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たたかいまして

七話目です。

それではどうぞ。

彼は今、人生の最大の難関に挑む。

いや、鳥だから人生ではないか。鳥生?


上を見上げる。

ただひたすらに高い。

まさか、人にとっての1メートルが俺にとっての約10メートルになるとは全く思わなんだ。

とにかく登るしかなさそうだが……


どうしよう。のぼれない。

俺にこの崖を登れというのか。世界は残酷だな!


状況打開のために辺りを見回してみるが、周りにあるものは、机に椅子や食器棚と冷蔵庫そしてその他収納。

どれも使えないな。

ならば――


跳ぶまで!


パスッ


――おふっ、


……いてぇ。

でも、諦めねぇ


パスッ


パスッ!


パフン!


あぁ。いてぇよコンチキショー。

さらに跳ぼうと、助走をつけようとしたその時


「ヒヨちゃーん。どこにいるのかなー。」

遠くで彼女の呼び声が聞こえてきた。

どうやら俺が居ない事に気付いたらしいな。

言いたいことがあって伝えても分からないなら、連れ戻される前にせめて水を。


跳ぶ  失敗


跳ぶ  失敗


跳ぶ  失敗


クッソ、全然届かねぇ。

でも跳ばないと。この渇きは我慢ならん。

口調が悪く感じるだろうが、これは素だ。

気が悪いとこうなる。


「ヒヨちゃーん」

近づいてきた。彼女だ。

連れ戻される訳にはいかない。

また、跳ぶ態勢になる。

いや、飛ぶんだ。ここでやらなきゃ男が廃る。

為せば成る なさねばならぬ 何事もだ。

行くぞ


イヤャァャァァャャャャャャァァァ


俺はすべてを注ぎ込む。

この一瞬の為に。

だが、それでも壁の高さは俺の前に立ち塞がる。

もしかしたら届かないかもしれないと諦めかけた、そのとき


え?ウソ、飛んだ?


ふわりと体が浮いた気がした。

高い壁も登れそうな気さえする。

俺は人生(鳥生)で初めて飛んでいる。

ちょっとした、喜びさえあった。

だが、そんな時間も長くは続かず……


意識はブラックアウトする。


「ヒヨちゃん!」

意識を失う刹那、彼女の声が遠くに聞こえるのだった。

本日もありがとうございました。

次回のお越しを楽しみにお待ちしてます。

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