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4月5日プロローグ

 4月5日木曜日、俺は真新しい制服を着て私立豊崎学園の前にいた。

 入学式が行われる今日は生徒は9時に登校と言われていたが、それでは慣れていない電車通学など不安要素が多いため早め、早めに、と思って家を出てみれば8時ピッタリに到着してしまった。

 そのため、校門前にも昇降口にも生徒は見当たらない。

 人気のない校門からの道の脇には桜の木が植わっていて、それなりに花も開いてる。いかにもといった雰囲気だ。

 昇降口をくぐり、受験した時以来に校舎内に入った。下駄箱が多く並ぶ中、奥には大きな掲示板があった。1枚の紙が大きく張り出されていて、その紙の一番上にはここから見える程にハッキリと《新入生はクラスをチェック!》と書かれている。入学式は新入生がクラスに行き、点呼をとった後行われることになっているので紙の前へ。

 紙をザッと眺めてみると、新1年は8クラスで1クラスあたり40人程度だとわかった。総勢約320名の中から自分の名前を探すのは骨が折れるが俺の場合はそうでもないことがほぼ分かっている。順に1組から見ていくと、いきなり自分の名前が1番下に書かれていた。

 《40番、渡辺桂人》

 早速、1組へ向かう。確か1年が使うのは3,4階で、1組は3階の中央の階段から1番奥だったはずだ。悪くない。


 教室に入ると、すでに1人が席に着いていた。

 黒いショートヘアだということが後ろ姿からわかった。この教室の位置上、階段から近い後ろのドアから俺は入ったため顔はよくわからない。

 彼女は俺が教室に入ったことに気づいたようだが、こちらを振り返ったりはしなかった。

 教室の黒板には机の並びを表す四角に数字が振られていた。出席番号で座れ、ということだろう。俺の席は窓際の1番後ろだ。皆が羨む席だろう。

 席に座ってカバンを机の横のフックに掛け、黒板の上の時計をみると、8時10分だった。まだ50分も時間がある。やることもない。

 少しボーっと窓の外を眺めていると暇潰しを思いついた。

 俺よりも先に来ていた彼女について考えよう。意味はことではあるけれど。


 彼女は、小説を読んでいるようだ。ブックカバーをしていないその本は確か何かの賞を取ってた作品だったと思う。

 外見から分かることはその程度なので、考えを組み立ててみよう。


 まず、彼女は俺よりも早く来ていたことから俺以上に時間を気にする人だと分かる。

 次に、俺が教室に入ったことに気づきながらも、振り返らなかったことから他人への関心が薄い、または気が弱いことが推測できる。

 最後に、スマートフォンのあるこのご時世に時間潰しが小説、それも有名どころを選ぶ辺り周囲の目を軽く気にしている可能性がある。

 なので、俺の予想は彼女はクラスに馴染み難い気弱な性格である。としよう。

 まあ、答え合わせが出来るのは多分明日の自己紹介の時だろうけど。


 そんな暇潰しをしていると、時刻は8時30分になった。窓の外に見える校門には生徒がチラホラ入ってきているのが見える。

 そろそろ、他のクラスメイト達も教室に入ってくる頃だろう。


 

 入学式は、つつがなく行われた。校長や生徒会長などの話を聞くだけなので、まあ当然だが。

 教室に戻ったクラスメイト達の間に会話は無く、皆新しい環境に緊張しているようだ。

 入学式で発表された担任の佐藤先生が今日はこれで終わりという話をして各自教室を出て行く。


 さて、高校生活をどうやって過ごしていこうかな?

 まずは、明日の自己紹介と委員会決めでのアピールだ。

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