かわいてます
お久しぶりです。
明日にも投稿を予定しています。
彼は眠れずにいた。
さっき寝ていたからだ。
だが、それだけが理由という訳ではない。
――メチャクチャ喉が渇いた――
という理由があったのだ。
何でだろうな?
腹は減らぬのに喉は渇く。
それにしても、この渇きは異常だ。
喉の中まで乾燥している感じがする。
隣の彼女はすやすやと寝てるし、俺は機動力ないし。
さらに、この家の間取りすら分からない。
水を探しに行くのは冒険に近いだろう。
仕方ない、彼女を起こすか。
うわぁ、嫌だなぁ。起こすのか。
だってこんなにも気持ちよさそうに眠っているんだぜ。
まあ、そうしないと俺がどうにかなっちまうんだ。
ごめんなさい!迷惑かけます!
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俺の鳴き続けてしばらく
目を覚ました彼女は起き上がると
「どうしたの?起きちゃった?」
と眠そうに目を擦りながら訊いてくれる。
俺は喉が渇いていることを伝えたいが、鳴いても言葉が通じる訳ではないので、どうにも伝わらず。
身振り手振りも交えてみるが、これも芳しくない。
困ったな。
「ふぁー。喉が渇いちゃった。」
彼女は俺の頭を撫でて、一言掛けてから、布団の出て行ってしまう。
しまった!一緒に着いていけば水が飲めたかも知れないのに!
急いで追いかけよう!
俺は彼女の後を追ったのだった。
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ぜぇぜぇと息を荒げる俺は、ちゃんと彼女に追い付くことができた。
おいおい、もう心身共にカラカラだぜ。
やっとこさ追い付いたんだ。美味しい水を頼むぜ。
彼女に気付いてもらうために鳴く。
しかし、寝ぼけているのかぼーっとしていて気付いてくれない。
そして、彼女は蛇口をひねり水をコップに入れていく。
ゴクゴクゴク
いい音してるな。俺にもくれよ!
だが、無情にも気付いてはくれない。
なんでだよ!
俺メチャクチャ喉渇いてんのに、とんでもなく声荒げたのに……。
絶望に染まろうとしていたそんなときだった。
チャポーン チャポーン
水だ。水の音だ!
そう、水音が聞こえてきたのだ。
そうか、あの上に台所にまだ水はあるんだ。
瞳に希望が宿る。
まだ、終わってない。
闘志を胸に抱く。
登るんだ、あの上に!
俺の闘いが始まるのだった。
本日もありがとうございました。
またのお越しを楽しみにしてます。