼の戦車とその他の戦車、兵員輸送車が敵拠点攻撃に向けて動き出した。